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第100話 ようこそ!ビザイド宮へ!!

さわやかな初夏の日差しがまぶしい今日この頃。

夏季の長期休みを前に、僕たちは新しい住処になるビザイド宮殿を訪れていた。


大公爵の叙爵とともに陛下よりいただいた僕の新しい家となる『ビザイド宮』


王宮の敷地内にあるそこは、サルツさんの言うように『この世の贅』をこれでもかと尽くされた、まさに王宮を上回る設備が整っている場所だった。


「ふわー…凄いライト…私たちここに住むのね♡」


目を輝かせ、うっとりとするキャルン姉さま。

ココナも赤い顔でキョロキョロしているし。


いよいよ準備が整ったと陛下の使いが僕の寮に書状を持ってきたので。

今日は学園が休みと言う事もあり、僕たちはみんなで見学に来ているところだ。


さすがに学園の寮よりは遠いものの。

しっかりと“高級な馬車”までセットになっておりました。


使用人については当初100人くらい居たのだけれど。

サルツさんの厳しいチェックにより大幅に縮小。


最終的に38名がこの宮殿の管理及び僕たちの世話と言う事に落ち着きました。


「お疲れ様でございます。ライト様」

「うん。これからよろしくね?ゲネスさん」


そんな僕たちに恭しく礼をとり、声をかけてきた執事長兼管理責任者のゲネスさん。


既にこの宮殿に勤め。

30年以上のキャリアを誇る、優し気な老紳士だ。


さらにはロキラス公爵の剣の先生と言う事で。

何気にレベルも90以上の達人でした。


道理でもう70歳に近いのに、立ち居振る舞いが美しい。


「ところでさ。僕のオーダーは問題ないかな」

「はっ。工房にはすでに機材を搬入済みです」


僕は考えた。

すでに貰ってしまった最高級の宮殿。


どうせなら好き勝手、僕の思うように改造しようと。

因みにだけど僕には“寿命の概念”がない。


超絶スキル『死身刻命』

最期に経験した老衰。


僕は既に“老衰”で死ぬことすらなくなっていたんだ。


今僕は10歳。

正直年を取り、いつかは衰えるのだろう。


でも。


それについても『いくつかのスキル』で、きっと僕はある程度の年齢以降年を取らないはずだ。


手に入れた永遠。

だからこそ僕は今を全力で生きる。


そう心に誓っていた。


そして僕の婚約者たち。

女神であるティアリーナも寿命の概念はないし、とんでも存在になっているヴィエレッタもほぼ永遠の命を有していた。


ルイやルザーラナは悪魔。

彼女たちも想像を超える長寿だ。


そしてニニャ。

彼女も既にそういう事の『理の外』の存在。

きっと末永く僕たちは暮らしていけるはずだった。


もちろんキャルン姉さまやココナ、ヒャルマ先生。

そしてリュイネやシャルル。


普通のヒューマンである彼女たちとはいつか別れがくるのだろうけど。

今それを心配したところで始まらない。


そうそう。


ミリも寿命ないんだよね。

何しろ彼女はすでに4000歳オーバーだ。


改めて。

僕の大切な婚約者たち。


とんでもない“チート集団”だ。


そんなわけで僕が長く暮らすであろうビザイド宮。

とことん改造すると心に決めていたんだ。


だってここは。


僕の願い。

『スローライフ』の舞台となるのだから。



遠慮なんてしてられない。



※※※※※



「サルツ兄さん。使用人とか大分減らしたけど…この宮殿の維持とか問題はないのかな」


一通り見ようと思っていた僕たちだけれど。

余りにも広大なため断念。


今は休憩がてらお茶をしているところだ。


「ええ。もともとは宮殿ですので。一部武闘派の執事見習いや諜報関係の者もおりましたから。ライト様の多くのスキルで賄えると判断したものには暇を出しました。…ライト様」


