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三八二年 実の四日

 朝宿に行くと、この前みたいに朝食前にナリスが降りてきた。

「おはよう。今日も早いね」

 そう言うと、おはようと返してくれて。

「今日発つから。その前に少し話せたらって思って」

ちょっと照れたように笑われる。

「ありがとう、レム。楽しかった」

 傍にいさせてって言われて。おとといと昨日。たくさん話した。

 私が知ってた通りのナリスも、全然知らなかったナリスも、色々見た。

 ナリスは私のこと最初ほめすぎなぐらいよく言ってくれてたから、逆にがっかりしたんじゃないかなって、ちょっと思ったりもしたんだけど。

 …そんなことはなさそう、かな?

 私を見てたナリスの顔が、少し心配そうに曇る。

「…嫌じゃ、なかった?」

 ちょっと、ううん、かなり自信なさげなその表情。

 こんな顔もするんだね。またひとつ発見。

「私も楽しかったよ」

 素直にそう返すと、曇ってた顔がぱっと明るくなって。

 嬉しそうに、瞳を細めた。

「よかった」

 ホントに嬉しそうに笑ってくれるから、何だかこっちまで照れくさい。

 多分顔も赤くなっちゃってるんだろう私に、ナリスはすっと顔を寄せた。

「次いつ来られるかわからないけど、それまでたまには俺のことも考えてね?」

 耳元で囁くようにそう呟いて。すぐに離れたナリスは満面の笑みを見せて、二階に戻っていった。

 びっくりしたやら恥ずかしいやらで、私はしばらく動けなかった。

 もう! 不意打ちやめてってば!



 そうして皆、行ってしまった。

 慣れてても、やっぱり寂しいかな。

 ナリスが次来るまでに。

 私も少し考えてみよう。

 ナリスが言ってたように、たとえ目の前にいなくても。

 こんな人なんだって、今回たくさん知ったから。

 この時はまだ出資者たちにお礼を言いに行くことしか知らないナリス。

 きっとあとでジェットは文句を言われたことでしょう。

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冬野ほたる様 作
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