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第87話 僕、男の子から卒業します!!

夜――

僕の寮のリビング。


今ここにはなぜかルイやルザーラナ、そしてティアにものすごくお願いされ、転移してまで迎えに行ったヒャルマ先生までいるのだけれど…


つまり僕の婚約者総勢9名が、僕に注目していた。


もちろんヴィエレッタはうっとりとした瞳で僕の腕に抱き着いているけど…

ハハハ、ハ。


…なんかここだけ、寒くない?

うう。


「コホン。ライト様…そちらの女性…ヴィエレッタさん?…説明を」


据わった眼で僕を睨み付けるティア。

有無を言わさぬ圧力に、すでに僕の心はダメージを負っていた。


「んー。何々ライト?…また増やしたの?」


ニニャがあきれ顔でつぶやく。


「え、えっと。…コホン。…僕は『あるスキル』の為何度も人生と言うか生活を繰り返していた…それはみんな知っているよね?」


「…本当だったんだね、ライトキュン」

「うんうん。改めてひどい話だよね…あのクソじじい」


僕の言葉に同意するルイとルザーラナ。


「…いまいち要領を得んぞ?何よりその娘はなぜおまえにしがみついているのだ?!…あるスキル?繰り返し?…意味が分からん」


うあ、しまった。

僕ヒャルマ先生には説明していないや。


…そもそもどうしてティアは…

ヒャルマ先生まで連れて来させたんだろう。


「コホン。ヒャルマ」

「…は。女神様」

「わたくしの手を取ってくださいますか?心を落ち着けて…」


「は、はい。失礼しま……ひうっ?!……………はあ…そう言う事…だったのか…」


えっと。

ティア?


それって“禁呪”では?


思わずジト目を向ける僕。

今ティアが行ったのはいわゆる『神託の儀』

しかも直接。


…ヒャルマ先生『女神の加護』ついちゃったし?


「…なんですかその目は?…緊急避難です。仕方ありません」


…さいですか。

ハハ、ハ。


「ライト。酷いではないか。…どうしてもっと早く言ってくれなかったのだ…私は、私は…」

「…ごめんなさい。ヒャルマ先生…僕…」


大きくため息をつくヒャルマ先生。

そして改めて僕を見つめた。


「まあいい。…納得だ。…ライトの途方もない経験…だから私は惹かれたのだな…女として…」


そして噴き出す色気。

うう、なんか貞操の危機を感じる?!


「…ライト様……説明を!!」

「うぐっ」


うん。

まあ僕がまいた種だ。


責任と言うか説明をすることにしよう。うん。


僕は改めて、大切な婚約者たちに事のいきさつを説明したんだ。



※※※※※



「はあ。まったく。…ヴィエレッタさん?…辛かったね」

「う、うん。でも…今は幸せ♡…ライト、凄かった…少し怖かったけど大きな安心と感動で包んでくれたの」


「………え?」


話を聞き納得の表情を浮かべたキャルン姉さまがヴィエレッタの言葉を聞きフリーズする。

そしてまるで壊れた機械のようにギギギと僕に視線を向けた。


「…ライト?」

「な、なにかな、姉さま」



「…したの?」

「……う、うん」


突然姉さまからとんでもない色気が爆発。

僕に抱き着く。


「ズルい!!ライト言ったよね?わ、私はまだ12歳だから、しないって。だから14歳まで、デビュタントまで待つって…なのに…なのに…まだ11歳のヴィエレッタにしたの?…ズルい!いますぐわたしにもしてっ!!」


「うあ?えっと…お、落ち着いて?姉さま…ぷあ?!!」


そして成長した体を僕の顔に押しつける姉さま。


さっきの衝動が落ち着いたとはいえ、僕はいまだ興奮状態だ。

感触と良い香りが僕の鼓動をはねさせる。


「む?…なんだそれは?…私も知らんぞ?……魔力抱擁…ゴクリ。…なあライト?私の年齢は知っているよな?…私とて婚約者でれっきとした大人だ。…権利あるよな?」


ひいっ!?

な、な、なに言って…


「えー。ズルい。それならわたしもっ!!」


混乱に乗じて後ろから抱き着くニニャ。

さらにはなぜかミリまでハアハアしてる?!


