第1話 契約結婚しました!
「つまりお飾りの妻になってほしいんだ」
「…………は?」
爽やかな笑顔でそんな失礼なことを言ったのは、令嬢の中で惚れない女は居ないと噂される次期公爵様だった
「お!アイリーン嬢、今年は豊作だぞ〜」
「それはよかった!楽しみにしてるわね!」
「おねーちゃん!私クッキー作ったんだ!」
「食べていいの?ありがとう!」
街のみんなから元気な声がとんでくる
今日も私は街の視察に来ていた
あまり裕福な土地ではないけれど、活気よく元気で暖かないい街だと思う
「ただもうちょっっっとだけ、街の雰囲気を新しくしたいなぁ…」
あまり裕福じゃないのもあって街の雰囲気では誤魔化せないほど古い建物があったりもする
正直台風とか地震とか魔物の大群とかなにかあったら……
うん、考えるのはやめよう…
「アイリーン嬢!領主様がおよびになってるそうですよ!」
「お父様が?」
「お嬢様口空いてますよ…」
ななめ後ろから呆れた声が聞こえる
幼少期から私に仕えてくれている侍女のクレアだ
「仕方ないじゃない!」
だって!!!
〜数分前〜
「アルフレッド様から求婚の手紙がきてる…!?」
「あぁ…」
「アルフレッド様ってオズボーン家の!?!?」
「そうだが…どこで知り合ったんだ?」
いや知らねぇよ、あったことも話したこともねぇよ
「コホン、いえお会いしたことはないはずですが…」
「そうか…」
「とりあえず明日アルフレッド様がいらっしゃるそうだから」
「はい……?」
急すぎでは??
〜〜〜〜〜〜〜〜
「そりゃそうだ、次期公爵様からの求婚だよ??
球根じゃなくて、求婚だよ?!」
「動揺し過ぎでは?」
「だってぇ」
あぁ頭おかしくなりそう
私に求婚してきたのは、王家の腕としてこの国を支えているオズボーン家のアルフレッド様だ
ちなみにこの国の貴族階級はこんな感じ
公爵←アルフレッド様
侯爵←私
伯爵
子爵
男爵
騎士
「惚れない女は居ないという噂もありますよ、よかったですね」
「なにが…」
逆に他の女の人に逆恨みされそうじゃない?
女の恨みは怖いぞ〜、陰口怖いんだぞ〜、もうすでにいわれてる気がするけど
「お嬢様は色恋に興味がないことで有名なのでこんなこと二度とないかもですよ?」
「うっ…」
そう、私には色恋に興味がないことで有名なので求婚なんてもってのほか、夜会などで誘われたりもしたことがない
「お嬢様せっかくお綺麗なのに」
「えぇ?だってほんとに興味ないんだもん」
今は街の人たちと楽しく話せてればそれで楽しいし、嫁入りなんてしたらここから離れなきゃならないのよ?
孤児院の子どもたちとも会えなくなるかもしれないし
「まぁ会ってみないと分かりませんね、今日はもうおやすみなさい」
「えぇ、明日のことが不安で寝れないよ〜(泣)」
数秒後爆睡した
〜次の日〜
「そわそわしてて気持ち悪いです」
「侍女のくせに失礼な!!」
「仕方ないでしょ!だってアルフレッド様に合う日だよ!?不安で不安で…」
「昨日気持ちいいぐらい爆睡してましたけどね」
「う…」
それよりアルフレッド様はなぜ私を選んだんだろ?
面識もないし、恋に興味ないことで有名だし
夜会は食べ物目当てで誰とも踊らないようなやつだよ?
ていうかアルフレッド様は性格、勉学、武道、顔、すべてパーフェクトって言われてるけどほんとにそんな人いるんかな?
絶っっっ対性格一つはネジ曲がってそう…!
優しい人のフリして実は冷徹で無口なやつかもだし、優しい人のフリして実は女好きかもしれん!!
実は冷徹とかなら全然あり……
「つまりお飾りの妻になってほしいんだ」
「………は?」
想像してたよりたちわるいわ…
爽やかなイケメンボイスとその顔面偏差値ぶっこわれ顔でそんな最低なこと言わないでいただきたい
「どういうことですか…」
「僕には好きな人がいるんだ庶民だから結婚とか許されないんだよ、でも周りは早く結婚しろってうるさいし」
「だから私にお飾りの妻になれと……」
「あぁ」
は?ブチ切れていいかな?こいつなにいってんの?
結婚をなんだと思ってんの??
まぁ、こういう話も聞いたりするけどさぁ…
「政略結婚と変わらないだろ」
めちゃ変わるわ、政略結婚ならお互い向き合おうとするけどあんた一方的に拒絶してんのよ?
……なんて言えない今日この頃
「なら、教えていただきたいことがあります」
「あぁ、なんでも聞いてくれ」
色々聞きたいけどまず一番気になるのは
「なぜ私なんですか?」
まぁたしかに私は恋に興味がないことで有名だが
それだけで私にするなら相当なバカだろう
別に有名じゃなくても結婚願望がない女なんて普通にいるし、それだけとは考えにくい
なんなら私より恋に興味がないで有名な人間はいるし、私より爵位上だしそちらの方の方が優良物件では?と思ってしまう
「え?君は恋に興味がないで有名だろう?」
バカだったわ
「他にもそういう方々はいらっしゃると思いますが…例えばジェシカ様とか…」
ジェシカはさっき言っていた私より優良物件の方で、私の数少ない友人だ
「いや、君が一番言う事聞いてくれそうだったから」
クズ発言
こいつヤバ、殴っていいかな?いいよね?
「そもそも、こっちが得すること何もないじゃないですか!」
「え?言ってなかったか?僕と結婚した際は、借金返済と支援金を提供する、と」
「結婚します」
(お嬢様…)
クレアの軽蔑した目に気づくことなく婚約が決まった
コイツが言っていたクズ発言はあながち間違ってなかったのかもしれない
私もお金に釣られるとは飛んだ最低野郎だ、でもまぁ、街の人がもっと裕福に暮らせるなら…
いっか!
小説かくのはじめてなのでお手柔らかに…