三八二年 祈の三十日
ソージュが来て三日目。
真面目なソージュは仕事を覚えるのも早い。時間は少しかかっても、器用だし丁寧だから問題ないし。
ホントはもう合格でもいいんだけど。本人がまだ不安だって言うから、もうしばらく来てもらうことになった。
「ホント。ソージュもすごいね」
「すごいって?」
今日は宿の厨房で食べることになった。一緒にお昼を食べるのも三回目。学校で一緒に食べてたのが懐かしい。
「私、三日でなんか覚えられなかったよ」
ほめてるのに、ソージュはそんなことないよと笑う。
「レムより仕事の内容が少ないからじゃない?」
確かに、まだ基本的なことしかしてもらってないけど。
「そうかなぁ」
「そうだって」
だって、ソージュはちゃんとメモも取って、わからないことはちゃんと聞いて。最初からしっかり覚えようとしてくれてた。
だからきっと。こんなに早く覚えられたんだと思う。
「ホントに。もう合格でいいのに」
「いいだろ、もう少し来させてよ」
まだ言うのかと苦笑してる。
「それに、あさって。俺が来れば、レムも少しは楽だろうし」
「別にいいのに…」
誕生日は食堂で『お客様』してねってククルから言われてはいるけど、夕方からだから大丈夫なのに。
そう言うけど、ソージュは笑って首を振る。
「いいんだよ。俺が手伝いたいだけなんだから」
ひょっとしてそのために、まだ不安だって言ってくれてるのかな。
じっとソージュを見てみるけど。わからなかった。
「な、何?」
「ううん。どうしてかなって思っただけ」
慌ててたソージュが不思議そうな顔になる。
わからなかったけど、まぁいいか。
私の幼馴染は優しいんだよってことで。
ソージュは職人だけあって手先が器用なようです。
ふたりの関係は、やりとりも含めやっぱりククルとテオに似てますね。
レムも遠慮がないです。