その様子に心底呆れた表情を浮かべるティアリーナ。


“死の宣告”を僕に告げた。


「ライト様。この際です。…全員との魔力抱擁…してくださいませ……もちろん。わたくしがちゃんと慰めてあげます♡…マッサージしてあげますよ?やさしく、ねっとりと」


突然まるで女豹のような瞳になるティア。

その視線が僕の下半身をロックオンする。


突然背中をかけぬける経験のない衝動。

僕はがくがくと震えだし、熱いものが全身を駆け抜けた。

激しく変化する魔力の質――


「っ!?」

「…なに?この匂い…っ!?…も、もしかして…ライト?」


「っ!?…う、うあああっっ!???」


突然消えるライト。

皆がぽかんとしてしまう。


「えっ?ライト…魔力反応…っ!?お風呂場?…これって…」

「ゴクリ…ああ、あああっ!?ついに…男性になられたのですね♡」


ティアがいきなり自身を抱きしめうっとりとした表情を浮かべた。


全員に直感が走る。


とんでもない興奮と精神的プレッシャー。

それが相まってついにライトは『男性の機能』を獲得した。


顔を見合わせる9人の婚約者たち。

突然噴き出すとんでもない色気。


ずいっとティアリーナが前に出て皆を睨み付ける。


「…皆さま。…コホン。…今夜はわたくしの部屋に入ること、許しません。…ライト様は今夜私と…はうっ♡」


そんな様子に、にやりとするニニャ。

おもむろに自分の世界に突入しているティアリーナの肩に手を置いた。


「何言ってるのかな女神様。約束したでしょ?初めては…わ・た・し♡」

「ダ、ダメ―――」


突然ニニャに飛びつくキャルン。

ココナも涙目だ。


「…早いもん勝ち…それならっ!!」


つぶやき部屋を飛び出そうとするルイ。

結界に阻まれた。


「くうっ?こ、この、ダ女神!!解除しなさいよっ!!」

「嫌です」


「ルイちゃん、こっち。結界が薄いよ!!」

「よくやったルザーラナ…ぐはあっ?!!」


突然凍り付くルイ。

ティアの氷結魔術が炸裂していた。


「行かせません。この淫乱魔王がっ!!」

「煩いぞダ女神!!部屋で魔術とか…あんた狂ってるんじゃないの?!!」


カオスが広がっていた…



※※※※※



僕は強いし何ならすべての魔術が使える。

だからさ。



※※※※※



リビングで正座をし、目に涙をためている僕の大切な婚約者9人。

僕はその様子を、腕を組み見下ろしていた。


強制的な鎮静魔術。

僕はそれを行使し、反省するように魔力で包み込んだ。


根源にある誰もが持つ恐怖。

それを僕は躊躇なく叩きつけていた。


「…はあ。落ち着いたかな?」


「…は、はい」

「グスッ…ライト…こわいよ…」


「ヒック…ひん…」

「…くうっ、と、とんでもないな…」


確かに僕が悪いよ?それは否定しない。

でもね。


確かに『男性』になったけど…


僕はまだ10歳なんだよっ!!



いきなり『えっち』なんて――できるわけないでしょ!!


何より久方ぶりの感覚。

もし今それをすれば…まさに僕は完全に狂ってしまう。


確実に囚われる…溺れてしまう。


…実は一番渇望しているのは…

誰でもない、僕なのだから。



「ねえ、みんな?」


「…は、はい」

「……」


僕は改めて大きくため息をついた。


「僕はさ。色々な出会いで君たちと婚約した。僕は傲慢だ。間違いないよ?でもね…僕は真剣に…君たちが好きなんだ」


「はうっ♡」

「ライト…♡」


「うう、ライトキュン♡」


真っ赤に顔を染め色気を噴出させる9人の女性たち。


「…路線は変えない。しばらくは絶対にしない…いいね?」

「っ!?そ、そんな…」


目に涙を浮かべ、懇願するような視線を僕に向けるティア。


…ヤバイ。

決心が吹き飛びそうだ。


「コホン。ティア」

「は、はい」


「愛しているよ。本当だ。…だから僕は君を雑に扱いたくない。もし今すると…僕は君を“めちゃくちゃ”にしてしまう。まるで道具のように…僕は嫌だ」


正直さっき成長し、機能を獲得した僕の…。

実は隠蔽を全力で使っているけど…


既に破裂しそうなほど膨張しているんだ。


「…ライト様…ご、ごめんなさい。わ、わたくし…」

「うん。ごめんね。…でもありがとう。…分かってくれるよね?…僕に時間をください」


「…はい♡…待っています」


そんな様子に涙ながらにニニャがつぶやく。


「…しょうがない、かな。…道具みたいにめちゃくちゃにされる…ゴクリ。それもいいかも♡」


「…ニニャ?」

「ひうっ?!!……ごめんなさい」


「…うん」



※※※※※



こうしてどうにか騒動は収まった。


…僕はこっそり遠い大海原のど真ん中へ転移して…

自分で…そ、その。


…さすがに収まりつかなくて、ちょっと海に出て『気を鎮めた』けどね?


な、内緒だからな!?



…今度消臭剤と柔らかいティッシュ。

創造しよう。


うん。



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