三八二年 動の四十五日
ギルドから連絡が来た。
あさってに皆の迎えが来るんだって。
あと、今日と明日。
あっという間だよね。
話を聞いた皆はわかったって頷いただけだったけど。
中央に行ってから、皆はどうなるのかな…。
「どうした、レムちゃん?」
受付で考え込んでたら、メイルさんが声をかけてくれた。
そんなに心配されるような顔してたかな。
「皆、中央に戻ってからどうなるのかなって」
正直に思ってたことを話すと、そうだなぁ、とメイルさんは困ったような顔をした。
「お咎めなしというわけにはいかんだろうがなぁ」
「辞めさせられたりするの?」
「そこまではないと思うが…。儂も辞めてから随分経つからな」
どうだろうなと呟いてから、メイルさんは私を見る。
「レムちゃんはあの六人が心配か?」
「うん。だってホントは皆いい人たちなのにって思うもん」
迷わず頷くと、メイルさんはちょっと嬉しそうに笑ってくれた。
私の心配をよそに、皆はもう覚悟を決めてるみたいだった。
ちゃんと罪を認めて、与えられた罰は受け入れる。
そう決めてると、皆笑った。
「パーティーに残れるかとか、先のことはそれから考えるよ」
そっか、パーティーのリーダーが外すと決めたら従わないといけないんだっけ。
どうかな、と顔を見合わせる皆の中。珍しくセラムがうつむいて黙り込んでた。
「セラム? どうかした?」
声をかけるとぱっと顔を上げて、苦笑いしてる。
「俺は多分外されるなって思って」
「えっ?」
「元からあまり上手くいってないんだ」
そうなんだ?
みんなを見ると、セラムから話を聞いてたみたい、頷いてた。
「今回のことは、俺たち五人は直接の知り合いから話があったんだけど、セラムだけは自分とこの兄弟子に騙されたようなものだから」
ディーがそう説明してくれる。
「そうそう。リーダーも向こうの肩を持つみたいでさ。おかげでこんなにひねくれて」
「ひとこと多くなったんだよな」
「これは元々だよ…」
ひとこと多いのはカートとスヴェンだよね。
でも、そんなリーダーのとこなら外されたほうがいいんじゃないかなって思うんだけど。
私はジェットのパーティーしか知らないから。あれが普通だって思ってた。
そう言ったら、皆ぶんぶん首を振って、あれは特別なんだって力説された。
ジェットとダンが同じパーティーなのが、まず普通ではあり得ないらしいけど。
あのふたりを別々にすると…。…うん、間違いなく駄目になると思うよ。
メイルさん、レムのこともちゃん呼びです。ククルとは違ってレムは言葉使いがくだけてますね。
ジェットとダン。バラ売り禁止とレムはちゃんとわかってるようです。