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第83話 騒動の鎮静化

南方の深い森の中、“次元の交錯”が沈静化された場所――


僕によって無力化されたダンジョンでは。

8名の異星の者たちがどうにか脱出を試みているところだった。


「…厄介だね…魔力が練れん…これじゃあたしゃ只のババアだ。…こりゃおとなしくしてるしかないねえ」

「ヒョナ婆が無力?…これはチャンスでは?!」


思わず零れる心の声。

睨み付けられるフェレネルト。


「あん?何か言ったかい?――残念だ女神」

「ぐうっ、ひ、酷い。横暴だあ!!リュガリール様に言いつけてやるう!!」


「好きにおし。…まずは脱出だ。この星には多くの同胞がいる…取り敢えずコンタクトを取らなくちゃね」


彼等がいたのは最下層。


次元の交錯が強制的に解除されたことで、構築していた神殿をはじめ、幾つかの備えも崩れてしまっていた。


今は地下28階層をうろついているところだ。


「ぐうっ?!このおっ!!」

「ギャース」


当然のようにいる魔物たち。

すでにそのほとんどが、この惑星特有のものに置き換わっていた。


「厄介だね…負けはしないが…食料も心もとない…食えそうな魔物は消し去るんじゃないよ」

「「は、はい」」


指示を出し、息をはくヒョナイニダ。

じろりと女神を睨み付ける。


「おい、フェレ嬢ちゃん」

「…なによ」


「スキルはないのかい?連絡とかの」



「…ナー君に」

「…あん?」


「だから、ナー君に渡してあるの。…きっともう死んだわ…さっきの『とんでもないアイツ』のせいで」


ライトの施した認識阻害。

そのおかげで彼女たちはすでにライトの姿すら覚えていなかった。


ただ絶対的な強者と言う認識。

それは魂の根源の恐怖と紐づけられ、その感情のみが増幅されていた。


「確かにな…じゃが死んだのなら戻ってくるのではないのか?…お前さんの得意分野じゃろうが」

「…そうよね…うん。引き寄せてみるね………はあ?!」



「…なんじゃ?」


目をパチパチとする闇の女神フェレネルト。

そしてむなしく虚空をさまよう手。


「…死んでない?…しかも精神壊された?…うわあ、ナー君…ただのトカゲになっちゃってる?!」


正直ライトはそこまで読んでそうしたわけではない。

何となく?


殺すよりも生かして種族変更した方が、彼らに“精神的ダメージ”を与えられると思っていたからなのだが。


まさに“腹黒”の極致。

会心の仕事になっていた。


「…死なねば回収できぬ…そう言う事じゃな?」

「う、うん」


大きくため息をつくヒョナイニダ。

ジト目を女神に向ける。


「まったく。…勝手に先走って策はすべて中途半端。あまつさえアーティーファクトを与えた従者は殺されずに改造を受ける始末――どうやらリュガリール様に怒られるのはあんたの方じゃな」

