ラブコメ特有のすれ違いなんだが
次の日学校に着くと、珍しく如月美琴が先に教室にいた
俺は
「よっ」
っと軽い感じて声をかけようとしたがすぐにやめた
如月美琴の前に吉田が立っていて、2人で楽しそうに会話していたからだ
昨日の悪夢の続きかよ
周りをみると、いつも如月美琴に寄っていく女子達も、吉田と如月美琴のほうをチラチラ見ている
美男美女
もうその2人に近寄れない空気になっている
俺はどうすることもできず、トボトボ自分の席についた
それからは休み時間になるたびに吉田は如月美琴のところに行って2人で会話している
昼休みになったとき吉田がまたすぐ如月美琴のところに行った
俺は我慢できずに吉田の便意レベルを上げた
「ぐっ、あっ!あ、俺先生に呼ばれてたんだった!ちょ、ちょっと行ってくるわ」
そう言って変な動きで教室をでていく吉田を見て、俺はすぐ如月美琴のところに行った
「よ、よう如月」
なんか緊張で上手く言えない
如月美琴はなぜか機嫌が悪そうに俺を睨んで
「あんた…今使った?」
と小声で言ってきた
俺はとっさに首を横に振って
違うと嘘をついた
「まぁいいや、で?なに?」
とすごく不機嫌そう
あんなに吉田とは楽しそうに話すのに、俺とは嫌なのかよ
そうは思ってもそれは口にせず
「い、いや、技名決めるって言ったじゃん。それ今日の放課後どうかなって」
と思い切って誘った
如月美琴はさらに不機嫌そうな顔になって
「てかあんた!昨日…」
と途中までいいかけてやめて、静かに
「まぁいいや、でも今日は無理。予定ある」
と言った
俺は「そ、そっか」としか言えず大人しく引き下がった
なにもかもが空回りしてる感じだ
そして放課後
吉田がまたすぐ如月美琴のところへ行き何か楽しそうに会話をすると、2人で教室を出て行った
もしかして如月美琴の予定とは
吉田とのデートなのではないか
そう思ってしまったら
俺の胸の中のモヤモヤが最大になったのがわかった
気づくと俺は2人を尾行していた
相変わらず2人は楽しそうに会話している
校門をでて5分くらいのところで立ち止まって2人は何か会話をしている
そう思ったら吉田は明らかにガッカリした感じで肩を落とし、トボトボと1人で歩き始めた
そしたら急に如月美琴が振り返った
やべ!
俺は咄嗟に自分も振り返り、知らないふりしてきた道を戻る感じで歩きはじめた
タッタッタッタッタ
後ろから走ってくる足音が聞こえると思った瞬間、背中に衝撃があり俺は前の方に吹っ飛んだ
ぐえぇ、俺は倒れたあと後ろを振り返ると
如月美琴が仁王立ちしていた
飛び蹴りでもしたのだろうか背中が痛い
「あんた、次はストーカー?」
そう言い俺を睨みつける
「あ、あれぇ?如月じゃないか」
と俺は知らないふりをするが
「とぼけんじゃないわよ!あんたがつけてきてるの知ってんだから。上手く隠れてるつもりでもあんたのオーラ見えてんだからね!そのきったない紫オーラ」
と言っててすべてバレてた
俺は立ち上がり
「だって、如月が技名決めようって言ったのに、昨日ダメになって…」
そう言うと今度はお腹に衝撃がきた
如月美琴は俺のお腹に渾身の右ストレートを決めた
ドゴォッ
うぐぅッ
「あんたが昨日帰ったんでしょ!?あたしはあの後あのナルシストを振り払って公園に行ったけどあんたいなかったじゃない!!」
「え?あのあと公園行ったのか?」
「当たり前でしょ?技名決めようって公園行こうとしてたんだから、邪魔なのを追い払うのに少し時間がかかったけど、あんた先に公園行ってると思ったのにいなかったじゃない!」
「だって昨日吉田が一緒に帰ろうって言ったとき如月がいいよって…」
「そこであたしが『ダメ!柊くんと必殺技の名前考えるから邪魔しないで』って言えると思うのか!?あそこはとりあえずオッケーしといてお前の能力で便意調整して自分からいなくならせた方がいいだろ!」
さらに如月美琴が続ける
「それなのにあんたはいつまでたっても能力発動させないし、そしたら急に自分1人で離脱しやがって!なんとかあのナルシストと解散して急いで公園行ったけどあんたはいないし!」
ハハハ…アホみてぇ
「なに笑ってんのよ!なんか今日もあのナルシストずっとあたしのところに来るし!疲れんのよ、笑って話合わせてあげるの!お昼にあいつ急にお腹痛くなったみたいだからあんたが助けてくれたと思ったのに違ったし…最悪」
え?あれ吉田に能力使ったことを怒ろうとしてたんじゃないのか
「今日の予定って?吉田とじゃないのか?」
「はぁ!?なんでよ!違うわよ!勝手にあいつがついてきただけよ!追い払うの大変だったのよ!あんたは後ろで隠れて見てるだけで助けてもくれないし!」
胸の中のモヤモヤが晴れていく
「なんだよ、予定があるって言ってそのあと仲良く吉田と帰るからてっきり…」
「てっきり何よ!てかなんであんたにいちいち予定とか教えなきゃいけないの?バカなの?」
「そうだけどさ…気になって…」
「バッ…バッカじゃないの!?………お父さんよ…今日お父さんの誕生日だからプレゼントとケーキ買いに行こうとしてたのよ…」
心の中のモヤモヤが完全に晴れた
俺は殴られた腹を抑えながら笑った
ハハハ!たしかにバカみてえ
「怖いんだけど、何笑ってんのよ」
「なぁ如月!俺を殴ってくれ」
「はぁ?怖っ!そう言われるとイヤよ!…あんた、殴れなくなるとんでもない攻略法みつけたわね」
気持ちがスッキリ晴れた