三八三年 明の二十三日
お兄ちゃんとククルがいない朝。
やっぱりちょっと寂しいかな。
そんなことを思ってたら、予定よりまだ早いのにソージュが来てくれた。
「どうしたの? 早いね?」
「目が覚めたから」
そう言うけど、多分手伝おうと思って来てくれたんだよね?
ありがとうって言うと、何も言わずに笑ってた。
やっぱりそうだよね?
ソージュ、優しいね。
「ふたりとも、もう着いたかなぁ」
「セレスティアだっけ?」
夕方、ソージュが帰る前に話してたら、お兄ちゃんとククルの話になった。
「ミルドレッドより大きい街なんだよね」
私からするとミルドレッドも大きい街なんだけど。セレスティアは職人街って言われるだけあって、お店がすごく多いらしい。
「どんなのが売ってるのか、ちょっと見てみたいけどな」
「細工のお店?」
頷くソージュに、やっぱり職人さんなんだなって思う。
「ミルドレッドくらいしか行けないから。ほかの人がどんなのを作ってるか見てみたい」
そう言うソージュはホントに真剣で、ちょっと夢見るようなキラキラした顔をしてて。
私とひとつしか違わないのに、立派に職人さんの心をしてるんだなってわかった。
今のソージュの顔は、店にいるククルやお兄ちゃんと一緒。自分のしたいことがわかってる顔、だよね。
ナリスだったら旅の話をしてるときかな。
私は、と考えて。わからないことに気付いた。
ここしか知らないから、ずっとここにいるんだと思ってたけど。
私は何がしたいんだろう?
引き続きお留守番のレム。
レムにとって旅は楽しそうだけど現実味はない、というところでしょうか。
本編はロイの実家の様子。大柄な三人に、ひとり小柄なルミーナ。でも住み込みの職人さんも支える母は強いのです。