「ひぐっ?!」


「おい、ボナイレイド」

「はい」

「焦っても仕方がない。…野営の準備しな」

「…はい」


突然立ち止まり、野営の指示を出すヒョナイニダ。

皆がほっと息を吐き出し、それぞれ準備を始めた。


「わしらとて疲弊しておるんじゃ。…こんな異星で死ぬなど――あり得ん」


ヒョナイニダのつぶやき。

その言葉に皆が頷いていた。



※※※※※



一方ルアマナの森の奥深くに突然現れたダンジョンを攻略したライト。

スタンビードであふれた魔物を狩りつつ、すでに城門へと戻ってきていた。


「父上、戦況はどうですか」

「おお、ライト。無事だったか…お前の齎した武器…あれはやばいな。…格上ですら倒せている。…おかげで魔物素材、大量だ」


戦時の高揚感。

そんな表情を浮かべる父上に僕はほっと胸をなでおろしていた。


「おおっ、それは良かったです。…父上、ダンジョンは潰しました。もうこれ以上魔物は増えません。…離れてもよろしいでしょうか」


「離れる?…、もしや…」

「ええ。どうやらこの騒動、世界中です。…封殺してきます」


相変わらず少年のライト。

でもその瞳にはれっきとした絶対者の光が灯る――


「…ライトの力は信じている…だが…くれぐれも油断はするな」

「はい。行ってきます。…ティア、手を」

「はい。ライト様。…ノイド卿、心配いりません。わたくしもついていきます」

「女神様…よろしくお願いいたします」


言うが早く魔力の残滓を残して消える二人。

その様子にノイドの闘志に火が付く。


(息子におんぶにだっこ…いかんな…敵わないのは分かっているが――悔しいではないか)


「全軍、傾聴!!」


「はっ!」

「っ!」


大きく息を吐き、声を張るノイド。

それにはかつてない闘志が込められる。


「ダンジョンの大元はライトが押さえた。残りの敵は今見える物のみだ。――我が領の誇りを胸に、殲滅せよっ!!!」


「うおおっ!!」

「やるぞっ!」

「守るんだ、俺達が!」


爆発的に迸る領兵たちの闘気。

そして覚悟に染まる瞳。


その凄まじさは大気を震えさせるほどだった。



ガルデス辺境伯領での戦い――

完全勝利で幕を下ろす。



※※※※※



あの後転移して訪れた西方の秘境にあるダンジョン前。


「あの。ライト様?…これは…」

「あーうん。アハハ、アハハハ……」


闇の女神なんちゃらが掛けてきたちょっかい。

その影響下でミラリルス“17か所”のダンジョンが溢れ始めていた。


まさに星が滅ぶ大激震――


もし彼女たちの準備が整っていたら。

大きな被害をもたらす事態だった。


『準備不足なのに我慢が出来ず

“ちょっかい”をかけた闇の女神フェレネルトの大失態』


何はともあれそんな隙だらけの計画。

優秀なダンジョンコアである『セイ』がすでに掌握。


僕の潰したダンジョン以外の16か所

既にセイによって無力化に成功していた。


ただその最中。

はじき出された異星の魔物とそこの神の眷属たち。

彼等については今僕が、端から潰していたところだ。


まあ。

殆どいないのだけれど?


皆逃げ帰ったんだよね。


「…どうにか今回の試練…無事修了なのでしょうか?」

「えーっと。………うん。気配はない、かな。…あとは南方のダンジョンだけだね。まあかなり時間は稼げると思うから…実際の攻略は来年かな」


邂逅を果たしたことで、すでにライトはおおよその事実を把握していた。

そして優先順位の再認識。


「…来年?…それはまた…先と言いますか…」


「うん?だって侵略者のナンバー2である闇の女神がいる…たぶんだけど奥の手持ってると思うよ?…今はそれよりもやることがある。…この星に元々いる異星の神の眷属たちの処遇だね」


多くの来訪者が訪れる僕の擬似ダンジョン。

すでに“リョダクラス”を12名発見し、5名は解呪して訓練に励んでいる状況だ。


そして。


「…いよいよ学園内にも…その存在確認されちゃったし」

「そうですわね…本人たち、全くそんなこと知らないようですけれど…」


キャルン達の擬似ダンジョン攻略授業。

その時のアバター作成時に4名の学園生が『異星の生物が擬態している事』が判明していた。


一応こっそりリョダと相談したのだけれど…

『目覚めないのなら…その方が幸せです…ライト様…お願いします』


とか言われちゃえばね。


万が一目覚めても対象の4人はレベル40前後。

対処は容易だ。


という訳でいましばらくは様子を見ることにしたんだ。


そんなこんなで今僕の擬似ダンジョンでは多くの異星のモノに対し、適正に処理を進めているのだけれど…


ミリが

『すっごいご馳走じゃの。ダンジョンポイント、とんでもない事になっておるわ!!』

とか言っていたから。


一度確認した方がいいかな。



何はともあれ落ち着いた今回の侵攻。

大きな被害を出すことなく、終わりを告げたんだ。


僕は安堵と――いよいよ始まる危機。


それを心に刻み込んでいた。


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