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第15話 魔王ギルイルド・レゾナルーダ

「ふぁあああ、むにゃ。……ねむい」


「………君が魔王?」

「うん。君は……神様?」


見た目15歳くらいの女性に見える魔王。


清楚系なティアとは違う、少し小悪魔っぽい印象の美少女だ。

紫色の肩くらいで切りそろえてある美しい髪の毛、何気に発育が良い。


そして深紅に輝く瞳が僕の瞳を見つめる。


「………凄いね。はあ。全然効かないや。……神でもないし使徒でもない……はは、本当にただの人間なんだ。――こりゃ勝てないね」


まるで何もないかのように僕を“鑑定”した魔王。

むしろ機械的にスキャンされた気分だ。


何しろ魔力どころか全く圧を感じなかった。

僕の知らない技術……


俄然興味がわく。


「ねえ、君のことなんて呼べばいいのかな?可愛い女の子に『魔王』とか言いたくないんだけど?」


「んん?君ってたらしなの?まだ小さいのに。……まあ、可愛いってのは否定しないけどね。…んー『ルイ』で良いよ?君だけの特別の呼び名」


「わかった。……ねえルイ、君はどこから転生してきたの?ちなみに僕は“創世神”に追放されたんだよね」


『創世神』の下りで彼女の顔つきが変わった。

そして押さえていた魔力が吹き上がる。


「……ねえ」

「ん?」

「ライトって呼んでも?」

「いいよ」



※※※※※



そして始まる怒涛の愚痴。


あー。

たぶんおんなじこと言っていたから。

途中から聞くのやめちゃっていたけど……


因みにイスペリアには御退場いただいた。

おそらく他の人に聞かせたくない事になるだろうからね。


もちろん殺してはいないよ?

彼の能力はきっとこの先役に立つしね。


そして約10分後――

ようやく話し終えたルイが、肩で息をしながら恨めしそうな顔で僕を睨んでいた。


「むー。なんでライト、ちゃんと聞いてくれないの?」

「聞いていたって。……大体ルイが同じこと何度も言うからじゃん。最初の30秒くらいじゃんよ。情報」


「む――――。ライトのけち」


おう?!

随分印象変わったな。


……きっとさっきまでイスペリアがいたからだな。


という事は…これが彼女の素?

ボクっ子とか。

属性盛りすぎでない?!


それにしても……創世神のジジイ。

碌な事しねえな?!


彼女ルイ、まあ魔王なのだが。

どうやら彼女もあのジジイ“創世神”の被害者だった。


彼女、本名尾山瑠衣(おやまるい)さん。

日本では中学校の先生をしていたようだ。


一応僕の前世、“蘇我頼人”よりは6歳下。

あまりの残業地獄で疲れ果てた帰り道で事故に遭ってしまったらしい。


そしてやっぱりあのジジイに目を付けられ、僕ほどではないにしろかなりひどい業を負わされた。


マジでなんなの!?

あのジジイ!!


詳細は彼女の矜持を守るために割愛するが……

まあ、うん。


確かに地獄だ。


で、紆余曲折あって彼女が得たスキル『時限遡行(そこう)

死んだ瞬間に“問題ないところ”まで戻って同じ自分を繰り返すスキルだ。


そしてその経験は加算されていく。

だから彼女は死ねば死ぬほど強くなっていく。


何気に僕のスキルに似ている?

