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三八三年 祝の三十四日
お昼もとっくに過ぎてから、ロイが来た。
「久し振り! 今回もよろしくね」
にっこり笑ってそう言うけど。
「明日じゃなかった?」
「うん。俺だけ先に来たんだ」
ちょっと嬉しそうなその顔に、ククルに会いたかったのかな、と思う。
「じぃちゃんたちは明日来るから」
わかった、と答えて鍵を渡して。
二階に上がるロイを見送ると、今度はお兄ちゃんが来たんだけど。
「…お兄ちゃん?」
「何」
何でそんなに機嫌悪いの??
「…大丈夫?」
「何が」
何がじゃないよ、お兄ちゃんがだよ!
気付いてないの?
「…裏、やってて。表に出られる顔してないよ?」
お兄ちゃんには悪いけど、お客さんにそんな態度取るわけにいかない。
私がそう言うと、お兄ちゃん、はっとなって。
「…ごめん」
うつむいて、謝ってくれた。
お兄ちゃんは裏に行って。ロイはまた店に行ったみたい。
多分ロイと何かあったんだろうけど。
ホントお兄ちゃん、しっかりしてよね?
お兄ちゃんの変化にレムは敏感です。
テオも宿では少し素が出るようですね。
本編は開き直ったロイ。目論見通りいってよかったですね。