あたしの過去なのよ
昔の記憶……あたしが今思い出せるもっとも古い記憶
そこからあたしの物語は始まった
たぶん4歳くらいのとき、あたしはママに連れられて知らないアパートについた
もう夕日が沈むころの時間帯で、空が赤かったのを覚えている
あたしはおそらくママが買ってくれたウサギのぬいぐるみを抱きしめて知らないとこにいる不安を紛らわそうとしていた
ママがアパートの、ある部屋のインターホンを鳴らしてしばらくすると、ガチャっと音がなり
ママがドアを開けあたしを連れて中に入った
一階だったのか二階だったのかは覚えてない
でも、ここからははっきり覚えてる
玄関に入るとそこに知らない男の人が立っていた
おそらくここに住んでる人なのだろう
歳はママとあんまり変わらないくらい、ママより少し下かな
「ごめんね健一くん、もう頼めるの健一くんしかいなくて…」
そうママが言う
「んもう全然ですよ!美里さんの頼みなら喜んで」
そう言った男はママにニッコリ笑った
そしてその男はあたしの方を見て
「こんにちわ美琴ちゃん。オジサンのこと覚えてるかな?」
とニッコリ笑って話しかけてきた
あたしは誰かわからない不安でママの後ろに隠れた
ママは
「さすがに覚えてないと思うわ。もっと小さいときにチラッと職場に連れていっただけなんだから」
と言った
そしてあたしの方をむいてしゃがんで
「美琴、2,3日このお兄さんのところにお泊まりさせてもらうわよ。良い子にできるよね?」
と聞いてきた
あたしはコクンと頷いた
「てか2,3日と言わず、ずっといてくれても大丈夫ですから!」
「ハハハ、ありがとう。でもたぶんここも危険になるかも知れないし、長居はできないわ」
「そうですか…でもここにいる間は全力で俺が守りますから!美琴ちゃんも…み、美里さんも!!」
「…ありがとう。頼もしいわ」
たぶんだけど、この人はママのことが好きなんだ。子供ながらにそう思った
「あ、そろそろご飯の時間なんで料理作ったんですよ。美里さん達のぶんも。先に食べましょ」
そう言ってリビングに案内される
リビングにある小さなテーブルに色んな料理が所狭しと並ばれていた
「健一くんすごいわねー。あたしより料理上手いじゃん」
「いや、もうずっと1人なんで慣れちゃいましたよ。お口に合えばいいんですけど…、てか狭くてごめんなさい。ささ適当に座って食べましょう!」
そう言ってその男の人はキッチンに行って取り皿やらなにやら持ってきた
そしてあたしに
「はい美琴ちゃん。オムライス食べれる?」
そう言って渡してきたオムライス
あたしは初めてみる食べ物に戸惑っていた
「あたし美琴にオムライス作ってあげたことないかも」
「えぇ!?いつもなに作ってるんですか?」
「なんか肉焼いたり、卵をぐちゃぐちゃに焼いたり、あとは電子レンジでチンする魚やったり」
「いや、魚もグリルで焼いた方が美味しいですよ。」
「ごめんねぇ美琴。ママ料理苦手で。ほらオムライス食べてみなさい」
そう言ってニッコリ笑うママ
あたしは恐る恐るオムライスを一口食べてみる
そのとき食べたオムライスは今でもハッキリ覚えてるくらい美味しかった




