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第145話 鬼の居ぬ間の一幕

ライトとティアリーナが不在となった戦勝の宴の会場。

いち早く11名の婚約者たちは、ヴィエレッタの念話により状況を把握していた。


「…まあ。あれは仕方ないよね?ボクだってはらわた煮えくりかえっていたし」

「うんうん。うちだってあと少しライトキュンが遅かったら…きっとぶんなぐっていたよ」

「ええ。あれは無いですわ。わたくしもお父様に言いつける寸前でした」


頬をぷくりと膨らませるシャルルの髪を、ルイは優しく撫でる。


「まあね。でもさ。…きっとライト、幾つか段取り忘れているよね?」

「あー」

「…すぐに帰って来るかな、ライト…」


思わず不安な表情を浮かべるニニャに、皆の視線が向かっていた。



何はともあれ。

穏やかな雰囲気に包まれる会場。


何も問題はない、皆がそう思っていたのだが。


事件は唐突に起こるのだった。



※※※※※



実はルイやルザーラナ、そしてライトの婚約者の数名は。

マイハルド王国の陛下たちのすぐ近くに陣取っていた。


当然だがリュイネは第3王女だし、シャルルに至っては陛下の孫。

さらには和平の成立している魔王に魔将、

そして異世界からの来訪者としてすでに認知されている竜姫ニニャ。


彼女たちがここにいる、それは立場的に問題はない。


さすがにキャルンやヒャルマ、それからココナ。

そしてミリとヴィエレッタについては。

末席というかガルデス辺境伯の周囲に席を用意されていた。


本来彼女たちは最終決戦で多大な戦果を上げていた。

さすがにそれについて今回公表はしていない。


何よりこのような大舞台、慣れていないココナなどは目を回していたくらいだ。


そんなわけで。


ひそひそと声を潜めているつもりの5人。

実はかなり大きな声で話をしていた。


何しろ今のこの会場。


ライトの構築した摂理

いわゆる“擬似ダンジョン”と同じような仕組みで隠蔽の済んだ今。

それを知る婚約者たちに、非は無いはずだった。


しかし。


ある程度の力を持つものにはその効果が薄くなっていた。


イスタール帝国の皇帝やヴィラーリヒ第一皇子。

そしてミルリア帝国第3皇子であるルシェードしかり。


さらには今回。


南方の女神教を掲げる、熱心な崇拝姿勢を見せるフィニール聖王共和国。

そのロガッティ聖王猊下までもが。

真摯な殉教により得ていた精神耐性により、完全にレジストしていた。


「…女神さまに対する不敬……院長、ゲニッシュリード――神罰が必要のようじゃな」

「ふむ。そうなりますな。…我が監査院、その責務…見事果たしましょう」


突然抑えきれぬ魔力を噴き上げる、特別監査員院長であるビニュールディース。

なにやら不穏な空気を纏う二人。


思わず周囲の者たちが、背筋を震わせてしまう。


「…コホン。猊下、ここでは…」

「う、うむ。…そうであるな。…皆には先ほどの不敬、すでに操作され“認識できていない”ようじゃしな」


そう言い、咳ばらいをし。

にこやかな表情を張り付けるロガッティは、周囲の者との談笑を始めた。


(ふん。さすがは古狸…まあ。女神への信仰、それは間違いない、か)


その様子にひとり場を離れ、ワインを口にするビニュールディース。

熱い視線を魔王ルイへと向けていた。


実は彼、元々魔王の配下。

そして魔将に引けを取らぬ実力者。


魔王ルイ直属の特別査問庁の長官だった。

馴染みのある魔力とその視線に気づき、思わず顔をしかめるルイ。


大きくため息をつき、瞬間で彼の前へと移動をしていた。


「…ねえ。なんであんたまで来てるのさ」

「これはこれは。…ああ、ギルイルド様…何と麗しい」


そして跪く彼。

思わず顔が引きつるルイ。


「…あんた。その魔力は何?…今回の件、すでにライトが動いたんだ。変な事したら…分かってるよね?」

「っ!?」


とんでもなく研ぎ澄まされた威圧。

思わずビニュールディースは体を震わせる。


「はあ。…で?…何しようとしたのさ」

「うぐっ…」



※※※※※



彼、ビニュールディースの任務。


それはこの世界でも特に強い女神信仰を掲げる大国、フィニール聖王共和国の監視と篭絡だった。


以前の対立していた悪魔とヒューマン族。

魔王であるルイは、力のみではなく。


そういう奸計までをも駆使していたのだ。


「あんたの任務は終わりだと伝えたはず。…どうして魔王城に戻らぬ」


圧を纏い、言葉が変化する魔王ギルイルド。

既に和平がかなった今、彼の任務は終わっているのだ。


「…ですが…そ、その…」

「…何じゃ?言ってみろ」


突然顔を赤らめ、そして刹那のタイミングで目に涙を浮かべ。

とんでもない事を宣った。


「…ギルイルド様もあの少年、ライト様と婚約したのですよね?」

「っ!?」


「私は…私は…あなた様を愛しております」


突然の告白。

覚悟を秘めたその言葉は、瞬く間に会場に伝播する。


「な、な、なに言って…」


まったく意図していなかった言葉。

ルイは顔を赤らめ、挙動不審になってしまう。


何よりライトとの婚約――

実は魔王軍で知るものは魔将の7名だけだ。


隠していたわけではないものの。


実はルイ、メチャクチャもてる。

そう、多くの悪魔が彼女にあこがれている状態。


彼女もまた、現状を全く理解していなかった。


愛と言う感情。

それはすべてをくつがえす。


「私は…認めない。…私は」


覚悟に染まるビニュールディースの瞳。

そしてざわつく会場。


「ライト様、いや、ガルデス・ソガ・ライト大公爵に…決闘を申し込む」

「っ!?」


どよめきが湧く。

そして上がる感嘆の声。


『おお、なんと。…魔王様がライト大公爵との婚姻?…初耳だぞ?』

『…噂では…影の騎士ノワールとの関係が…』


(不味い!)


今回の段取り。

実は宴の最終局面で、女神ティアリーナとライト大公爵との婚姻が発表されることになっていた。


覚悟を決めたライト。

それを承諾していたのだ。


しかし今明かされてしまった内容。

まさにその段取りをぶち壊してしまう衝撃を、会場に与えてしまっていた。


思わず顔をしかめるマイハルド王国のミルナルド陛下。


会場はまさにカオスに包まれた。



(もう、どうすんのよ?ルイ。…こうなったら…)


突然ルイに届くヴィエレッタの念話。

そして婚約者全員の背に、とんでもなく冷や汗が流れる。


(これはもう、プランFね。…ライト渾身の魔力を込めたカレー、その出番ね)



突然会場を包み込む、全ての情報を吹き飛ばすような強烈な香り。


ざわついていた会場が、静寂に包まれた。


用意される未だ見たことの無い料理。

そして香る強烈な香り。


「む?な、何だこの匂い…っ!?」


入り口付近にいた参列者が、おもむろに今出てきた料理を手に取り、口にした。


刹那――


恍惚の表情を張り付け、失神する男性。

その様子に、皆が我先にとその料理を手に取る。


カオス。


もうそれしか、表現することができない惨状に――



会場は包まれていた。




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