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第48話 拗ねる婚約者と帝国の胎動

結果として。


式典は滞りなく挙行され、無事終了を見た。

今は国同士の連携や、女神教の皆さんが追加の会議を行っているところだ。


ひとまず僕たちの役目は終了。

後は少しお話して解散。


…そう思っていたんだ。


どうしてこうなった?!



※※※※※



今回の式典、大きく議題は4つ。


女神ティアリーナの降臨。

魔王ギルイルドとの和平の締結。

そして女神さまと婚約する影の騎士ノワール。

さらにはいずれ襲い来るであろう異星の神たちとの決戦。


全てが今までの常識を覆すないようだ。


因みに僕、ライトはただのホスト。


つまり僕の『洗礼の儀式』

そこで何故か分からないが女神さまが復活したことが、今回の参集者全員の魂に刻まれた。


もちろん元々知っている陛下やロキラス殿下、そしてマイハルド王国の人たち。

それからティアやルイ、魔将の皆の記憶はいじってないけどね?


何よりこれで僕のとんでもない範囲に及ぶ情報の流出は防ぐことができた。


まあ色々開発した功績と、それに伴う伯爵への叙爵については隠蔽すると混乱するので。

それについては普通に認識してもらいました。


たいした内容じゃないもんね。


うん。


僕、グッジョブ。


そう僕は思っていたんだ。



※※※※※



式典を終え今僕たちは控室で休んでいるのだけれど。


何故かティアがさっきから黙っている?

…ルイも機嫌が悪い?


うん?


「…ライト様…」

「う、うん?」


ジト目を向け何故かふくれっ面のティア。

おもむろに僕に詰め寄って来た。


「酷いです、どうしてわたくしの婚約相手『影の騎士ノワール』なのですか?…せっかく全世界に私とライト様の正式な婚約、発表できると思っておりましたのに」


「うえっ?!で、でも、僕じゃん。ノワール」


「そう言う事ではありません。…もう!」



何故か僕を突き放し、膝を抱えるティア。

そしてさらなるジト目が、とんでもない魔力を含み僕に突き刺さる。


「うんうん。酷いよねライト。女心分かってない。それにさ、どうしてボクとの婚約、言わないのさ!!ライト本当に酷い!!」


「ふわっ?!だ、だって…きょ、今日のところは僕とティアの婚約の発表だけでしょ?」


「うー。ライトのけちっ!せっかく午前中の会議で『重大発表があるのだ。皆心せよ』とか、格好の良いこと言っておいたのにっ!!」


それ僕知らないよ?

ハハ、ハ。


僕は思わず助けを求めるように視線をさまよわせた。


僕と目が合うイスペリア。

なぜか『だめだこりゃ』と言わんばかりに手を広げやがった。


この裏切り者!!


「コホン。ライト。確かにあれはないと思うぞ?ま、魔王殿との事は知らぬが…さすがに“あれ”は女神さまが不憫だ」


「うぐっ?!」


なぜか残念なものを見るような瞳を向けるロキラス殿下。

ルザーラナも大きく頷いている?!


「で、でもさ。僕のことはまだ公にする段階ではないと思うんだよ。確かに覚悟は決めていたけど…ていうかあの段取り、僕聞いていないのだけれど?…ルイ」


「うぐっ」


形勢逆転。

今度は僕のジト目がルイに突き刺さる。


「何が『僕の魔力を刻む』だよ。陛下まで巻き込んでさ…まったく」


大仰に腕を組む。


「確かに手っ取り早いとは思うけど…僕前に言ったよね?別にこの世界を支配したいとか好きに動かしたいとかないの」


自分の言葉に大きく頷く。

良い感じで僕のターンだ。


「いいじゃん。影の騎士ノワール。…むしろあの対応に助けられたと僕は思ってるんだよね。

だからサプライズのお返しってことで」


そして決め顔。

決まったね。


「うー。…はあ。まあいいよ。確かにライトの言う事も一理ある。でもね?」


「う、うん?」


「今夜はちゃんとティアとしっぽり過ごしなさい。…ライト午前中エッチい事したんでしょ?もっかいやりなさい」


「うえっ?!」


ま、マジか?

あれをもう一度?!


うう、僕の忍耐と倫理観が…


確かにあれはマジで気持ちよかったよ?

何より温かく、幸福感が半端ないからね。


失神しちゃうくらいだし?



でもね…


どうしても不完全燃焼になっちゃうんだよ!!



「ほらティア、元気だしなよ。ライトもう一度やってくれるって」

「…ほ、本当ですか?…ライト様♡」


うあ、僕が悩んでいる隙に…ぐうっ。


「…ライト様♡」


……………………はあ。


確かにちょっとティアが可哀そうかな?とかは思っていた。


うん。

しょうがない、よね?


僕は大きくため息をつき、そっとティアの腕をとる。


「…分かったよティア。確かに僕の君への気遣い、欠けていたよね。…許してもらえるとは思わないけど…少しでも埋め合わせ、させてほしい」


僕を見つめ途端にやたらと色気を噴出させるティア。

あー、うん。


ノリノリですね?!


