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第25話 もてる男はつらいよ?

「ライト様♡」

「ライト♡」

「ライトキュン♡」


うわ、デジャビュ?


僕が戻ると3人同時に目を輝かせ僕に抱き着いて来た。


すでに薄暗いのだけれど…

何故かここだけピンク色?!


「えっと、待たせてごめんね?……少し離れてくれるかな…ハハ、ハ」


「むう、ライト様はいけずです」

「ねえねえライト、学園に行くってホントなの?」

「ライトキュン、ライトキュン♡」


うあ、なんか悪化してない?


取り敢えず僕は3人をどうにか離し、大きくため息をついた。


もうすぐ夕方になる。

お母様と約束したんだ。

どうにかしてルイとルザーラナを魔王城へ帰さないと。


「コホン。取り敢えず僕はティアと二人でうちに帰るからさ、ルイとルザーラナは魔王城まで送るよ?」


そう言った瞬間。

二人がまるで石になったように固まってしまう。

そしてとんでもない事をルイが言い出した。


「……捨てるの?散々ボクを……あんなに…」

「はあっ?!」


目を潤ませ上目遣いで、僕に縋りつくルイ。

そしてルザーラナまでもが瞳を潤ませる。


「うち、うち、もう……ライトキュン…うちを……何度も何度も……連れてって♡」


僕、何もしてないよねっ?!

あうう、助けてティア!!


僕はティアを見つめる。

きっと彼女なら僕を助けてくれる。


そう思った。


「……ライト様?これはもうしょうがないですわ。……この二人、連れて帰りましょう」

「え、えええっ?!……な、何言っているの?!」


そしてそっと僕の腕を取り、耳元でささやくティア。


「……ライト様の仕打ち…もうこの二人、あなた様から離れることなんてできません。今戻しても必ず追いかけてきちゃいますよ?なら目の届くところであなた様が『教育』してあげてくださいまし」


っ!?き、教育???

な、何言って……

それって『教育的指導』だよね?…まさか、夜の?!!


「でも、一番はわたくしです。いいですよね?ライト様♡」


そして圧を纏い、僕を見つめるティア。


うん。

やっぱり僕は女の子には勝てない。


改めて僕は思い知ったんだ。



「はあ。……きっとキャルン姉さま、怒り狂うよね……憂鬱だ」


仕方なく僕は3人を連れてわが家へと転移していった。



※※※※※



約束通り僕はお母様に報告した。

僕から絶対にはなれない3人を伴って。


なぜかジト目ですっごく見られたけど……



どうにか自分の部屋についたところだ。


「うう、なんだかすごく疲れた。

ねえ。まさか3人とも、僕の部屋で寝るとか言わないよね?

ちゃんと部屋くらいは用意させるよ?」


「えー、ボクライトと添い寝したい♡」

「う、うちも♡……な、何ならうちの上で……寝ても良いよ♡」


女の子の上で寝る?

それどんな鬼畜?!


ついため息が出てしまう。


そしてさらなる混乱が僕に襲い掛かる。

お母様の報告を聞いたキャルン姉さまが血相を変え僕の部屋に飛び込んできた。


「ラーイートー!!!!」

「う、うわあ?!キャ、キャルン姉さま?!ぶわっ?!!」


そして突撃。

勢いのままベッドの上で抱き合う格好になってしまう。


うああ、姉さままだ11歳なのに……成長早くない?

