第104話 日焼け止めないの?…そりゃ作るでしょ!
ヴィエレッタが僕に告げた『南のダンジョン』の異変。
闇の女神渾身の術式、そして顕現した女神城。
幾重にも紡がれた保険と言うかその仕組みに、僕は思わずため息をついていた。
まあ。
その気になれば無力化は出来る。
でもそれはやめた方がいいとヴィエレッタに言われました。
「ライト、チートすぎ。一か月待って?じゃないとこの星にまで影響出ちゃうよ」
どうやら女神。
僕たちの世界ではなじみのない『異空間接続転移』と言うスキルを使い、僕の封印した結界内に新たなテリトリーを構築したようだった。
一番いいのはその術式を展開した本人による解除
つまり殺してもダメ。
確かに僕のスキルごり押しでどうにかなりそうだけど。
一度『直接会いに行くこと』が僕の覚悟を伝えた念話の後、婚約者たちで決めたみたいでした。
そんなわけで一か月の余裕のできた僕。
これからますます暑くなる夏。
僕は不満に思っていたものを作ることにした。
※※※※※
生活拠点でもあるビザイド宮。
急ピッチで改装工事が行われており、どうにか工場と言うか研究所、既に使用できる状況になっていたんだ。
僕渾身の研究所。
全面ガラス張り。
そしてなぞに輝く青と緑の水槽のような調度品。
さらには時代を感じさせるアンティーク風な器具と最新鋭の機器の数々――
まさにロマンの詰まった“秘密研究所”のような心ときめく仕様。
ゴーレム君たちの活躍に感謝だね。
様子を見に来たゲネスさんがフリーズしていたっけ。
ハハハ、ハ。
何よりそういう訳で。
僕は今女性が使用する化粧水と乳液を製造しているのだけれど。
実はこの世界、“日焼け止め”と言う概念もなかった。
『無いなら作ればいい』
僕はそう思い日本での過去を精査して研究に励んだ。
もちろん転生者であるミリにも、いくつか相談には乗ってもらったんだ。
あとルイにも聞きたかったのだけれど。
彼女ここ数日『用事がある』とか言って王都にいなかったんだよね。
何はともあれ。
大切な婚約者の為、“安全面”にはとことん気を使い。
結果。
ダンジョンポイントと僕のスキル、それを駆使して作成された、いわゆる僕の婚約者限定の化粧品。
メチャクチャ高性能の物が出来上がりました。
ついでに僕の好きな匂いのするボディーソープとシャンプー、コンディショナーも作ったよ。
それを使ったティアと婚約者の女性たち。
めっちゃいい匂いするんだよね。
惚れ直しそうです。
そして。
僕は知らなかったのだけれど。
それらの品は少なくない騒動の発端になっていたんだ。
※※※※※
ビザイド宮に引っ越して10日くらい過ぎたころ。
何かの用事で王都を離れていたルイとルザーラナが、初めてビザイド宮を訪れた。
余りの豪華さに固まる二人。
「むう。うちの魔王城より豪華とか…ね、ねえライト」
「うん?」
「…もしかして…ボクの部屋とかも…あったりするの?」
なぜか上目遣いで僕に問いかけるルイ。
そしてその様子を、目を輝かせ聞いているルザーラナ。
僕はにっこり笑い、
「当たり前でしょ?ルイとルザーラナは僕の婚約者。一緒に住む大切な女の子だよ?この宮殿多くの部屋があるから…あとで案内するね」
そう言っておきました。
感動する二人。
僕はいきなり抱きしめられ…
ちょっと興奮しちゃったのは秘密です。
コホン。
そんなルイがビザイド宮の超豪華なお風呂を堪能した後に僕に詰め寄ってきた。
「どうして?」
「…えっ?なんの事?」
なぜか顔を赤くし、メチャクチャ可愛いけど怒っている様子のルイ。
そして香るとんでもなくいい匂い。
目を潤ませ僕に言い放つ。
「どうしてシャンプーとか出来たこと、教えてくれないのさ。ライトのけち」
「…あれ?言わなかったっけ?」
「聞いてない。ズルい、ずーるーいー!!」
久しぶりに聞いたルイの「ズルい」
何となく僕はほっこりしてしまっていた。
「ごめんごめん。もちろんルイとルザーラナの分もあるよ?…ていうか。因みにルイ達ってどこに住んでいたの?学園辞めてから」
婚約者の居場所分らない僕って…
まあ二人は超絶者だ。
しかも今からは一緒に暮らす。
「…いまさら聞くとか…はあ。…ライト女心分かってないよね」
「うんうん」
あー。
うん。
すんません。
「まあいいや。それより何あのシャンプーとか。ボク聞いてない」
「うちも。…でもめっちゃいい匂い♡」
風呂上がりの美少女二人は興奮冷めやらぬ様子で僕に詰め寄った。
「ねえ」
「う、うん」
ルイの目が怪しく光る。
「…さっきお風呂でね、ココナに会ったの」
「…うん」
「…お肌めっちゃプルプルなんだけれど?…なに作ったの?」
えっと。
恐いんですけど?!
「いやいや、化粧品作っただけだよ?あと“日焼け止め”とか?この世界のモノ品質悪いくせに高いからさ」
僕は別に隠してなんかいない。
たまたまルイ達がいないタイミングで作成しただけだ。
どうにか説明し、納得してくれたルイとルザーラナ。
そしてなぜかジト目で僕に忠告してきた。
「ねえ、ライト」
「うん?」
「まさか…あの化粧品、売るのじゃないでしょうね?」
「…え?…売るけど」
「ダメ――――――!!!!!」
突然大声で否定するルイ。
余りの事に僕は呆然としてしまう。
「はあ。…ティアは?」
「…えっと」
「…文句言わなかったの?」
そう言えば。
確かティア…
うん。
なんかどうしても僕に想いが伝わらずになぜか落ち込んでいたっけ。
でも僕がそれを使ったティアの事、めっちゃいい匂いがする…大好き。
とか言ったら。
そう言えばあれから何も言わないよね。
僕の独白をジト目で見ていたルイ。
何故か居た堪れなくなる僕。
「あっ、でもね?“うちにあるもの”はうち専用だよ?効果が高すぎるからって。だから売るものはかなり性能抑えた奴だからさ」
「…はあ。ティアの気持ちわかっちゃう」
「うえ?」
「…まあいいよ。…あとで嫌と言うほどわかるから…ライト」
「は、はい」
「女の子の美容に向ける情熱…舐めてると後悔するからね?」
何故か背筋が寒くなった僕。
改めて。
僕は“女の子怖い”って思ったんだ。
でも。
本当にそれを実感するのは、この後すぐだったんだ。
やっぱり僕は――相変わらず迂闊だった。
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