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20 雷雲の兆し その2

集落のまわりには、家畜の囲いを兼ねた高い木の柵が、防御壁として築かれていた。


タムが入口にたどり着いたときには、すでに防衛の男たちと盗賊たちがにらみ合っていた。盗賊は二十名近く。思った以上に多い。迎え撃つのは、成人の男が十名。ほかは、六十を超えた老人が数人と、タムとインフィを含む少年たちだけだった。


「よう、今日は良い月だな~。なあ、俺たちを招待してくれよ~。いいだろ~~」


盗賊の親玉らしき男が、薄ら笑いを浮かべながら話しかけてくる。


「そんな人数でこの村を襲うつもりか? 死にたくなければ帰れ。ここには四十名の戦士がいる!」


防衛の指揮を任されていたガルダンが、声を張り上げて威嚇する。


「あれ~、みんなは街だよね。噓つきは泥棒の始まりだよ~。全部知ってるよ~~」


さらに笑いながら、相手を舐め切った口調でしゃべる。


「家畜ならくれてやる。それで帰れ!」


ガルダンが、渋い声で答えた。


「アハハ、家畜、カチクなんて金にならないよ~。人だよ。特に若い女と子供~。奴隷になるだけだよ~。死なないよ~。たぶん~」


防衛の男たちの顔色が変わった。怒りが表情に浮かび、手にした武器に力がこもる。


遊牧民は自然とともに生きている。自然の厳しさの中で、一人では生きられないことを知っている。だからこそ、家族と仲間を守る意志は、何にも代えがたいものなのだ。


「お前たちは人ではない。悪魔だ……いや、糞だ! 誰が家族を渡すか!」


ガルダンが怒気と覚悟を込めて叫ぶ。


「あれ~、交渉決裂~。楽しいな~~、野郎ども暴れろ!」


盗賊の親玉は、このやり取りの最中に偵察に行かせていた部下の耳打ちを聞き、情報が正しかったことを確信した。そして、満足そうな笑みを浮かべて命令を出す。


盗賊たちが、入り口を力任せに突破しようと襲いかかってくる。遊牧民の男たちはダルドのもとで鍛えられていたが、多勢に無勢。防ぐだけで手一杯になり、じりじりと押されていた。一人でも倒されれば総崩れとなりかねないため、互いを守ることを最優先にして戦っていた。


「あれ〜、なんか大したことないな〜。アハハ、野郎ども、商品だからあんまり傷つけるなよ〜」


親玉が余裕の笑みを浮かべたまま命令を下す。


その時、村の中心から二十人ほどが応援に駆けつけてきた。なんと、女たちだった。遊牧民の女性たちも、いざという時のために武具を用意していたのだ。ただし、それは夫の古道具や予備の装備で、どれもかなりくたびれている。さらに、タムと同じく十二歳から十五歳ほどの少年たちも数人、後ろに控えていた。


遊牧民の女たちは勇敢だった。誰ひとり武器にひるむことなく、防衛の輪に加わっていった。


「チッ、面倒な、女は傷つけるなよ!」


親玉が苛立ちをにじませ、再度命令を飛ばす。盗賊たちは一瞬戸惑ったが、戦い慣れた者たちだ。やがて統率を取り戻し、一対一の状況を作って女たちを押し込み始めた。


「母さんを守るんだ……行くぞ、インフィ!」


防衛線を前に怯んでいたタムが、震える声で叫ぶ。


(怖い。でも、母さんが傷つけられるなんて、絶対に許せない……!)


タムは母に襲いかかろうとする盗賊の間に割り込んだ。すぐにインフィもその戦いに加わる。


二対一の状況だった。相手の盗賊は、子ども相手と侮っていた。インフィが二刀流の奇抜な動きで相手を翻弄し、その隙を突いてタムが攻撃を加える。致命傷には至らないが、盗賊はすでに傷を負っていた。


「なんだこいつら……強いぞ! 誰か、こっちに来てくれ!」


援軍が駆けつける。一気に形勢は逆転。盗賊は年季の入った戦士たち。子供が勝てる相手ではない。


インフィとタムはあっという間に蹴り飛ばされ、転がった。


しかし、インフィは、何度蹴り倒されても立ち上がり、再び向かっていく。子どもとは思えぬ形相で。


「なんだこいつ……こんなにしぶといガキ、初めて見たぞ。くそ、次は殺す!」


盗賊が恐怖混じりの怒声を上げる。


「だめ! やめて、インフィ、逃げて!」


カイナが叫び、インフィと盗賊の間に飛び込んだ。盗賊は口元を吊り上げ、彼女の胸ぐらをつかみ上げた。


「おぉ……こりゃ上玉だな。あとでたっぷり遊んでやる……」


そう言いながら、カイナを力任せに放り投げようとした。



おもしろいと感じた方は、「亀の甲より年の功」をクリックして、他の作品もぜひご覧ください。まったく異なるジャンルの物語を、生成AIを駆使して書いています。

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