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第18話 いくつかの決断とサルツさんとの本当の和解

改めて朝食の時、僕は父上から小言を頂戴していた。


「ライト。確かにお前の功績は称賛に値する。だがお前はまだ9歳だ。無理をして欲しくない」


僕の力を認識したはずなのに。

父上は僕のことを心配してくれている。


涙がにじむ。


「ふう。…特に話を聞いたミリナは寝込んでしまった。後で顔を出してあげなさい」

「は、はい。申し訳ありませんでした」


父上は帰宅した後、僕の行動を心配していたお母様に伝えた。

お母様は僕が転移して外に行った事、サルツさんから報告を受けていたらしい。


サルツさんのその行動は咎めることはできない。

何より心配してくれた上での行動だ。


僕がいなくなったことにお母様は相当なショックを受けてしまっていた。

ちゃんと説明しなかった僕の落ち度だ。


僕は朝食を済ませお母様の部屋へと訪れた。


「お母様、ライトです。入ってもよろしいですか」

「………ライト?……ええ、どうぞ」


ノックをし部屋に入る。

青い顔のお母様を見て僕の心が痛んでしまう。


「……ごめんなさい……心配かけて……お母様…」


そんな僕を優しく抱きしめてくれるお母様。

もう堪えることなんてできなかった。


涙があとからあとから溢れて止まらない。


「もう。ライト…いけない子。お母様はあなたの母親なの。どんなに強くてもあなたは私の大切な子供なのよ?次からはちゃんと話をしてからにしてね」


「グスッ……は、はい…ヒック……」


ああ、なんて癒されるんだろう……

僕は絶対にお母様を守りたい……


そう心に誓った。


「ふふっ、強い貴方だけど、こうしてみるとまだ9歳の子供ね……可愛いライト…」

「お母様……あああ、お母様……」


本当に絆という物は凄い。

僕は心の底から思い知ったんだ。


あの地獄1億年。

その苦しみが今のこの一瞬の抱擁で溶かされていく。


僕は涙を拭きお母様を真直ぐに見つめた。


「お母様、僕は今から魔王に会いに行きます」


「っ!?……大丈夫なの?」

「ええ。心配はいりません。ティアも連れていきます」


「……そうなのね。……明日王都へ行くのかしら」

「はい。夕方には戻ります。約束です」


お母様はふっとため息をつく。


「魔王、ね。…本当にあなたは“神の御子”なのね。分かりました。私も覚悟を決めます」

「…はい」


そしていつもの輝く笑顔で。

僕の大好きな表情を浮かべる。


「安心したらお腹が空いたわ。ライトはもう食べたの」

「は、はい。……それでは行ってきます」


「ええ。無理はしないでね。……私はあなたを信じます」


僕は頭を下げお母様の部屋を後にした。

満たされた僕の覚悟が決まっていく。


次はサルツさんだ。


陛下に会う必要がある。

僕はサルツさんの部屋をノックした。


「サルツさん、ライトです。入ってもいいですか」

「ええ、どうぞ」


部屋に入って僕は思わずぎょっとしてしまう。

サルツさん、目の下のクマ…


えっと、寝ていないのかな?


「ああ、すみません。ここしばらくあまりよく眠れなくて……それでどうされました?」

「えっと。実は国王様に伝えて欲しい事が…ありまして」


「っ!?陛下に、ですか?」


僕はサルツさんの前の椅子に座った。

慌ててお茶を用意しようとしたのでそれを止め淡々と話しだす。


「もうご承知だとは思いますが。…僕は昨日の夜、“魔王”に会ってきました」


「っ!?……まさか?!!……出ていかれたのは承知していましたが…魔王ですか?!!」


「ええ。可愛らしい女性ですよ?まあ、強いですが。それに悪魔たちはともかく彼女は別にヒューマン族を滅ぼそうとは思っていません。むしろ強くなって欲しいと」


ぽかんと口を開けてしまうサルツさん。

僕は構わず続ける。


「彼女は使命を持っています。そして……僕と同じ“転生者”です」


「っ!?転生者?!……ハハ、ハ……そう、だったのですね……はあ、やっと少しだけ…納得しました……他の皆さまは承知しておられるのですか?」


「えっと……今これを知っているのはヒューマンではサルツさんだけかな。魔王も転生者だからもう知ってはいるけど……あとは……ティア、女神様だね」


「っ!?……どうして、私に?……一番ばらしてはいけないのでは?」


サルツさんの鼓動が激しく動く。

ものすごく緊張しているのが伝わってくる。


確かに本来彼に伝えてはいけない内容だ。

それはつまり、国の重鎮たちに伝えることと同意だからだ。


「僕は今回の件、反省しているんです」

「……」


「実は魔物たちの隆盛、だいぶ前から気付いていました。そして僕は迂闊だったんです。幸い今回“死者”は出ていません」


一瞬よぎる絶望。

僕は奥歯をかみしめる。


「でも、もしも父上や僕の大切な人が死んでいたら……僕はきっと狂ってしまう」


凍り付く空気。

混乱している僕の魔力が部屋を揺らす。


「……この世の終わり、ですね…」


「ハハ、大げさですね……はあ、でもないか。うん、だからもう隠すことはやめます。もちろんあちらこちらに言いふらすつもりはありません。だから父上にもお母様にもまだ内緒です」


「……責任重大ですね……ライト様?」

「うん?」


「心から感謝を……私を信用してくれたのですね」


「そうです、ね。それにサルツさん、だいぶ僕が有利になるように情報コントロールしてくれていたでしょ?……殿下に怒られちゃいますよ?」


「ハハ、ハ。そこまで……私はライト様の兄貴分です。弟を守るのは当たり前のことですよ?私はライト様の事、大好きですから」


やっと緊張が解けたみたいだ。

心からの笑顔を浮かべてくれた。


「はい。これからもよろしくお願いしますね、……サルツ兄さん」

「っ!?ハハ、ハ。……任せろ!!」


なんかやっとサルツさんとの間にあった薄い壁が消えた気がした。

そして改めて情報の共有をして僕は自室に行きティアと話し合いを行ったんだ。


この世界、ミラリルスの時計の針を進めるために。

本当の意味で、彼女の、ティアリーナの願いを叶えるために。


もう僕は。

覚悟を決めていたんだ。


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