三八二年 実の五日
本編『実の十二日』のネタバレを含みます。
皆も帰って、少し落ち着いて。
ククルの誕生日まであと七日、準備も進めておかないとね。
プレゼントはもう準備できたんだけど、お兄ちゃん、どうしてもあの味にならないって言って、まだがんばってケーキ作ってる。
同じ味じゃなくても、ククルなら喜んでくれるだろうけどって思うんだけど。
そう言ったら、お兄ちゃんはわかってるって笑いながら教えてくれた。
クライヴさんとシリルさんのいない誕生日だから、できることをしておきたいんだって。
ホント、お兄ちゃんってククルの為ならものすごくがんばるよね。
それくらいククルのことが、好きってことなのかな?
私も誰かを好きになったら、そんなふうになるのかなって。
受付で仕事をしながら、そんなことを考える。
ククルを好きなお兄ちゃん。
つらそうなときも、落ち込んでるときも、あるけど。
やっぱり嬉しそうにククルを見ていることのほうが多いよね。
ふと私を嬉しそうに見てた金の瞳を思い出して。
ちょっと慌てた。
ケーキを作り続けるテオ。
ジェットたちがいる間は、もちろん巻き込まれてたことでしょう。
甘いモノがあまり得意でないジェットですが、多分食べさせられてたかと思います。