三八二年 祈の二十八日
朝一番の仕事は私たちだけで大丈夫だから、ソージュには基本遅めに来てもらうことになった。
「おはようございます」
そう言って入ってくるソージュ。
「おはよう」
返すとにっこり笑われる。
「店にも寄ってきたよ」
「ククル、びっくりしてた?」
「うん。驚いてた」
楽しそうなソージュ。ククルも驚いただろうな。
お互いよろしくと言い合ってから、一緒に仕事を始める。
うん、やっぱりソージュは真面目で丁寧。
今回、私がもういいと言うまでソージュはここへ来ることになってるけど。この分ならきっとすぐに覚えられるんだろうな。
夕方まで一緒に働いて。
ソージュにはとりあえず夕方まで手伝ってもらう予定だから、今日のお仕事はこれで終わり。
「結構色々することがあるんだな」
そう笑ってるけど、ソージュはしっかりついてきてくれた。即戦力でいけそうなくらいだね。
「そういえばレム、結局誕生日プレゼント、何も言ってくれなかったから。俺、適当に用意したからな?」
そういやククルの誕生日のときに聞かれたっけ。
適当って。何だろう…?
「思いつかなくて。聞いてくれてたのにごめんね」
「いいけどさ」
ソージュが笑ってそう言った。
「まぁ、とりあえず。明日もよろしく」
「うん。また明日」
やっぱりちょっと嬉しそうな顔で、ソージュは帰っていった。
のほほんとしてますね。
ソージュは父と兄ふたりと一緒に、家具や木製品の職人をしてます。父の本職は木工細工ですが、小さな町なので需要が生活用品に大きく傾いているため、言えば何でも作ってくれます。たまに作った手の込んだ細工はミルドレッドに売りに行ってます。