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三八二年 実の四十四日
朝になって。宿に向かう。
昨日事故現場に行ってからククルの様子がちょっとおかしい。
何だろう。たまに考え込むよう感じで。お兄ちゃんもすごく気にしてる。
ヴェインさんは用事を思い出したって言って帰ったらしいけど。ホント急だよね。
「レム」
宿の裏口、入る前にうしろからお兄ちゃんに声をかけられる。
「様子見たいから、長めに店にいたいんだけどいい?」
「もちろん」
すぐに返すと、お兄ちゃんはちょっと笑ってありがとうって言ってくれた。
お兄ちゃんがククルのこと心配してるの知ってるよ。それに、私だって心配。
「ククルのことよろしくね」
「ん。わかってる」
ダンがするみたいに私の頭を撫でて、お兄ちゃんは店に行った。
ククル、事故現場に行って悲しかったこと思い出したのかな。
ククルがあのままじゃホントに心配。早く元気になるといいな。
ククルの知らないところで、テオの宿での仕事の配分は変わっていたりします。
レムはすれ違わなかったことを気にしていない様子。ヴェインのときは影の薄い男ですね。