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三八三年 祝の三十七日

 朝、訓練生の皆が食堂に向かう中。

「おはよう、レム」

「おはよう」

 レンとセラムが挨拶してくれるうしろ、小さくぺこりとしてくれるマジェスさん。昨日レンが紹介してくれたんだけど、私が名呼びでって言ったら、自分もって言ってくれた。

 私にはどこか一歩引いた感じで。お兄ちゃんにつっかかるようには見えないんだけどな。



 お昼過ぎ、ジェットたちが来た。

「ただいま、レム」

「おかえりジェット。皆もお疲れ様!」

 ダンとリックと。もちろんナリスも。

 もう満面の笑みのナリス。私だって嬉しいよ。

 今回ジェットは店に泊まるから、ダンがひとりで、ナリスとリックがふたりで泊まるんだって。

「ただいま」

 鍵を渡すと、ナリスは私を見つめてそう言って。

「うん。おかえり」

 そう返してたら、ナリスの隣にいたリックがものすごく居心地悪そうな顔で私たちを見てた。

「…わかってたけど……改めて目の前で見ると何かさぁ……」

「言うなリック。一番そう思ってんのは俺とアレック兄さんなんだから」

 同じくらいどうしていいかわからないって感じの顔で、ジェットが言って。

 ダンだけはちょっと笑って見てくれてて。

 やっぱり何か恥ずかしいよ??

 多分赤くなった私に、ナリスは笑って頭を撫でてくれた。



 ジェットはウィルと先に食堂に行って。ナリスたちは荷解きしてからお昼を食べに行って。

 今日の訓練が終わるまでは顔を出さないように言われてるらしくて。お昼を食べてから、ナリスは宿を手伝うって言ってくれた。

「持ってきたんだ」

 私の縫ったエプロンをして、普通に宿の仕事をしてるけど。

 手伝ってもらっていいのかな。

 そのうち休憩しておいでって言われて。ソージュがふたりで行ってきたらって言ってくれた。



 ふたりで厨房に行って。お茶を淹れる準備をって思ったら、やっぱりその前にナリスに抱きしめられた。

「会いたかった」

 囁きながら近付く顔にキスを返して。

「交代しないとだから、お茶の準備させてね?」

 そう言うと、もう一度キスしてから離してくれた。

「今回は早く来れたんだね」

 お湯を沸かしながら聞くと、うん、と嬉しそうに頷いて。

「早く来られて嬉しい」

 そう言いながら、また抱きすくめられる。

「待ち遠しくって仕方なかった」

「私も。早く会えて嬉しいよ」

 来るの、こんなに早いって思ってなかったから。なんだか嬉しいね。

 ナリスは私の言葉に頷いて、少し笑って。

「当分からかわれそうだけどね」

 触れる寸前まで唇を寄せて。

「……まぁそれも嬉しいんだけど」

 抱きしめる手が強くなるのと、唇が重なるのはほとんど同時。

 お湯が沸いたと止めるまで、離してもらえなかった。



 夕方訓練から帰ってきた皆。今から夕食だよね。

 ジェットたちが店にいるから。皆びっくりするだろうな。

 なんて呑気に私は思ってたんだけど。戻ってきた皆、もう疲れ切ってて。

「レン? セラム? どうしたの?」

 レンたちは訓練生たちより体力があるから、ディーもカートもこんなに疲れたりしてなかったのに。

 レンが立ち止まって苦笑した。

「…ジェットさん、ホントヤバい」

 ジェット?

「やっぱり英雄って違うんだねぇ…」

 戻るねって言って、レンはのろのろ階段を上がっていった。

 しばらくしてから、滅茶苦茶機嫌の悪そうなロイがジェットに謝られながら戻ってきたけど。

 ジェット、また何かやっちゃったみたいだね…。

 ジェットたち到着、ベタベタしなくてもダダ漏れのふたりにちょっと周りは当てられ気味です。

 本編は珍獣テオから逃げるジェットと絡まれるウィル。報連相は大事ですよ。

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冬野ほたる様 作
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