…自分に興奮抑制、掛けておこうかな。

何より癖になっちゃいそうだもんね。


…他の子たちとも………………


はっ?!!


いかんいかん。


一人脳内で悩んでいると何故か後ろから柔らかいものが僕を圧迫してくる。

とんでもない悪寒がするんですけど?!


「ふっふーん♡…『魔力の抱擁』よね?…明日はボクの番♡」

「あ、明後日はうち♡」


絶望が僕を包み込んだ。


あー。

やばいって。


誰か助けて―!!!!



僕の心の叫びは誰にも届くことはなかったんだ。


僕のスローライフ、本当にどこに旅に出ちゃったの―――?!



※※※※※



東の帝国、代表団の豪奢な馬車の中。

珍しく公に姿を現した帝国には多くの会談要請が来ていたのだが…


何より持ち帰って対策を取りたいと、次回また来訪することを約束し。

速やかに帰路へと着いていた。


何しろ遠い帝国。

この世界の移動手段だとおよそ10日ほどかかってしまう距離だ。


取り敢えずお互い通信の魔道具を躱し、連絡は取ることを確約していた。


港を目指し、ひた走る馬車。


今回訪れていた第一皇子であるヴィラーリヒ・ウイル・イスタールは真剣な表情で目の前に座る宰相、ラッケル侯爵に問いかけていた。


「…宰相、影の騎士ノワール…どう見る?」


がたっと揺れる馬車。

そんなことはお構いなしと、ヴィラーリヒはその目にさらに力を込めた。


「そうですな…未知数…ほかに言いようはありませんな」

「…同じ見立て…か」


大きくため息をつく皇子。

ちらと視線を窓の外に向けた。


「凄まじい…な」


そう独り言ちて。



※※※※※



東の帝国、イスタール帝国。


マイハルド王国よりおよそ2000キロ離れた違う大陸の覇者だ。


今回の呼びかけ、初めは来るつもりがなかった。

しかし帝国に伝わる神器である予見書。


数百年まるで時が止まったように閉ざされていたその書物、光を纏い突然閲覧ができるようになっていた。


記されていた内容。

あまりの内容に即座に“厳戒令”が出された真実。


さらには時を同じくして帝国の奥地に住む秘境の一族。

その族長までもが、数十年の時を経て皇居まで押し掛ける騒ぎまでもが起こっていた。


『時が来た…この世界はまさに破滅か共存、その2択じゃ』

『超絶者による牽引。…乗り遅れることそれはまさに滅び…西じゃ』


そんなことを捲し立てる秘境の一族の族長。


普通なら眉唾だし、摘みだして終わる話だ。


何しろ帝国は既に大陸を制圧。

当然軍事国家だが、ヒューマン同士が戦わなくても良いように併合をしたのだから。


当然平和を求めていた。


しかし時とともに強化されていく魔物の群れ。

国一の魔術師のまじない、それにも示されていた審判の日。


それらが重なり今回和平の式典に参加を決めていた。



※※※※※



「…まあ、間違いなく強者でしょうな。…これを」


そう言い胸元からこぶし大の魔道具を取り出す宰相。


「ほう?鑑定の魔道具…しかもこれは…アーティーファクトではないか」

「ええ。それだけ陛下も心配されているということです。それよりも…」


魔力を揺蕩らせる宰相。

魔道具が光を放ち、まるでホログラムのように数字が浮かび上がる。


「っ!?…測定…不能?!…ば、馬鹿な…宰相、これの上限は幾つだ」

「…500でございます」


「500?!…あ、あり得ん。…伝説の勇者でさえ…300と聞いている。しかも数千年前の人物…まさか…あの影の騎士ノワールは…それ以上と言う事なのか?!」


「ええ。…信じられませんが…それに魔王…ギルイルド殿の数値、400を越えておりました」


帝国は軍事力に秀でている国だ。

現在最強の騎士、近衛騎士団長のロイビルグが113。


正に人外だが…


「…それに…」

「っ!?ま、まだあるのか?!」


「あの魔将の皆さま…全員が300を超えております。そして異星の戦士リョダ殿…460です」


思わず呆けてしまうヴィラーリヒ。

そして同時にごくりと喉を鳴らしてしまう。


「今回の訪問…正解だったということか」

「まさに…陛下には既に報告済みです…殿下」


「うん?」


「…この国の者との婚姻、進めよ、とのご指示です」

「っ!?…ふう。あい分かった。…候補は?」


今回訪れたヴィラーリヒ。

年齢は26歳。


実は独身でいまだ婚約者すらいない状況だ。


当然力ある大国の皇子。

釣書は数多く届いていたのだが。


頑として皇帝が認めなかったのだ。

恐らく…


皇帝は知っていたのだろう。

今回のこの事態を。


「まったく。わが父ながら…皇帝は恐ろしいお方だな」

「…聞かなかったことにいたします」


馬車は進む。


そして世界は激動の時代へと突入していくのだった。


「面白かった」

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