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76 魔法学園

インフィとヨパラは、合格したその足で、ソフィアたちが待っている待合所に戻ってきていた。


ヨパラは嬉しそうに、インフィの頭をぽんぽんと軽く叩きながら言った。

「無事に合格したぞ」


フィディアは、すかさずインフィに抱きつき、

「おめでとう」と言っている。


シャリーネは、フィギュアのようにインフィに抱きつきたそうにしていたが、それが恥ずかしくてできないのか、もじもじとしながら、

「インフィ様……おめでとうございます」

と、控えめに口にしていた。


インフィは、小さくうなずいて言った。

「ヨパラさんがいてくれたから、失敗しないで済んだ」


ヨパラは肩をすくめるようにして答えた。

「これから寮の割り振りがあるみたいだ。受付のほうに行くぞ」


そう言って、みんなで歩き出した。


受付では、部屋の番号と鍵を渡されただけだった。あとは、簡単な説明書が一枚ついてくるだけ。


ヨパラは、若い頃にもこの場所に来たことがあるので、慣れた手つきで手続きを済ませると、迷うことなくみんなを寮の方へ案内していった。


寮は一階建ての煉瓦造りで、かなり頑丈に作られていた。

建物自体は巨大だったが、外観には明らかに年季が感じられた。


どうやら、この一棟だけで数百の部屋があるらしい。


教室や訓練場、倉庫などを囲むように、いくつもの寮棟が放射線状に配置されている。


案内されたのは、冒険者用の棟の一室だった。


部屋は八畳ほどの広さしかなく、

左右の壁際には、低い三段ベッドと二段ベッドがそれぞれ設置されているだけで、あとは装備を床に転がしておくような、実用本位の簡素な造りだった。


部屋には蜘蛛の巣が張り、埃がたまっていた。マットもすっかり汚れている。

雨風をしのげる──ただ、それだけの場所だった。


ヨパラが言うには、出入りの激しい初級魔法使い用の部屋は、どこも似たようなものらしい。


その部屋を見た瞬間、フィディアの顔がわずかにゆがんだ。

次の瞬間、部屋はぴかぴかに清掃され、マットレスもふかふかの上等品に変わっていた。


インフィが、じっとフィディアをにらみ、何か言おうとしたが──


先にヨパラが口を開いた。


「寮の中で魔法を使っても、まあ……大丈夫だぞ。さすがに爆発とかさせたらダメだけどな」


ヨパラ自身も、このままの状態で寝るのはさすがに気が進まなかったのだろう。

「これで、夜は眠れそうだ」

と、心の中でフィディアに感謝していた。


ヨパラは、インフィに小さな声で何かをささやいていた。


「腹減ったな。飯でも行くか。ついでに教室とか訓練場も見てくるか」


その言葉を聞くなり、インフィがすかさず制止の声を上げた。


「フィディア、シャリーネ、レイヴァンは──ここを出たらダメ」


その一言で、フィディアとシャリーネは、その場に崩れ落ちた。


……しかし、しばらくしてふたりの姿は部屋から消えていた。

転移魔法で、どこかへ行ってしまったらしい。


レイヴァンだけが、何も言わず、一人で窓の外の景色を寂しそうに眺めていたが、


自由人のレイヴァンには、じっとしているという選択肢はなかったようだ。


しばらくすると、ひっそりと部屋を抜け出し、インフィたちが向かったのとは反対の方向へ、のんびりと歩き出していった。


魔法初級地区の寮で生活している人たちとは明らかに違う、高級ブランド風の装い。

身長は2メートルを超え、完璧なモデルスタイル。

いつものように、後ろからは黄色い声が飛び交っていたが──なぜか、正面からは恐怖のまなざしで見られていた。


すでに骸骨の姿ではなく、包帯も取れていた。


それでも、レイヴァンの顔を見た者たちからは、小さな悲鳴が上がっていた。


そのたびに、レイヴァンは顔を伏せ、足元の小石を蹴っていた。

──繊細な心は、まだ変わっていないようだった。


サングラスで目元こそ隠していたが、その顔は“男前のドラキュラ”ではなく、“おぞましいほうのドラキュラ”そのものだった。


ショックを受けるくらいなら出歩かなければいいのに……。

それでもレイヴァンは、どこか楽しげな足取りで、学園内を散歩していた。


この出来事は──のちに、学園の七不思議のひとつとして語り継がれることになる。


「口裂け女」ではなく、「ドラキュラ口の男」として。


食事が終わったあと、ヨパラはインフィにいくつかの注意点を伝えていた。


「インフィ、お前の魔法は強力すぎる。だからこそ、まずは基礎をしっかり学べ。強い魔法ばかり使おうとするな」


インフィは、じっとヨパラの顔を見つめている。


「できるだけ弱い魔法を、上手く使えるように意識しろ」


そう言って、ヨパラはインフィの頭を優しく撫でた。


インフィは少し照れたように笑って、うなずいた。


「わかった。……できるだけ弱い魔法を、上手に使えるように頑張ってみる」


茜色の夕日が、冒険者寮のレンガ壁をやわらかく染めていた。

そよぐ風が、そっとインフィの背中を押していた。


補足:

この世界では、魔塔のボス部屋に入れるのは、5人1組までと決まっている。

冒険者たちは、通常5人でチームを組み、連携して行動することが多いため、たとえ魔法が使えない者でも、5人までなら同じ部屋に入れるよう環境が整えられていた。

おもしろいと感じた方は、「亀の甲より年の功」をクリックして、他の作品もぜひご覧ください。まったく異なるジャンルの物語を、生成AIを駆使して書いています。

理系のじじいの話も読んでいけば、暇つぶしにはなると思います。

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