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67 パーティー?

ハルパン王国には、見習い冒険者用の魔塔は一つしかない。インフィたちが暮らしていたのは、その唯一の魔塔──ソラック魔塔だった。


だがそれ以外にも、王国各地には大小さまざまな魔塔が点在しており、そこでは貴重な資源、強力な武具、輝く宝石が手に入ることもある。


命の安いこの世界では、多くの若者が魔塔に挑み、志半ばに去るか、命を落とすか、あるいは栄光をつかむか──その中で夢を追い求めている。


今、インフィたちが目指しているのは、ソラック魔塔よりはるかに危険な──ヴァルメル魔塔だった。


このヴァルメル魔塔は、上級冒険者として認められるレベル30を目指す者のみが挑む、試練の塔。到達できるのは選ばれし者だけであり、レベル20にすら到達できる者は一割に満たないという。


初級冒険者の称号を得られれば、冒険者として認められる。どの魔塔を選んでも構わない。ただし、身の丈に合わぬ魔塔を選んだ者の多くは、後悔することになる。


ヴァルメル魔塔は全10階層構成であり、各階ごとに魔物のレベルが一段階ずつ上昇する。


規模はソラック魔塔に劣るが、その価値は劣らぬどころか、街は多くの富と希望に沸いていた。ここで一攫千金を果たせば、冒険者は一生を遊んで暮らせるほどの富を手にできる。


──それでは、物語をインフィたちに戻そう。


インフィ(LV14)はいま、一人で一階層の虫部屋にいる魔物(Lv20)と戦っていた。俯瞰を駆使して常に一対一の状況を作り出し、老齢な巧みな技で、魔物を翻弄して、容赦のない急所攻撃で魔物を次々と仕留めていく。


もう狂気の雄たけびを上げるのはやめていたが、魔物を狩るたびに狂気の顔になる癖は、なおっていなかった。


6日間、ほとんど休まずに狩り続け、入口付近の安全な場所で仮眠を取っていた。この魔塔には、こうした変わり者が何人か存在していた。


インフィはまだレベル14だが、しばらく戦えば動きの特性も急所も把握でき、俯瞰も使え、無限持久力も健在。相変わらず、魔物のほうが哀れに思えるほどだった。


魔格を拾うこともなく、ギルドの換金所にも行っていない。ただひたすら、時間を惜しんでいた。


そして、宿に帰るのは、週に一度きりだった。


……


一方、ヨパラ(LV25)は五階層で、ひとり虫型の魔物を狩っていた。ヨパラも経験値稼ぎである。


かつての彼とは見違えるほど、動きが鋭くなっていた。長らくインフィの戦闘を見てきたことで、相手の動きに対する読みと対処ができるようになったのだ。最高級ポーションを携帯しており、同レベルの魔物なら複数に囲まれても後れは取らない。


ヨパラは──アマリリオ。かつて仲間たちを奪ったあの妖魔に、自らの手で報いを果たすことを密かに誓っていた。ただ、それ以上に、インフィたちと共にいる今の時間を大切に思っていた。


……


レイヴァンは──土下座の姿勢で、フィディアに小言を言われていた。


「レイヴァン、あなたってほんとダメね。見た目ばかり気にしてるから、あんなババアに負けるのよ。心を入れ替えて、一から鍛え直しなさい」


そして、フィディアにどこかへ連れていかれ、修行をしている。きっと、ものすごくつらい修行なのだろう。


……


フィディアは、魔塔のようなむさくるしい場所に行くのは嫌だと言い、自由気ままに暮らしていた。よくどこかへふらりと姿を消してしまうことが多かった。


──そう、インフィたちは、4人のパーティーではあるのだが、何一つパーティーとしての行動をしていないのである。


宿は、ヴァルメル町でも最高級の宿。その豪華さは、ソラックのそれすら凌駕していた。


しかし、インフィが宿に戻ってくるのは週に一度、しかも深夜。食事もほとんど取らない。


レイヴァンは修行中。


フィディアは、宿の豪華な食事を前にしても手をつけず、自由気ままな生活を送っていた。


ヨパラだけが、毎晩のように「すげえ……」と感動していたが、もちろんこれは、彼のための宿ではない。


そう、フィディアには、とても重要で大きな目的があったのだ。


それは週に一度、インフィが疲れて帰ってきて、お姫様ベッドで眠りに落ちると、気配を消してインフィを抱きしめ、恍惚の表情で眠るのだ。


インフィが朝起き、そのことに気づくと、とても嫌そうな顔をするのだが、


「もう……インフィちゃんって、かわいすぎるんだからぁ……」と、身を悶えながら言うのだ。


インフィのレベル上げと同じく、変人の域を超え、狂人の域にまで達していた。


インフィはというと──そのぬくもりをほんの少しだけ、心地よいと感じるようになっていた。しかし、心の葛藤は今も、解けることはなかった。


余談だが、なぜかヨパラは、抱きしめられて眠るインフィの姿を、とても羨ましそうな目でいつも眺めていた。


『パーティーであって、そうでない──この運命はどこへ向かうのだろうか』


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