第97話 2年A組女子生徒大会議の開催(笑)
梅雨空に覆われたどんよりとじめじめした季節。
僕とココナが幼少部2年になって数か月が経過していた。
当然だが年度初めに体力測定と魔力判定が行われたのだが。
僕は今年も“そこそこ”の成績をたたき出し、何とか実力の隠ぺいを図っていた。
一応僕たちのクラスでの体力トップはベイルードだ。
第4王子であるミャルナを抑え、ついに今年彼はトップに立っていた。
相変わらず彼の選民思考は中々無くなりはしないけど。
今ではクラスの皆とは打ち解けていた。
うんうん。
彼も成長したものだ。
魔力トップは聖女候補でもあるユナク・ビリダ。
彼女はまだ僕と同じ10歳なのにすでにレベルは60を超えていた。
どうやら彼女。
普段からアルバイトとして近隣の教会での“無料回復”の手伝いを行っていたらしい。
回復師の経験は主に魔法の行使により積まれていく。
まさに彼女にとって最適な行動だった。
そんなこんなで全部は紹介しないけど。
僕のクラスには才能あふれる子供たちが集結していたんだ。
※※※※※
そんなことを思いながら、僕は今授業を受けている。
因みにティアは今日、ルイ達と一緒に擬似ダンジョンへと赴いていて不在だ。
だから色々なタイミングが重なった今日。
女の直感?
乙女の感?
なぜかクラスの女子の皆さん、魔力を体内で練っていたんだ。
そして。
ウェレッタ先生が休憩のため職員室に戻った中休み。
いわゆる20分休憩の時に事件は起こった。
ふと誰かが発した『新たな取り組みである混合カリキュラム』
それを行うペア。
どうやら僕が“空いているらしい”との情報が流れ、女生徒全員の魔力が吹き上がった。
普段ならやんわり排除…
コホン。
取り敢えずうまくさばいてくれるティアがいない今日。
僕への猛烈なアプローチが始まってしまった。
どうしてこうなった?!
※※※※※
「ねえ、ライト様。わたくしとペア、組んでいただけますわよね?」
そう言い僕にべったりとくっついてくるニーナ・ダイゼイド伯爵令嬢。
彼女は入学初日、いきなり僕にプロポーズしてきた女の子だ。
僕の隠していた実力、その一部を見破るスキル保持者だったので。
国王陛下と当時第2王子だったロキラス公爵の許可を得て、一部彼女の記憶の改竄を施している状況だ。
「ラ、ライト様…今回の模擬戦は魔法分野での実地。どうか魔力特化の私とお組くださいませ」
そう言い、何故かすり寄ってくるユナク。
彼女魔力が強すぎて、うちの領にいるヒャルマ先生みたいに成長が遅いんだよね。
10歳なのだけれど、正直7~8歳くらいに見えてしまう。
もちろんツルペタだ。
可愛い顔をしている女の子だけど。
当然だが欲情などしない。
しないったらしない。
コホン。
「あらあら。ライト様が困っておりましてよ?ここはわたくし、レーデル公国の第2公女であるミリネートと組むのがよろしいのでは?」
そして堰を切って押し寄せる多くの女生徒たち。
カオスだ。
※※※※※
数日前。
僕が用事で休んでいた時の話。
今学園は擬似ダンジョンのカリキュラムが増えたことにより、幾つかのカリキュラムが縮小を余儀なくされていた。
一番あおりを食ったのが貴族教育。
もちろん平民も在籍する学園。
元々その“存在意義”が疑問視されていたのだけれど。
そもそも貴族は基本自分の家でその教育は完了している。
だが…それだけの為に教師として登録している者もいる訳で。
なかなか『やめる』という決断ができないでいた。
しかし今回僕の擬似ダンジョンがカリキュラムに組み込まれることが決まり、国王陛下の肝いりで幾つかのカリキュラム、合同で行うことを指示されていた。
そして今回行われるカリキュラム。
模擬戦闘(魔力特化)と貴族のたしなみ、さらには淑女教育の一環でもあるダンスの授業だった。
意味分かんないよね?
