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三八三年 祝の十五日

 朝、いつものようにソージュが来てくれた。

「おはよう」

「おはよう、ソージュ。今日もよろしくね」

 昨日ソージュが帰ってからジェットたちが来たこととかを話してたら、食事に行ってたジェットたちが帰ってきた。

 ソージュと話してるの、ナリスが見たら気にするかなって思って。うしろから来たナリスを見ると、大丈夫っていうように笑ってくれた。

 もう気にしないでくれるみたい。よかった。

 二階に上がる皆を見送って。話の続きをしようとしたら、ソージュがぼんやり二階を見てる。

「ソージュ?」

 声をかけたらちょっとびっくりしてから、何でもない、だって。



 訓練途中にジェットがお父さんを呼びに来て。お父さん、仕方ないなって笑いながら一緒に行った。

 お昼前に帰ってきた皆に、お父さんすごいんだねって言われた。

 確かに強いんだって聞いてるけど。お父さんってそんなにすごいの?

「ククルさんも、レムさんも。好きになった男は大変だろうね」

 フェイトさんがそう笑う。

 どういう意味だろ?

 ナリス、大変なのかな?



 午後にアリーがククルのお菓子を持ってきてくれた。今回もいっぱい作ってるんだって! 楽しみだよね。

「皆アリーのことすごいって言ってたよ」

 そう話すと、ありがとって笑ってくれる。

「ナリスさん来たわね。もう話した?」

 顔を寄せて、小さな声でアリーが聞いてくるから。

「話してくれてありがとうって。アリーが言ってくれたからだよ。ありがとうね」

「よかった。これで文句を言うような男なら、やめときなさいって言うところだったわ」

 あはは。前なら言われてたかも。

 昨日ナリスがもう大丈夫って。私のことを信じてくれるって。そう言ってくれたから。

 大丈夫だよ。

 皆が訓練してる間に食べていいってお父さんが言ってくれたから。ソージュとふたりで休憩になった。

 厨房に行って。お茶を淹れて。

 並んで食べるんだけど、ソージュ、時々考え込んでるみたいに手が止まる。

「どうしたの?」

 声をかけたらはっと私を見て、何でもないってまた言うけど。

 何だか沈んでる顔してるから。ちょっと心配。



 追加訓練から帰ってきた皆と入れ違いにナリスが降りてきてくれた。

 いつものように厨房で。こうしてふたりでお茶を淹れるのも何度目かな。

 お湯が沸くのを待つ間。訓練どうだったって聞いてみたら、仕方なさそうに笑って。

「前程気にはしてないんだけどね」

 だって。

 色々測って比べたらしいけど。ナリスは普通のパーティーのリーダーくらいなんだって。

 それって十分すごいと思うんだけど。

 でも周りがジェットにダンにロイに…ってなると、そう思えないのかな。

 でもよくわかってない私にすごいと言われても、何の足しにもならないよね。

 そんなことを思ってたら、いつの間にかナリスがじっと私を見てて。

「今日は慰めてくれないの?」

 いい笑顔でそう言われた。

 慰める必要があるように見えないよ??

 でも何だか期待されてるみたいにじっと見てるから。

「慰めてほしいの?」

 そう聞いたら、嬉しそうに笑って頷かれた。

 ふたりとも立ってるから、こないだみたいに頭も撫でられないし。

 私が抱きついたら、私が甘えてるだけみたいだし。

 ものすごく見られて待たれてるけど。どうしてほしいのかな?

「な、何かしてほしいこと、ある…?」

「レムがいいようにして」

 わかんないから聞いてるのに!

 お湯が沸いてくれたらお茶淹れるからって言えるんだけど、まだだよね…。

 仕方ないから、ナリスを引っ張って、椅子に座らせて。にこにこ笑ってされるがままのナリスの頭をいっぱい撫でて、ぎゅっと抱きしめて。

 お湯、まだ???

 覗きに行こうとナリスに背を向けたところで引っ張られて、ナリスの膝の上に座っちゃって。

 慌てて立とうとしたら、そのまま背中から抱きしめられた。

 上に座るとか重いよね? それにかなり恥ずかしいから!

「お湯が…」

「もうちょっと」

 耳元で囁かれて。ぎゅっと抱き込んで逃がしてくれない。

 そのまましばらくナリスの上に座って抱きしめられて。

 何だかもう、恥ずかしいよ…。

 楽しそうで何よりです。

 本編は皆でデータ取り。じぃちゃんずは辞退しました。

 ラウルも必死ですが。恋愛に関してはククルもポンコツですからね…。

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冬野ほたる様 作
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