第96話 続、擬似ダンジョンの様子
世界ですでに知らない者はいないほど有名になった僕の擬似ダンジョン。
今日もせっせと多くの人たちが潜っていた。
あるものは修行のため、
あるものはお宝を求め、
そしてあるものはロマンを求める――
今日も僕はそんな様子を観戦しながら、ポーションづくりに精を出していたんだ。
※※※※※
僕の擬似ダンジョンが有名になった一番のきっかけ。
幾つもの秘宝や超絶武具。
そして何より死のリスクなく、鍛えられる事だった。
だが最近、特に人気なのが『若返りの秘薬』だ。
それを求める者、爆発的に増えていた。
その効果は実は多岐にわたるのだけれど、代表的なのは次の4つ。
〇その時点での体調不良を直す。
〇本来あるべき姿に戻す。
〇体内の魔力の流れを正常に戻す。
〇皮膚の新陳代謝を助け、つるつるの肌を生成する。
ぶっちゃけると回復薬と治療薬さらには解呪薬の混合製剤。
いわゆる“エリクサー”の改造版だね。
因みに原価はほぼゼロ。
ダンジョンポイントを消費しての僕の錬成。
ボッタクル商店での取引価格は25万ゴールド、だ。
何しろこの世界、前述もしたが医療分野は驚くほど遅れている。
適切な栄養学すらない有様だ。
実は以前依頼された他国での『影の騎士ノワール案件』
そこで助けた高貴の奥様に、一度処方したんだよね。
彼女生活習慣病と偏食で、すでに内臓がボロボロ。
それに伴って、実際の年齢よりも10歳以上老けて見えていたんだ。
その奥様。
僕の“秘薬”であら不思議。
輝くような美貌を取り戻したのでした。
その時その奥様付きの侍女や、友達の王女などが目の色を変え、影の騎士ノワールに詰め寄った。
なので僕はこう言った。
『マイハルド王国の擬似ダンジョン。そこでのお宝だ。他では手に入れることは出来ぬ』
ってね。
そんな訳で。
僕は今せっせとその秘薬、作っているのです。
モニタールームで観戦しながら。
もちろんこれは異星の者をあぶりだす重要な仕事だし、遊んでいるわけではない。
ないったらない。
まあ――最高の娯楽であることは否めないけどね。
何しろ生死をかけた真剣勝負。
しかも実際には死ぬことはない。
そんじょそこらの『プロレス』とはわけが違うのですよ。
一度一緒に観戦したキャルン姉さまなんて、めっちゃ興奮していたしね。
当然だが。
実際に死ななくてもダンジョン内ではけっこうあっさり死ぬ。
なので“グロ規制”はかけております。
(内臓が噴き出すとか腕が捥げるとかはモザイクが勝手に発動します)
※※※※※
『宝箱だ。どうしますか?』
聖協国リーディルドのムッハバラード殿下率いるパーティーが、27階層でレア確定の金箱を引き当てていた。
殿下はあの戦争騒ぎの後いたく反省し、回復した聖王とともに国内の立て直しに奔走していた。
ようやくそれが落ち着き我がマイハルド王国とも協定を結び。
ここ数か月毎日のように僕の擬似ダンジョンに挑戦していた。
「なんと?金箱だと…ライト言っておったな…小確率ではあるが、上層でも出る可能性があると…しかもその場合…おそらくレア以上」
その事実に目を輝かせるムッハバラード。
既に熟知している彼等、きっちりと盗賊とビショップを揃えていた。
「おい、サズイナ…どうだ?」
「はっ殿下…強制転移の罠…解除完了です…おおっ?!」
開かれる金の宝箱。
中には多くの財宝と見たことの無い剣、そして小手が入っていた。
響く電子音…
『ピコン…剣?×1、小手?×1、それぞれ27,200コールドを獲得しました』
その電子音とともに消える宝箱。
この辺はまさにゲーム。
究極のご都合主義だ。
「おおっ。…この剣?…ミイゼスト、鑑定してくれ」
「はっ…鑑定………こっ、これは…」
ごくりとつばを飲み込む6人。
「ど、どうだ?」
「これは…『スラッシュイーター』…ロングソード改+3…し、神話級です」
「おおおっ!!!!?」
沸き上がる6人。
僕の最初に作ったものよりは劣るけど。
まさに神話級の秘剣を彼らは手にしていた。
「よ、よし。皆『魔術の回数』は残っているな?」
「はっ」
「問題ありません」
ごくりと再度つばを飲み込み、ムッハバラードは指示を出した。
「戻るぞ。これは死守だ。絶対に持ち帰る」
「はっ」
「御意に」
※※※※※
あー
良かったね殿下。
実はすでに我が国との協定を結んだ殿下。
僕はお宝の制限外していたんだよね。
何より殿下はあの後、我が国の侯爵令嬢との婚姻が決まっていた。
誓約書だけではない、血を伴う同盟。
それに彼は優秀だ。
強くなってもらうのに、もう僕は遠慮しないと決めたんだ。
そんなこんなでくり広げられる喜悲こもごも。
僕はそれを見やりながら。
最終決戦、いわゆる異星の神との結末を思い描いていたんだ。
そろそろあの闇の女神。
まずはあの異星の神たちのナンバーツー。
サクッと攻略しますかね。
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