全然関係ないようなカリキュラム。
学園の考えとして『目の届く範囲』ですべての授業をこなしたい。
どうやらその一点に集中していたようだった。
範囲を指定された模擬戦闘。
さらには室内と言う状況下におけるコントロール訓練。
今回は魔力中心なので剣を使った戦闘や武術など、広範囲を動き回ることが禁止されていた。
そして各授業への参加は、基本自由。
だが。
幾人かはそれぞれ義務としてウェレッタ先生より指示されていた。
その一人、ココナ。
彼女にはダンスの授業を薦められていたんだ。
最初断っていたココナなのだが。
どうやら入れ知恵をされたようで。
上手くできるようになった暁にはお相手をするように彼女から懇願されました。
…黒幕はサルツさんだ。
さらにはウェレッタ先生もグル。
『これから先ライト様とともにあるのなら…ダンスくらいはできませんと。夫である大公爵様に恥をかかせるおつもりですか?』
そんなこと言っちゃえばさ。
素直で可愛いココナがダンスの授業を選ぶの、当たり前だよね?
正直僕とココナの関係、つまり婚約者同士であること。
このクラスの中では知る者はいない。
それにいつも僕にべったりだったルイとルザーラナが自主退学したこともあり、基本ペアで行うカリキュラムは成績順と言う『言い訳』が立ち。
なおかつ年上、さらには僕の家のメイドと言う立場。
自然と僕とココナのペアが定番だった。
そして今回崩れたその組み合わせ。
どうやら女子生徒の中で大規模な会議が開催されていたようだ(笑)
※※※※※
数日前の放課後。
殆どの生徒が帰宅し、本来人の残っていない時間。
何故か2年A組。
ココナを覗いた女生徒14人全員が目をぎらつかせ、円状に並べられた椅子に腰を下ろしていた。
「コホン。司会進行はわたくし、レーデル公国の皇女であるミリネートが務めさせていただきますわ。…よろしくて?」
「異存はありませんわ」
「ええ。進めてくださいます?」
賛同の声に気を良くしたミリネート。
いきなりぶちかます。
「コホン。今回どうやらライト様、ココナ様とのペアを解消するご様子。ここはやはりわたくしミリネートがその責務を果たしますわ?皆様よろしく…ひいっ?!!」
「あ?」
「はあ?」
「…殺すぞ!」
突然立ち上がる恐ろしい魔力。
少し調子に乗っていたミリネートは既に涙目だ。
「あ、あの」
そこに突然立ち上がり、いきなり欲望を吐き出すユナク。
「わ、わたしは未来の聖女です。こ、ここは私が…ひうっ?!!」
「……ああっ?!」
「却下ですわ」
「…はあはあはあ」
「コホン。もうみんな。落ち着こう?」
「ニーナ」
「うんうん。流石はニーナさんね」
それを見かね声を上げるニーナ。
優しげな眼をクラスメイトに向け、にっこり微笑む。
もちろん裏では色々画策しているのだが…
そんな中恐る恐る手を上げる、ミャルナ殿下狙いの中心人物、ルイミス・ビンジッド伯爵令嬢。
「ねえ。そもそもなんでミャルナ殿下様狙いである私とリリン、マイヤまで呼ばれたのかしら?意味が分からないのだけれど?」
「証人よ」
「…証人?…な、なんの?」
「この会議、間違いなく最大の重要案件。皆に承知してもらう必要がある。そうだろ?諸君!」
なぜか目がイッチャッテル復活したミリネート嬢。
そしてさらなる興奮に包まれる女生徒たち。
まさにカオスが広がっていた。
※※※※※
そして結論。
早いもの勝ち。
ハハハ、ハ。
そして僕に向けられる、まるで女豹のような多くの瞳。
やっぱり女の子怖い。
僕は改めてそのことを噛みしめていた。
因みに僕は。
ユナクとの魔術戦闘、ニーナとのダンス、ミリネートとの貴族のたしなみ…
とっかえひっかえ短い時間ではあるものの。
ほぼすべての女生徒との授業。
相手をさせられました。
うう。
皆の目が怖かったよ?
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