もみくちゃになる僕と姉さま。


「……もう♡……んん……いいよ?」

「な、何言って……ちょ、ちょっと落ち着いてよキャルン姉さま」


なぜか色気全開の姉さま。

知らなかった一面に思わず僕は顔を赤らめてしまう。


「ふふっ…ライト、可愛い♡」


さらに強くしがみついてくる。


僕を包みこむ安心する香。

なんか……お母様に似てる匂い……



突然僕の前からいなくなる姉さま。

鬼のような形相をしているティアが首根っこを掴み上げていた。


「このマセガキがっ!!10年早いですわっ!」

「むう、放せ、放しなさい……んん?ティア様?あなた成長した?……プププ、胸は相変わらず洗濯板なのね!!」


そして僕がフリーになった一瞬の隙に、ルイとラザールナが二人同時に僕にしがみついて来た。


「むう、ライト、今ご褒美頂戴!!」

「う、うちも、かまって!叱ってえええ!!!」

「う、うわ、うわああああああああ―――?!!」



僕の部屋はカオスに包まれていた。



※※※※※



辺境伯家執務室。

父上の前で僕と女の子4人、背筋を伸ばし冷や汗をかいていた。


「それでライト?…“説明”してくれるのだろうな」


父上、声がいつもより低い。

何か眉毛がぴくぴくしてるし……


「あ、あの、お父様…」

「キャルン」

「ひうっ、は、はい…」


「私は今ライトに聞いている。黙っていなさい」

「あう…」


あー、これガチな奴だ。

僕は恐る恐る父上の瞳を見つめた。


「えっと、ほ、報告します」

「……うむ」


「今日僕は魔王城へティアと行きました」


「……それはミリナから聞いている。それで?」


「は、はい。……ティアの、そ、その……女神ティアリーナの封印を解きました」

「っ!?やはり……ティア殿は……女神ティアリーナ様だったのですね」


そう言い席を立ち、ティアの前で跪く父上。

ティアは何だか居心地悪そうな顔をしている。


「ノイド様、顔をお上げください。……黙っていた事、まずは謝罪を……」


そして父上の前にしゃがみ、頭を下げるティアリーナ。

固まる父上。


この世界で女神さまは崇拝する相手だ。


話すなどとんでもない。

でも。


ティアはもう4年、ここで一緒に暮らしていた“家族”だ。


「それに……気づいておられたでしょ?わたくしの正体」

「……はい。確信はありませんでしたが……殿下から聞いておりました」


あー。

やっぱりね。


ロキラス殿下、きっと最初からだね。

気付いていたの。


「わたくしはライト様につき従うさだめ。それは絶対に変わりません」

「そうですか……ええ、神の言葉、しかと承りました」

「ええ、これからも随意に」


そして立ち上がり椅子に腰を掛ける父上。

改めて僕に視線を向ける。


「あ、えっと…そういう事です。……黙っていてすみませんでした」

「……過ぎたことだ。かまわんさ。何より神の御意志だ」


優しい色をのせる父上。

その色が真剣なものに変わる。


「……それよりその二人の少女については教えてくれるのか?」


「は、はい。まずは、ルイ?」

「う、うん。……初めまして、辺境伯様?ボ、ボクは魔王。魔王ギルイルド・レゾナルーダです。ライトの婚約者です」


世界の時が止まる。

途端に噴き出す冷や汗。


「こ、婚約者?!!魔王?!!!……な、何ですと?!!」

「なんですと?!僕きいてないよっ?!」


突然顔を赤らめとんでもない事を(のたま)うルイ。

うああ、ティアから恐ろしい魔力が…


「の、予定だよ?……ねえ、パパ?……だめ?」


突然シナを作り父上に甘えた声を出すルイ。

父上は目をぱちくりさせている?!


「コ、コホン。……ライトはまだ9歳です、承知ですよね?」

「うん♡パパが認めてくれればぁ、ボク何年でも待つよ♡」


コイツ!?

将を射止めるにはまずは馬からだと!?


なんと狡猾な!!

僕は思わずジト目をルイに向ける。


「んもぅ♡怖い顔も、ス・キ♡」


うう、なんてアザトイ?!!

ダメだ、勝てる気がしないっ!?


「コホン……と、取り敢えず、そ、その。……魔王殿はヒューマン族を滅ぼすのではないのか?前日の襲撃でも我々は多くの怪我人を出している。それに世界では――多くの人が死んでいるのだ…」