まあ、だいぶ劣化版ではあるけどね。


当然だが彼女にも使命があった。

そして縛りも。


散々違う世界で力を蓄え、数千年前やっぱりこの星に飛ばされていた。


「ねえルイ、君体感でどのくらい時を過ごしたの?」

「ん―――ボク意外と強かったからなあ……1万年くらい?」


あー、それでも1万年か。

しかも彼女の場合、生まれ変わることはしない。

あくまで同じ個体での繰り返しだ。


「それで“魔王”か」

「うん」


僕は大きくため息をついた。


彼女の目的。

『魔王軍に抵抗できるほどまでヒューマン族を鍛えること。』


いずれ訪れる『絶対的な敵』からこの世界を守るために。

詳しく聞くには縛りを解く必要がある。


「ねえライト?そういう訳だからさ……」

「はあ。まあしょうがないかな。良いよ?かかっておいで」


「むう、生意気。ボクより小さいくせに」

「地球では僕の方が年上です」


取り敢えず城の中では狭いし、被害がとんでもない事になっちゃうので。

僕の転移で二人、何もない森へと移動した。


そして魔力を噴き上げさせるルイと僕。

大気が軋み、まるで台風の目のように可視化できる程の濃厚な魔力が渦を形成する。


この世界の実力ナンバーワンとかなり差はあるもののナンバーツー。

超絶バトルが幕を開けた。



※※※※※



「ねえ――――!!ズルい、ズールーい――――!!」

「弱すぎるルイがいけないと思うけど?」


すでにあたり一面の森は原形をとどめておらず、大量の黒煙がもうもうと沸き上がっていた。


鼻を衝く焦げる匂い。

肌を刺す炎が生み出す熱。


「コンチクショウめっ!!ハアアッ、『魔閻極琉炎陣まえんごくりゅうえんじん』!!」


立ち昇る超高温の青い炎。

大気に含まれる水分が蒸発し、オーロラのように景色が歪む。


音速に迫る勢いで僕を四方八方から包み込む。


「へえ、面白い魔術だね」

「魔術じゃない!!秘術!!ていうか何で避けないの?!」

「うん?だって…」


そして着弾。

一瞬音が消えるほどの大爆発を起こし、光と衝撃波が周辺の大地をえぐりながら蹂躙していく。


普通なら塵も残らないほどの超絶な破壊力だ。


反動で吹き上がる突風。

焼け焦げた木が空高く舞い上がる。


「……うん。まあ服が少し焦げちゃったか」

「うー、もうヤダ。ライト全然本気出してないじゃん!!」


まったく無傷の僕は頬をポリポリと掻いてみた。

実はこの程度の熱量、すでに経験済みなんだよね。


僕のスキル『死身刻命』

過去に刻みこんだダメージは届かない。


「ねえ、もういいんじゃない?ルイだいぶ魔力、消耗したでしょ?……僕9歳だからさ、もう眠いんだよね」


「うーあー、ほんとムカつく。……ねえ」

「うん?」


苛立ちの表情が覚悟の色を宿す。

そしてまっすぐに美しいルイの瞳が僕を射抜いた。


「一回殺して」

「……強くなるため?」


「うん……それに縛りも解けないよ?一度ダメージ受けないと」


僕は大きくため息をつく。


確かに彼女は死ねば強くなる。

それに色々聞くには彼女の魂に刻まなくてはいけない。

自分よりも圧倒的格上がいることを。


そもそも今の彼女を殺せるのはきっと僕しかいない。


でも。


あの性格のひん曲がったジジイのスキルの事だ。

きっと痛みは“そのまま”刻み込まれるはずだ。


「ねえルイ」

「……何?」

「痛いでしょ?死ぬとき」


「っ!?…………う、うん。で、でもっ!」


まったく。

クソジジイめ。


絶対いつかぶんなぐってやる!!


僕は魔力を練り上げる。

どうせならこの世界の摂理の魔術で彼女を殺してあげよう。


「すぐに生き返るの?」

「たぶん。……実はボク、この世界で死んだことないんだよね。ごめんね?正直分からない」


死んですぐに生き返る……

あー、あいつそういうスキル持っていたよな……


「とりあえず死んだ事実があればいい訳でしょ。じゃあ保険かけておくか」

「保険?」

「うん。そういうスキル持ち、居たからさ。僕付与もできるしね……はい」

「っ!?」


うん。

これでいいかな。


はあ。

本当に気が進まないけど……


しょうがない。


僕は無詠唱で破壊の極限、全6属性を混合した1センチ四方の物体を作り上げた。

いわゆる『反物質』だ。


極小の物質。

しかしその質量は城をも凌駕する。


「痛いよ?ごめんね」

「う、うん……ひぎっ??!!イギャアアアアアアアアア――――!!?」


反物質がルイに触れた瞬間――

時間までもがその法則を失い、まさにブラックホールのような質量が荒れ狂う。


彼女の体は四散し弾け、すべての細胞が消滅。

完全なる死が、彼女に訪れていた。


そして数秒後――

彼女は元の場所にゆらりと顕現。



瞳いっぱいに涙を浮かべていた。


もう一人のライトの嫁(笑)登場回です。

結構作者お気に入りです。


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