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8 一角兎との死闘

少年は眠たそうに目をこすりながら起き上がると、「あっ」と声を漏らし、慌てて一角兎を埋めた穴を掘り返し始めた。


ものすごい勢いで掘り進めると、手に硬いものが当たった。その横には、白い皮が落ちている。


硬いものの正体は、一角兎の角だった。


少年はそれを手に取ると、じっと見つめ、深く念じ始める。


「集中しろ……もっと強く……もっと強く……」


一心に念じると、少年の体から淡く小さな光の粒がひとつ生まれ、それが一角兎の角へと吸い込まれていく。


すると、角が淡い光に包まれ、形を変えていった。やがて、手の中には『短いナイフ』が現れる。


「やった! 本当にできた!」


少年は驚きと喜びの入り混じった声を上げる。実際に目の当たりにしても、なお不思議でたまらなかった。


この世界の誰もが持っている力――だが、少年にとっては未知の力だった。


朝、目覚めたときに頭に浮かんだ記憶。それを確かめるために、彼は今こうして試していたのだ。


さらに、少年は白い革を胸に当てると、「防具になれ」と強く念じた。


すると、革がふわりと浮き、少年の胸に張り付いた。


「やった!」


念願の武器と防具を手に入れたことに、少年は歓喜した。


だが、その喜びも束の間、すぐに現実を悟る。


ナイフは刃が欠け、使い物になるかも怪しい。防具に至っては、片胸すらまともに覆えておらず、小さな皮が申し訳程度に張り付いているだけだった。


「……まだまだ、だな」


レベル0の短剣。レベル0の防具。


しかし、少年はすぐに気を取り直す。


「倒せば武器のレベルも上げられる……なら、やるしかない!」


彼の中に新たな闘志が湧く。


この付近には、一角兎が多く生息している。


少年は再び、穴を掘り、一角兎を埋めて倒すという作戦を繰り返した。


穴を掘るのには時間がかかる。だが、今の彼にはこれ以外の方法が思いつかなかった。


何度も失敗し、自ら穴に落ちてしまうこともあった。そのたびに壮絶な戦いとなったが、無限と思える体力と、少しずつ強くなっていく短剣で、どうにか勝利を収めていた。


少年の体は、青あざだらけになっていた。それでも、深いエメラルド色の瞳は、戦うたびに輝きを増していった。


常人では到底耐えられない痛み。心は悲鳴を上げていた。しかし、それでも、少年は一度たりともためらうことなく、一角兎を倒し続けた。


あるとき、彼が『強化』を念じると、短剣が淡く輝き出した。


「……レベル1になった!」


短剣の刃はもう欠けていない。鋭利ではないが、ようやくナイフと呼べるものになっていた。


少年はナイフを握りしめ、迷うことなく一角兎のもとへ向かう。


一角兎が飛びかかってくる。


初撃を何とかかわす。すでに、この魔物の動きには慣れていた。


しかし、速度では勝てない。一角兎が素早く向きを変え、再び跳躍する。


「――っ!」


少年は狙いすました動きで、ナイフを急所の喉元に突き立てた。


だが、ダメだった。喉元に傷をつけるにとどまった。しかし、確かに傷はついた。


少年の胸を覆う皮は、多くの敵を倒したことで、薄い皮だが、胸は覆われるまで広がっていた。


その防具で一角兎の動きを封じると、渾身の力でナイフを、今度は上から体重を乗せて突き立てる。


すこし、大きい傷がついた。


一角兎に疲れるごとに激しい痛みに襲われるが、少年の瞳の輝きが消えることはなかった。


何度も何度も、一角兎の突進を防具で受け止め、上から渾身の力でナイフを突き刺す。


そして――ついに――


一角兎が光の粒となり、消えていった。


同時に、淡い光の粒が少年の体に吸い込まれていく。


壮絶な戦いの末の勝利。しかし、その光景は、まるで幻想のように美しかった。


少年は拳を強く握りしめると、胸を張り、


「倒した……僕が、勝った!」


と、力強く叫んだ。


夕焼けに染まる空の下、その声は風に乗り、どこまでも広がっていった。赤く燃える雲がゆっくりと流れ、草原を吹き抜ける風が、微かな余韻を運んでいく。小川のせせらぎが静かに響くなか、空はやがて深い藍色へと染まり、星がひとつ、またひとつと瞬き始めていた。

おもしろいと感じた方は、「亀の甲より年の功」をクリックして、他の作品もぜひご覧ください。まったく異なるジャンルの物語を、生成AIを駆使して書いています。

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