一気に雰囲気が変わる執務室。

さすがにルイも真面目な表情を浮かべた。


先ほどまでの浮ついた空気、完全に凍り付いた。


大きくため息をつき、視線に鋭さを纏わせるルイ。

急に大人のような雰囲気。


まさに魔王だ。


「ふむ。……確かにな。我らは今まで多くのヒューマン族を殺してきた。のう、辺境伯よ。我は和解を望む。来るべき敵に対抗するにはこの星をまとめる必要があるのじゃ」


覚悟を込めた告白。

ルイから恐ろしく濃厚な決意を纏う魔力が立ち昇る。


思わず冷や汗をかく父上。

ごくりとつばを飲み込む音がやけに響く。


「来るべき敵?」

「うむ。異星の神とその眷属、侵略者だ。すでにライトがこの星を改変させた。そして女神の封印を解いた今、奴等は押し寄せよう。――王との面談を依頼する」


「侵略者……改変?…」


この世界の常識。

悪魔=ヒューマン族の怨敵。


それが一言で崩れ落ちる。


「それと我の隣にいるのは魔将が一人ルザーラナだ。コイツはヒューマンが好きなのだ。まだ誰一人殺してはおらぬ。まあ、何の慰めにもならぬが……含んでほしい」


天を仰ぐ父上。

きっと想定を超えていたんだと思う。



なんか…ごめんなさい。


深呼吸をする父上。

いつもの威厳のある姿に、僕は内心ほっと息を吐きだしていた。


「ライト」

「は、はい」


「よくぞ連れてきてくれた。世界が動く。対策をしなければな」


父上の瞳。

覚悟を決めた大人の瞳だ。


思わず見蕩れる僕。

そんな様子に、一瞬空気が変わる。


「コホン。ところで…お前はどうしたいんだ?魔王殿はお前に執心されておるようだが」


うぐ。

そうだった。


でも、ここは絶対に間違えちゃいけない場面だ。

僕はごくりとつばを飲み込み、真直ぐに父上を見つめた。


「僕はまだ9歳の子供です。婚約とかまだ早いと思います。……でも父上、一つお願いがあります」


「……言ってみなさい」


「僕は大きくなったら…ティアと、女神であるティアリーナと結婚したいと考えています。お許しいただきたく」


そう言い僕は膝をつき頭を下げる。

その様子に皆のつばを飲み込む音が聞こえた。


「ああ、ライト様♡……ティアは、ティアは……」


顔を染め、涙を浮かべるティア。

何故かキャルン姉さまも泣きそう?


ルイとルザーラナは……あ、あれ?

普通の顔している?


跪く僕に父上が近づき、そっと肩に手を置く。


「分かった。ライトの気持ち、父として受け取ろう。……だがな?」


「……はい?」


「お前この国の法律、知っているよな」

「え?ええ、大体は……」


父上に手を取られ、立ち上がる僕。

そんな僕をやや諦めたような、優しいような複雑な表情を浮かべる父上。


「あー、そのな?ここで言うべきかは判断に困るのだが……コホン」

「な、何でしょう?」


あれ?

僕はまだ9歳。


婚約とかだめなのかな?

で、でも僕5歳の時婚約させられそうになったよね?


「…………………のだ」

「はい?」


んん?

珍しく父上が言い淀んでいる?


そして大きく息を吐き改めて僕を見つめる父上。


「この国はなライト。“一夫多妻制”が導入されているのだ。つまり妻の人数に制限がない」


「………はい?」


「つまりそういう事だ。……私とて領主。今まで多くの人間を見てきた。だから分かる。……お前は一人の妻で済む“器”ではない。それに今から学園に行くのだ。忘れてはいまいな?殿下の娘とて、来年学園に通うのだぞ?……無視は出来まい」


あうっ。

そ、そうだ。


あの話、実は継続中だったんだよね。


「それに…」

「そ、それに?」


うわあ、なんか父上、顔を赤く染めている?

い、いやな予感しかしない!?


「ヒャルマがな」

「……ヒャルマ先生ですか?」


「ああ。……正式にお前に婚姻を申し込んだ」


えっ?

い、今、なんて?!!


ていうか何でヒャルマ先生?

歳の差!!


「それからな」

「っ!?ま、まだ何か?!!」


そして今度は泣きそうになっているキャルン姉さまを見つめため息を吐く。

ま、まさか……


「姉弟でも結婚は認められているのだ。……この国は」


父上の言葉に突然目を輝かせるキャルン姉さま。


……う、嘘ですよね?

ま、まさか……


「これはミリナも認めたことだ。ライト、キャルンとも婚約しなさい。もちろんそのままの関係が続くなら、だがな。……私とて父親。――娘には幸せになってもらいたいのだ」


なんてこった。

僕はこの一瞬で……


ティアとヒャルマ先生、それから殿下の娘さん、さらにはキャルン姉さまの4人との婚約が成立した?!


あ、ありえないでしょ?!!


そしてそんな茫然としている僕の腕をとるルイとルザーラナ。


「というわけだからぁ、ラ・イ・ト♡……ボクもその中に入れといてよね♡」

「ライトキュン♡う・ち・も♡」


さらに追加ですと?!!



僕は何も言えず、がっくりと膝をつき俯いてしまったんだ。


密かに望んでいた憧れのスローライフ。

音を立て崩れていく。


だんだんと遠くなるそれに僕は心の中で血の涙を流していた。



いやいや、そもそもさ。


婚約者6人て…

何処のハーレムくそ野郎だよっ!!



世界の脅威がはっきりしたシリアス状況なのに。

何故か僕はピンク色の困惑に包まれていたんだ。



何故か脳裏に、ニヤつくクソジジイが浮かんだけど?

…まさかね?



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