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三八三年 祝の十一日

 外が賑やかになってきた。訓練生の皆、到着したみたいだね。

 お父さんたちも来て、ロイとゼクスさんたちが降りてきてすぐ、ウィルが入ってきた。うしろに何人か…って、フェイトさん?

「到着しました。今回もお世話になります」

 皆にそう挨拶してから、フェイトさんがギルドに入ったことをゼクスさんたちに説明するウィル。

 私たちはククルから聞いてたからね。

 挨拶を終えたフェイトさんがこっちに来てくれた。

「レムさん、ソージュさん、またしばらくよろしくな」

 相変わらず元気な人だね。挨拶を返すと、紹介するよ、と一緒に来たふたりを振り返る。

「師匠と兄弟子」

「ニース・チェザーグだ」

「ラウル・アルディーズです」

 私たちも名乗って。チェザーグさん、ジェットと仲いいんだって!

 お兄ちゃんたちにも挨拶してくるって、三人が出て行って。

 入れ違いで、今度はふたり入ってきた。

「レム!」

 私を見て駆け寄ってきたのは。

「カート! 久し振り!」

 懐かしい顔に嬉しくなる。

 私の前に立ったカートも嬉しそうに笑って。

「やっと来られた。今日からよろしく」

 ぎゅっと私の手を握って、ぶんぶん振って。

 変わらないね、カート。

「…レム」

 ソージュの声に我に返って。紹介しないとだね。

「幼馴染のソージュ。訓練の間宿を手伝ってくれてるの。友達のカート。前にうちに泊まってたんだよね」

 カートとソージュにそう言うと、ふたりはじっと顔を見合わせてから、よろしくって握手してた。

「お師匠なんだ」

 追いついてきた男の人。そういえばディーのときも来てたもんね。

「ウィケット・ベイターという。カートから良くしてもらったと話を聞いている。本当にありがとう」

「そんなことないですよっ」

 名乗る前からそんなことを言われてびっくりした。

 お礼を言われるようなことしてないのに。カート、私のこと何て話したの??



 カートたちはゼクスさんたちにも挨拶をして。あとは顔合わせのときでいいよねって、ロイが部屋に戻って。

 私とソージュはとりあえず受付で、話をする皆を見てたら。

 裏口の方から来たアリー。私たちを見ていたずらっぽく笑って。ゼクスさんに何か言ってから、ウィルとカートの前に出る。

 …そういえば、ウィルとカートってアリーのこと知ってたっけ…?

 そんなことを思ってたら。

「俺が実は女だったって言ったら信じる?」

 アリーってば。ロイのフリしてる。

 ウィル、持ってた紙を全部落としちゃったし。

 カートなんか真っ赤だよ?

 アリー、美人だもんね。

 クスクス笑って、じゃあねぇって。そんなことしたら。

「アリヴェーラ!!」

 ほら、ゼクスさんに怒られたよ…。

 我に返ったウィルが紙を拾って。

 カートはまだわかってないみたい。

 ゼクスさんが大きい声を出したから、慌ててロイが降りてきて。ますますカートが混乱して、ベイターさんに落ち着けって言われてる。

「…アリー、髪切ったのってまさか…」

 隣でソージュが呟いてた。

 …うん、多分ね、そうだと思うよ。



 顔合わせは、もうホントすごかった。

 ゼクスさん呆れてるし、ウィルは疲れてるし、ロイは怒ってるし、アリーはご機嫌だし。

 お兄ちゃんはどうしてかアルディーズさんを睨んでるし、そのアルディーズさんは滅茶苦茶ククルのこと見てるし、ククルはそっち見ないように必死だし。

 ゼクスさんたちはわかるけど。お兄ちゃん、何があったの??

 初日からこんなで大丈夫なの??

 そんなこと思ってたら、皆にお茶を持っていったあとでアリーが何があったか教えてくれた。

 アルディーズさん?? 信じらんない!

 そりゃあお兄ちゃん怒るよね…。

 もうホント、今回の訓練、ちょっと不安…。



 夕方、食事に行くカートは普通に皆と話してて。

 ディーが頑張ったおかげもあるよねって思って、嬉しかった。

 戻ってきたカート、皆に先行っててって言って、私の前に来た。

「元気だった?」

 にっこり笑って聞いてくれる。

「うん。カートは?」

「俺も。戻ってから、師匠たちにちゃんと相談しろって怒られた」

 少し照れたようにそう言って、ちょっと真面目に私を見る。

「ホントに。ここに来てから色々気付いたんだ。それに…」

 口籠ってから、カートはじっと私を見つめて。

「…約束、覚えてくれてる?」

「……話、聞いてって」

 私がそう答えると、嬉しそうに頷いた。

「今は訓練頑張るよ。訓練終わって。帰る前に、時間くれる?」

 真剣で、でもちょっと顔を赤くして。

 やっぱりそういう話、なのかな。

「…あのね、カート…」

 私にはもう好きな人がいるんだって、今ここで言ったほうがいいのかな?

 でも話を聞くって約束だし。

 もしかしたらもしかして、全然違う話かもしれないし。

 どうすればいいのかわかんないよ。

 迷って、迷って。でも私を見るカートの真剣な表情に。

「……何でもない。帰る前ね、わかった」

 約束通り、話を聞くことを決めた。

 頷いた私にカートは嬉しそうに笑って、ありがとうって言って戻っていった。

 嬉しそうなカートに申し訳なくって。

 私、どうしたらよかったのかな…。

 人数増えてきました。

 レム、今は人の心配をしていますが。修羅場なのはこっちもなんですよね…。

 本編。ラウルは直前まで設定どころか存在もなかったキャラで。よくもまぁここまで喰い込んだものです…。おかげで本文が長くなること…。

 

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冬野ほたる様 作
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