第19話 ティアリーナとの話し合い
僕が転移していくと、いつも通りティアは僕の部屋で待っていた。
今朝抱きしめてしまった愛おしい人。
つい顔が上気してしまう。
「ライト様……どうしました?」
「うあ、えっと……な、何でもない…っ!?」
すすっと近づいて僕の腕に抱き着くティア。
大好きな香りに鼓動が跳ねる。
「んー♪……意識してくれていますか?」
改めて、ティアは凄く可愛い。
前世の僕の理想形。
そして今の僕の……心の底からの理想の女性だ。
――僕9歳でよかった。
もしもう少し大きかったら……
僕はもう彼女しか見えなくなってしまうだろう。
「うあ、え、えっと……ティ、ティア?そ、その…は、話が…うわっ?!」
おもむろにベッドに押し倒される。
ティアの瞳、うるんでいる?!
「もう……そんな顔されたら……我慢できなくなっちゃいます♡」
「あう、ちょ、ちょっと、ティア?…お、落ち着いて……っ!?」
彼女は僕に体を預けるように抱きついてくる。
大好きな温かいぬくもりに、僕は何も考えられなくなってしまう…
「ちゅっ♡」
「っ!?」
僕の頬に柔らかい感触。
「これで我慢します♡……今度はライト様からしてくださいね?待っています」
そして魅力的な笑顔。
ああ、もう。
何でこの子、こんなに可愛いんだろう。
――本当に9歳でよかった。
そうじゃなかったら…
きっと…
僕は心の底からそう思い。
暫く温かい体温を感じていたんだ。
※※※※※
「いいですよ?……それにしてもその魔王…わたくしのライト様にちょっかいを…泥棒猫にはお仕置きですね」
「あ、いや、そういう事では……」
先ほどの感触にいまだ鼓動の落ち着かない僕は。
赤い顔をどうにか誤魔化し、魔王が女神を連れてきて欲しいと言ったことを伝えていた。
「すぐに行きますか?」
「う、うん。明日には王都へ行かなくちゃだからね。なるべく早く面倒ごとは片づけたいから……ティア?」
「はい」
「……昔、魔王、というか悪魔たちと何があったの?…彼等、君の事、凄く恨んでいる」
僕の問いかけ。
一瞬で甘い空気は霧散し、緊張が張りつめる。
ティアは目線を落とし、表情に影が差す。
「……ふう。……私、彼らを騙したんです。信用させてから……酷く裏切ったのです」
「っ!?」
彼女の告白。
僕はつばを飲み込む。
「ライト様、私の使命――知らないですよね?」
「……うん」
ティアは遠い目をする。
急に知らない女性になってしまったようで。
僕はなぜか悲しくなってしまっていた。
「わたくしはこの世界を守る、“存続させる使命”があります。そして奴らに……別の摂理の侵略者である“異星の神”たちに…勝てませんでした」
「……異星の神?」
「ええ。あいつらはこの星の、私たちの常識が通用しません。…激しい戦いでした。あの時の英雄たち、悉く討ち取られ…だから私は――この星を守るためにあの時最強だった彼等、“悪魔たち”を生贄にしたんです」
僕は居た堪れなくなってしまう。
きっとそれしかなかった。
理解はできる。
でも……
話をしているティアは、とても悔しそうで。
ずっと涙をこらえていたんだ。
僕は。
絶対に助けると、心の底から誓った。
もうこんな顔……
絶対にさせたくない。
改めて覚悟を決めた僕は。
ティアの手を取り魔王の城――ルイの部屋へと転移したんだ。
※※※※※
「もう――――遅いっ!!!」
「あー、ごめんねルイ」
今の時間、朝の9時過ぎ。
転移し彼女の部屋に着いた途端、ルイのジト目が炸裂していた。
どうやら彼女、5時くらいからずっと僕を待っていたらしい。
確かに時間決めてなかったね。
うん。
それにしても…
何でそんなに色っぽい格好してるのかな?
しかも変な“お香”焚いて、部屋には甘く魅惑的な匂いが充満してるし?
女神であるティアリーナを連れて来いって言ったよね?!!
まったく。
当然僕は速攻で解呪しました。
改めてルイに視線を向ける。
うーあー。
目のやり場に困る。
それもう下着なんじゃないの?
ろ、露出がやばい……
「ふうん。キミが女神ちゃん?……ふふん。ちっさ!!」
「あら、今の魔王は露出狂なのかしら?……下品な女」
上から目線なルイの言葉に、ティアが辛らつな言葉を吐く。
「っ!?な、なんですって?!」
「何かしら!?」
うあ、二人いきなり険悪な雰囲気?!
「フ、フン。……ボクは昨日ライトに頭をなでなでしてもらったの。とっても優しくしてくれたのっ♡」
なぜか勝ち誇りティアを威嚇するルイ。
ティアのジト目が僕に炸裂する。
うう、確かに撫でたけど……
「あら?わたくしなんて、ライト様から熱い抱擁をしていただきましてよ?わたくしの胸にうっとりしてくれますし……それこそ毎日♡……どこかの脂肪の塊とは違いますの」
今度はルイをあおるティア。
ルイのジト目が僕に炸裂する。
てか何この状況?!
僕、可哀そうじゃない?
「コホン、そ、それよりほら、ティア連れてきたよ?封印解くんだよね?」
「あ゙あ゙っ?!!」
ひいっ?!
くうっ、耐えろ、耐えるんだ。
平常心だ。
頑張れ僕!!
「コホン。…えっと、僕明日には王都に行くんだ。だから時間が惜しい。ねっ、ルイ。お願い」
こうなったら泣き落としだ。
僕は瞳を潤ませルイを見つめた。
「くうっ?!可愛いだと?!!……くっ、殺せ!!好きにするが良いっ!!」
あー『くっころ』いただきました。
うん。
どうにか話し合いのスタートラインには立てました。
……良かった。
なんかとんでもなく疲れた。
ふう。
あっ、ルイにはちゃんと服着てもらいました。
目のやりどころに困っちゃうからね。
※※※※※
「……まったく。ライトは女泣かせだね。まだ9歳のくせに。……生意気」
「ライト様は最高の男性ですわ♡……悔しいけどあなたの男を見る目だけは認めて差し上げます」
紅茶を前に、ボクをやたらと持ち上げる二人。
ハハ、ハ。
コホン。
が、頑張れ、僕。
女って怖い。
僕はなぜかそう納得してしまっていた。
でもなぜか。
こんな状況なのに憎めない僕もいて。
実は満足感を感じていたんだよね。
絶対に内緒だぞ!
次の投稿は、金曜日21日の予定です!
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