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第37話 まさかの追加ですか?

オーウェン伯爵のタウンハウス、父上にあてがわれた執務室。


今僕は、二度とココナがひどい目に合わないよう少しだけ父上に“わがまま”を言っていた。



もちろん王宮で事情の説明を終え、ココナも連れてきているよ?



※※※※※



「むう。それはいいが…。なんだ、そ、その…ティアリーナ様は承知しておるのだな?」

「ええ。わたくしも承知の上での判断です。…ノイド卿、いかがでしょうか?」


何故か背筋が凍り付くような笑みを浮かべるティア。

えっと。

納得…してくれたんだよね?


「コホン…取り敢えずココナが学園に通う事、陛下には許可を頂いております。…彼女は孤児。後見人すらいません。…今のままではきっとまた“同じような目”に遭ってしまいます」


正直…きっとこの世界。

彼女のような立場の少女は数えきれないだろう。

確かに僕は全部を救うなんてことはできない。


僕はその想いをかみしめ、改めて父上の瞳を見つめた。


「彼女は、ココナは…二度も僕の前で命の危機に遭ってしまった。――僕は放ってはおけません」


僕の懇願。

目をつぶり静かに聞いていた父上は、ゆっくりと僕に声をかけた。


「…ライト。…お前のそれは“傲慢”だ。――分かるな?」

「…はい」


父上は大きくため息をつき天を仰ぐ。

まさに父上の仰る通りだ。


本当に救いたいのならそういう仕組みを作るべきだ。

もちろん簡単じゃないし長い年月を必要とするだろう。


何より個人の力で構築できるものではない。


でも違う。

僕は自分の力で“傲慢”に助けるだけ。


しかもすべてではなくココナ只一人を。

何よりも僕はこの世界を作り替えるつもりなんてない。


申し訳ないが、それも含め現実だからだ。


僕は僕の思う通り、気ままに助けられるものだけを助ける。

それは正直“正義”ですらない。


只の傲慢。


僕は真っすぐに父上の瞳を見つめた。


「父上。正しくないのは承知の上です。これは僕のわがまま…どうかお願いいたします」


僕の様子を見やり、父上はすっと視線を先ほどから固まってしまっているココナに向ける。

そして優しい口調で問いかけた。


「ココナ、と言ったかな?…君はどうしたいんだい?…もちろん不敬などとつまらぬことは言わないよ?正直に思っている事、話してごらん」


「う、あ、え、えっと…そ、その…」


話しかけられますます緊張するココナ。

何故か彼女は視線をティアリーナに向け、そして大きく頷いてから真直ぐ父上に視線を向けた。


「…わ、私は…2度もライト様に助けられました…きっと運命…私、ライト様のお嫁さんになりたいです!!」


「はあっ?!」


何を言いだすの?

ココナ?!


ぼ、僕はそんなつもりじゃ…


「ふむ。まあ、そうなるな」


はあっ?!

ち、父上?


どうして納得しているのですか?!!


そしてなぜか諦めたような表情を浮かべるティア。

そしてキッと僕を睨み付けた。


「まったく。…ライト様?こうなるの、わたくしは分かっておりました。もう6人も7人も変わりません。責任取ってあげてくださいませ」


「せ、責任?…ぼ、僕…」

「直接彼女の肌に触れましたよね?」


うえっ?!

い、いや、だからあれは…『触診』で…


ティアの発言に父上の眉がピクリと動く。


「…肌に触れた…だと?!」

「い、いや、あ、あれは、そ、その、治療の一環で…」


「ライト」

「っ!?は、はい」


何故か呆れたような、それでいて優しげな瞳で父上は僕を見つめた。


「好きにしなさい。ただし」

「…はい」


「女神さまの発言、重く受け止めなさい。俺はお前を信じている」


「…あ、ありがとうございます」


ううー。

絶対父上、勘違いしているよね?


まあ。

きっと許してくださるとは思っていたけど…


そんなことを思っている僕の左腕に、いきなりココナが抱き着いて来た。


「ライト様…そ、その…わ、わたし、け、経験ありませんけど…精一杯お勤めしますね」

「はあっ?!お、お勤め?!」

「…ライト様…好き」


カオスだ。


僕は助けただけなのに。


何故かまた一人、僕の“婚約者”が増えた瞬間だった。


だけど。

今回の事件でも、僕は大切なみんなを守れたこと。


それは嬉しくあったんだ。



※※※※※



やっと平穏を取り戻した僕たち。

学園が始まるまでの間、ココナはオーウェン伯爵のタウンハウスで一緒に暮らすことになった。


僕は今彼女の勉強を見ているところだ。


「えっと…うん。…これで合っていますか?」

「うん?どれどれ…えっと…ココナ?君、ついこの前まで字すら書けなかったんだよね?」

「は、はい。…間違えていますか?」


正直驚いた。

彼女の回答…


100点満点だ。


彼女は今14歳。

もちろん問題は幼少部の物。


でも孤児だったとは思えないほど彼女は聡明だった。


「…凄いな…君は勉強をしていたことがあるのかい?」

「えっと。そ、その、教会の教えを読むように指示されていました。それで…少しずつ覚えたんです…字は奇麗に書かないと…そ、その、お仕置きされたので…」


この世界識字率は著しく低い。

恐らく人口の40%程度だろう。


貴族と商人くらいしか必要がないからだ。


「お仕置き?…酷い事されたのかい?」

「いえ、そ、その…シスターが…」


「うん?」

「…おしり…ペンペンするんです。…痛いというより…すっごく恥ずかしくて…必死で覚えました」


…お尻ペンペン?

きっといい人?


なのかな?


コホン。


「そ、そっか。…えっと100点満点だよ?これなら幼少部は問題ないね。来月からは僕と同じ学園だ」

「ラ、ライト様と同じ学園?…ひうっ♡」


途端に顔を赤く染めるココナ。

実はこの子、ちゃんと湯あみさせ服を整えたら。


とんでもなく可愛い女の子でした。


ティアとはタイプ違うけど…

なんだか守りたくなっちゃう感じなんだよね。


「ラーイートー!!」

「うあ、ね、姉さま?」


思わず照れるココナを見つめていたらキャルン姉様が僕を睨み付けていた。


「むう。見蕩れるなんて…ね、姉さまのこともちゃんと見てよね!」

「う、うん」


実はこの勉強会、キャルン姉さまも一緒にしていたんだよね。

僕は自分の椅子に座り、少し冷めた紅茶でのどを湿らせた。


そんな僕を見やりココナの答案用紙を手に取る姉さま。

何故か頷き、キャルン姉さまはココナに抱き着く。


「凄いです。ココナさん。…字もキレイ♡…“ココナお姉さま”って呼んでもいい?」

「うあ、え、えっと…キャルン様はライト様のお姉さま…と、とんでもないです!」


あー。

キャルン姉さまは辺境伯の御令嬢。

一方ココナは孤児だもんな…


うーん。


この世界、意外と『そういう格差』はしっかりとしている。

プライベートでは問題はないが対外的にキャルン姉さまとココナが親しくするのは問題があるのは確かだ。


僕たちは辺境伯の子供。

爵位的には伯爵家よりも上の存在。


国を維持する意味もある爵位だけど…

こればかりはいかんともしがたい事は以前の僕の生活でも嫌と言うほどわかっている事だった。


(はあ。色々と考えなくちゃな…)


僕は一人、ココナに何故か懐いているキャルン姉さまを見やり、思考を巡らせていた。


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