表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/161

第44話 後始末のお時間

この世界、女性に対する乱暴は重罪だ。

特にマイハルド王国はそういうことに対してかなり厳しい法律を適用させていた。


何より蔓延していた聖職者による性的虐待の数々。

頭を悩ませていた陛下は、せめてもと、法律を強化していた。



※※※※※



暫くして。

僕は改めて今回姉さまに不埒なことをした二人を前に、腕を組みつつも見下ろしていた。


「…それで?お前。…この落とし前、どうつけるつもりだ?」


僕の前でまるで懺悔するように正座をしている二人の男性。

特にキャルン姉さまに怪我をさせた男は既に両腕を魔術で神経を無効化、使えないようにしていた。


…手癖の悪い腕なんて必要ないでしょ?


「お、お前…こ、こんなことして…た、只で済むと思うなよ?ぼ、僕は聖王国ルガードの高位貴族の息子だぞ。ち、父上に言って…」


正座しているくせに反省の色を見せない男。

なぜか勝ち誇るその様子に僕はそっと魔道具のスイッチを入れた。


流れ来る目の前の男の言葉。


『お、おい。…ぼ、僕が先だ…』

『…取り敢えず着替えないと…せっかくの『神のご加護』だ。…じっくりと、な』


「っ!???な、な、なんだと?!」


僕は大きくため息をつく。

もちろんすでにキャルン姉さまは寮へと連れて帰っている。


今から行う事。

僕は姉さまには見せたくなかった。


「今のは言葉だけだけど…しっかり襲撃時の映像もあるんだ。言い逃れはさせない…だから言っているだろ?…どう落とし前付けるんだよ?」

「うぐっ」


うなだれる男。

これはれっきとした証拠。

つまり男はもう何も反論が出来ない状況であることを認識していた。


「…き、キサマ…何者だっ!!…くそがっ、俺様の腕…感覚がねえ…くそがっ、気が、く、狂いそうだ」


「うん?気が狂う?ハハハ。そんな程度で済ませるわけないだろ?」

「な、なあ…ひぎいっ?!!」


みしりと音を立て、先から徐々に消滅していく男の足。


僕が付与したのは可視化できるほどの強烈な『幻術』

実際には――この男に足は無事だ。


しかし。

彼は今、かつてない激痛を感じている事だろう。


「ぐうっ?!いぎいっ?!!ひいっ?!ひぎゃあああああああーーーー??!!!」


のたうち回るエメロンと呼ばれていた男。

余りの悍ましさに、彼の茶髪がその色を無くしていく。


僕はただその様子を冷めた目で見つめていた。


「…で?…お前も『同じ目に遭いたい』ということでいいのか?」

「ひいっ?!す、すみませんでした…そ、その…も、もう…」


「はあ。…だから!!落とし前、どうするのかって聞いているんだよ!!…僕はね、頭に来ているんだ…一瞬でケリがつくなんて…そんな優しさ、もう僕には無い」


始まる罰の執行。

僕は自分の迂闊さに、唇をかみしめていたんだ。


(もう二度と…絶対に僕の彼女たちに触れさせない…絶対に)


部屋を包み込む絶叫。

鼓膜を叩く、聞くに堪えない叫び声。


まさに地獄。


僕は。

自身の戒めも兼ねて、いつもより執拗に、じっくりと。


彼等に罰を与え続けていた。


顔をしかめながら。



※※※※※



実は学園。

こういう事、かなり多く発生していた。


今回罪を犯したのは聖王国ルガードのキャベネイ伯爵家の次男ルナド。

そして付き人である魔導士のエメロン。


この二人、実はすでに同じ犯罪に手を染めていた。

被害者となってしまった2名の女生徒が人知れず退学。


彼等に弄ばれ。

絶望し1人は自らの命を断っていた。


もちろんこの二人には僕がきついお仕置きをしておきました。

まあ、『幻術』なんだけどね?


当然だけど、5体満足です。


でも彼らは逃げるように学園を退学、自国へと帰っていったんだ。


うん?

叛意?


ああ。


絶対に無いと思うよ?

きっと。


彼等はそこまで馬鹿ではない。

僕と言う存在。


とことん彼等の魂に刻み込んでおいたからね。



※※※※※



国王の執務室。


重く暗い雰囲気に包まれていた。


「…ライト……すまぬ」

「…顔をお上げください。陛下が悪いわけじゃないでしょうに。陛下はこういう事態にならないよう、法を整備してくださっています。…他国の馬鹿が暴走した。それだけです。…ただ…」


「……」


「二度とこういう事、無いようにしましょう。…僕も協力します」


僕は魔力を練り上げ、幾つかの魔道具を錬成。

それを執務室のテーブルの上に並べ、一つをロキラス殿下に手渡した。


「うん?これは…魔力の発信機?」


「ええ。さすがロキラス殿下。これを女生徒に配っていただけますか?意に添わぬ異性からの接触――その想いに反応します」


「なんと…装着者の心を拾う…とんでもないアーティーファクトであるな」


陛下が目を白黒させ、ため息をつく。


「取り敢えず100個置いておきます。受信機は詰め所にでも置いておいてください。…おそらく幼少部は必要ないでしょうが…中等部の女生徒にはお渡しください。足りないようならまた追加します」


恐る恐る魔力で確認するロキラス殿下。

その様子をちらと見やり、陛下が僕に声をかけた。


「う、うむ。…ライトよ」

「はい?」

「…人の持つ(さが)…お前はどう見ておるのだ」


真剣な瞳を僕に向ける陛下。

――この人は本当にまっとうな王だ。


「…しょうがない、とは思います。誰もが望む結果を得ることはできない。だからどうしても後ろ暗い感情、それはもう摂理ですよ」


「摂理…か」


僕は天を見上げ、大きくため息をついた。

そして真直ぐに陛下の瞳を見つめる。


「それも含めて『自然』なんですよね。…だからこそ僕は…この世界、楽しみたいと思っています」


一瞬顔を引きつらせる陛下。

そして何度も頷いた。


「で、あるな。…分かった。ライト、今回の件、まことにすまなかった」

「…はい。謝罪、謹んでお受けいたします。…陛下?」


「うん?」

「…僕はまだ9歳ですよ?次からは父上にお願いします」


「ふはっ。ライトは父上に対して厳しくあるな。…心にとどめておこう」


ようやく優しい表情を浮かべる陛下。

本当に陛下はいい人だ。


僕は満足げに頷いていたんだ。



※※※※※



あのあと。


陛下の勅命ですべての生徒に対し聞き取り調査が行われた。


実に性的暴行、その件数300件以上。

もちろん今年だけではないし、『腕を掴まれた』などの軽い被害が殆どだ。


でも。


無理やり純潔を散らされた女生徒も多くいた事実。


僕は改めて、手の届く範囲、どうにかしたいと心に決めていたんだ。

そしてこのことがきっかけとなり、僕の名声は轟いてしまう。


失念していたんだよね。


良い人過ぎた陛下、今回のアーティーファクトと言うか通信機?


何と僕の開発品だと発表してしまったんだよね。

何でも僕に報奨金を渡すためだとか…



僕のスローライフ…


さらに遠のいた瞬間だった。


「面白かった」

「続きが気になる」

 と思ってくださったら。


下にある☆☆☆☆☆から作品への応援、お願いいたします!


面白いと思っていただけたら星5個、つまらないと思うなら星1つ、正直な感想で大丈夫です!


ブックマークもいただけると、本当に嬉しいです。

何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