三八二年 動の三十九日
「おはよう、レムさん」
朝、二階から降りてきたゼルさんが挨拶してくれた。もちろんうしろにヴェインもいる。
「おはようございます、ゼルさん、ヴェインさん」
そう返すと、ヴェインさんもぺこりと頭を下げてくれた。ホント喋んないよね。
ふたりとも日中は店に行ってることが多いみたいで。ククルも張り切ってお菓子焼いてる。
ゼルさん、最初に足の調子がって言ってたから、階段しんどいんじゃないかなって心配してたんだけど。
案外普通、だよね?
もちろんゆっくり降りてきてるけど。
よくなってきたってことなのかな?
お昼過ぎに来たお客さん。
同い年くらいの三人組。剣を持ってるからギルド員なんだろうけど。
ギルドのパーティーって絶対リーダーがいるから、こんな若い子ばっかりって普通ない。
一番年上っぽい褐色の髪の人が受付に来たけど、ちょっと緊張してるっていうか、慣れてない感じ。
それぞれ自分のパーティーに合流しに行くところなのかな。
初見の人たちだから案内に出る。
鍵を渡してごゆっくりどうぞといつもの言葉を口にするけど。
ほかは動き出したのに、赤い髪の男の子だけ立ったまま。
「どうかしましたか?」
じっと私を見てるから、何か聞きたいことでもあるのかなって思って声をかける。
「あっ、あのっっ」
「入るぞ」
何か言いかけたその子の肩を褐色の髪の人が掴んだ。
その子はびっくりしたように振り返って、結局そのまま何も言わずに部屋に入っていったけど。
何か聞きたいこと、あったんじゃないのかな?
泊まりに来たのは三人。残りは多分ミルドレッドに泊まっているんでしょうね。
フライング気味の赤髪くんでした。
途中からサブタイトルの『の』が抜けてることに今気付きました…。慌てて上げるとこんなものですね…。