「うん?」


「本当によろしいのですか?今言った暇を出した者達…今までとほぼ同じ待遇、つまり毎月給金が発生する条件を組まれていますが…」


実は僕。

このビザイド宮をもらうときに一つの条件を付けていた。


今まで使用していないとはいえ、この宮殿の関係者は多い。

そしてそれはすなわち、“職場”と同意だ。


今サルツさんが言ったように僕のいくつかのスキルで多くの事は賄えてしまう。

何より。


どうしても僕の想いに反してしまう人も多くいる事実。

人を減らすのは当然だった。


でも。


いきなり暇を与えられては皆困ってしまう。

なので僕は暇を与えた者たちすべてに、同じ給金を払い。


僕が『新たに起こす事業』に対し協力させることをお願いしていたんだ。


何より僕には莫大な資金力がある。

お金と言うものは溜め込んでも意味はない。


流通させてこそ、だ。


実は陛下。

この宮殿の維持管理費、かなり頭を悩ませていたんだ。


「確かに今までとは比べ物にならないくらい、毎月の経費はかさむよ?でもね。サルツ兄さんにも言ったけど。…新たな事業、それが軌道に乗れば全く心配はなくなるよ。そもそもすでにとんでもない金額を僕は保有している。何もしなくても数百年は維持できる金額をね」


正直僕は超お金持ちだ。

幾つもの魔道具の特許料と擬似ダンジョンの収入。


さらには影の騎士ノワールと美しすぎる従者アラタイト関係でも、想像のつかないような金額を保有していた。


「まあ。確かに大国の国家予算…軽く数百年分はありますね…ふう」


なぜかため息を吐くサルツさん。

常識の範囲、既にそれをとっくに超えていたんだ。


「ども一番僕が思う事は…サルツ兄さんがいてくれるから…ですけどね?」

「っ!?…ふう。…相変わらずライト様は“人たらし”です」


顔を染めそんなことをつぶやく彼は、満足そうに微笑んだ。



「なんじゃあるじ殿。また何か企んでおるのか?」

「うんうん。なんかライト、悪い顔してるしね」


そんな僕の様子に、ミリとヴィエレッタが問いかける。

…悪い顔?


失礼な。


「ヴィエレッタはさ。前の世界、つまりルードイーズの時のこと覚えているでしょ?」

「…うん。…あまり思い出したくないけど…ライト冷たかったし」


「うぐ。…コホン。…この世界物足りないと思わない?特に女性が使うもの」

「…うん?…あっ!?」


「うんうん。…化粧品と言うか美容関係。僕はそれをこの世界に広げたいんだ」


ミラリルスの人口は、およそ以前僕とヴィエレッタが暮らしていたルードイーズとほぼ同じだ。


文化レベルもほぼ同じなのだけれど。

どういう訳か著しく進歩していない分野があった。


まずは医療関係。

これは前述もしたが、驚くレベルで遅れていた。


そしてきっとそれも影響しているのだろう。

美容関係、そして化粧品。


何しろ質がとんでもなく悪く、しかもやたらと高額だった。


「まずは基礎化粧品だよね。化粧水と乳液。…君たちはなぜかとんでもなく可愛いし美しいけど…かなり劣悪な状況の女性も多いんだ」


以前“陰の騎士”の案件で助けた女性。

質の悪い化粧品と重度の生活習慣病で、肌とかボロボロだったことを思いだす。


「あとはサプリかな。これについてはルードイーズには無かった概念だけど。実は僕、地球にいた時そういう仕事だったんだよね」


「ほう?確かにこの世界、バランスよく栄養を取るのは至難の技じゃしな。いいのう。…また金の匂い。プンプンしよるの」


もともと日本で暮らしていたミリが即座に反応する。

それ以外の皆さんはぽかんとしちゃっているけど。


「それにさ。この宮殿やたら広いでしょ?新たに工場を作る必要がないくらいに」

「そうですね。宮殿ではなく住居としての利用。確かに不要な設備、多くありますから」


サルツさんが頷く。


「ふふっ。これは忙しくなるなあ」


僕はそう呟き思いをはせる。


何より僕のとんでもないスキル。

そして異常に保有しているダンジョンポイント。


すでに出来ないことを探すほうが難しい状況。



僕は久しぶりに“わくわくした感情”を抱いていたんだ。



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