三八二年 実の四十一日
まさかのお客さんが来た。
「またしばらく世話になるよ」
そう言って笑うゼクスさん。もちろんメイルさんとノーザンさんも一緒。
ククルにもらったお返しのお礼に来たんだって。
「今日は三人で来たんですか?」
ヴェインさんがいないなって思ってそう聞くと、ゼクスさんたち、顔を見合わせて。
何だか慌てて出ようとしたところにヴェインさんが入って来た。
あ、やっぱり来てたんだね。
そういえばあの花瓶。ヴェインさんが持ってきたって聞いたけど。全然気づかなかったや。
とにかくまたしばらく賑やかになりそう。
ククルも少し気が紛れるといいな。
ひとつ言い忘れてたことに気付いて。夕食が終わって戻ってきたゼクスさんたちを呼び止めた。
「どうしたんだ?」
メイルさんが優しい顔で聞いてくれる。
「お礼が言いたくて。ディーたちが軽い罰で済んだのは、皆さんが鍛えて、大丈夫だって言ってくれたからだって」
ジェットとククル、それからゼクスさんたち。皆が六人を庇ったからあの程度の罰で済んだってウィルから聞いた。
それに、ディーたちがあの短期間で成長できてたのも大きかったみたい。皆全然迷いがなくなってたもんね。
「皆がひどいことにならなくて、私本当に嬉しくて。ありがとうございました」
そう言って頭を下げると、ぽんと肩を叩かれる。
顔を上げるとノーザンさんがにっこり笑ってくれた。
「あれは奴ら自身が努力して得た結果だ。儂らは何もしとらん」
「そう。レムちゃんもよくあやつらを支えてやってくれたな。感謝しとったよ」
ゼクスさんもそう言ってくれる。
うしろのヴェインさんはやっぱり何も言わないけど、ちょっと口元が笑ってるみたい。
私、お礼が言いたかっただけなのに。
皆優しいから。泣けてきちゃったよ。
じわりと滲んだ涙に、皆慌ててる。
びっくりさせてごめんなさい。嬉しかっただけだから、心配しないでね。
ゼクスたち再びです。
ロイ、間一髪で間に合いました。
じぃちゃんは大変ですね…。
次話は短いので続けて上げますね。