三八三年 祝の十三日
訓練二日目。朝、かなり早くにアルディーズさんたちが降りてきた。
「おはようございます。あの、まだ朝食の準備はできてないと思うんですが…」
どうしようかと思ったけど、そう声をかけたら、アルディーズさん、にっこり笑って頷いた。
「おはようございます。できたら向こうで待たせてもらいたいなと思って。もしかして迷惑になるかな?」
こうしてると、ホントに普通の人なのに。どこにそんな熱量があるんだろう?
「大丈夫だとは思いますが…」
そう答えると、よかったと笑って行っちゃった。
ククルに会いに行ったんだよね。
ホントに。ずっと思い続けてたっていうし。情熱的な人なのかな。
「じゃあ行ってくる!」
いつものように満面の笑みで手を振って、カートが訓練に向かった。
手を振り返すと、フェイトさんとか、ほかの人も手を振ってくれる。
でもやっぱり昨日先に帰ってきた四人は浮かない顔で。小さく頭を下げて通り過ぎていった。
私が気付くくらいだから、多分ロイもゼクスさんたちも気付いてくれてるよね。
あんな顔のまま訓練が終わるなんてことにならないように。
皆笑って帰れるように。
どうにかならないかな…。
私にできることは何もなくって、やきもきしてたんだけど。
夕方帰ってきた皆はすっかり表情が変わってて。
何があったんだろう?
疲れた顔はしてるけど、皆笑って夕食に行って。帰ってこなかったってことは、追加訓練に出たんだよね?
そのあと帰ってきた皆は、なんかめっちゃ浮かれて食事の話をしてる。
何があったかわからないけど。
皆やる気になったみたい。いい顔してるよね。
そんな皆を見るロイも嬉しそうで。
ホント、よかった!!
訓練二日目。食堂は色々とありますが、まだ宿は平和です。
本編はそれぞれの思い。ウィルは頑張ったよ…。