三八三年 明の二十八日
ククルが帰ってきた!
店に顔を出してから、すぐにこっちにも来てくれて。
「ただいま、レム」
にっこり笑う元気そうなククル。
何だかとっても久し振りな気がするよ。
「おかえり!」
そう言って抱きつくと、ククルもぎゅっとしてくれた。
ウィルの妹弟だっていうカレアさんとフェイトさんを紹介してもらって。
何があってどうなったのか、ククルはアルドさんに話をしたあと、店でお兄ちゃんとアリーとお父さんに話をしてる。
私たちはそのあとお父さんから聞くことになりそうかな。
店で出せないからって、カレアさんたちにお茶を出してほしいってククルに頼まれてたから。
お茶と、作ったものじゃないけどお菓子を持っていった。
家族だからひと部屋でいいって言ってくれたカレアさんたちにお茶を渡して。
ありがとうって笑ってくれたカレアさん。
それにしても。ウィルと、カレアさんと、フェイトさん。全然似てないよね?
しばらくしてからアリーが駆け込んできた。
「おじいちゃんに戻れって言われたの。レム、明日出発でもいいかしら?」
「明日?」
私は準備さえすればいいんだけど、と思ってソージュを見ると、笑って頷いてくれた。
「あとは任せて」
「あら、さすがねソージュ」
ふふっと笑うアリーに、ソージュも笑ってる。
すっかり仲良くなったよね。
戻ってきたお父さんから話を聞いて。
ウィル、大変だったんだね。
私から見たらウィルってすごく大人で。なのにそんなふうに悩んだり言えなかったりするんだって思うと、何ていうか、大人も大変なんだなって。
あれ? でもそういえば。ウィルってナリスとひとつ違いだったはず。
ナリスもウィルみたいに色々悩んだりしてるのかな。
そんなことを考えながら受付にいたら、カレアさんとフェイトさんがカップを持ってきてくれた。
お礼を言って受け取ると、ちょっと話がしたいって言われる。
「ウィル兄がお世話になっているから。お礼を言いたくて」
ウィルって、ウィル兄って呼ばれてるんだね。
でもお礼って言われても。ウィルは店にいるほうが多いからね。まぁよく来るようになったから、最初の頃よりは話すけど。
そんな話をするうちに、ウィルの家族のことを聞いて。
似てないと思ったら、そういうことだったんだ!
って、私、聞いちゃってよかったのかな?
そう言ったら、隠してるわけじゃないからって言ってくれた。
カレアさんもフェイトさんも。ウィルのこと大切なんだって伝わってきて。
ウィルも家族が大切だから、今回のことみたいになったんだろうな。
血がつながってなくてもっていうのは、私にもわかるよ?
私にとって、ククルとジェットとクライヴさんとシリルさんは、ずっとずっと家族だもんね。
ウィルの妹弟たち。カレアは女性の中で一番年長なので、必然的に母親役もしてきたと思われます。ただ、ひとつ下に妹がいるので、役割分担はできたようです。
ランス(26)ウィル(24)カレア(23)女性(22)フェイト(21)
そのあとに、20、19、19、17、17、16、15、マリエラ(14)と続きます。
本編は喜ぶテオ。たまにニヤニヤしちゃってそうです。