三八二年 動の十八日
朝、いつものように受付で今日帰る人の確認をする。ジェットたちも今回は一泊。朝食が済んだらすぐ出るって言ってた。
「レム。おはよう」
まだ朝食には早い時間なのに、ナリスが降りてきた。ひょっとして眠れなかったのかなと思ったけど、そこまで疲れた顔はしてないかな。
「おはよう、ナリス。早いね」
「レムもね」
にっこり笑って、ナリスが受付の前まで来てくれた。
「ゆうべはありがとう」
「ううん。元気になってよかった」
そう言うと、レムのおかげと言ってくれる。
大げさなんだから。
「ところでどうしたの? こんなに早くから」
そう聞くと、ちょっと笑って。
「目が覚めただけ」
「そうなんだ?」
もしかして、やっぱりまだ疲れてるんじゃないかな?
そう思ってじっと見る。
「…レム?」
小さく呟くナリス。昨日よりは大丈夫そうに見えるんだけどな。…って。
「あっ!」
声上げた私にナリスがびくっと身を引いた。いつの間にか目の前にナリスの手がある。
「サワードリンク、飲む?」
「え?」
「まだ疲れてるなら。ご飯の前に」
何だかきょとんとしながらも頷いてくれたから、目の前の手を取った。
「レ、レムっ?」
ナリスを引っ張って厨房に行って。座ってて、と言ってサワードリンクを薄めて。
ちょこんと座るナリスの前に、サワードリンクと水のグラスを置いた。
「私は仕事に戻るから。グラス、置いたままでいいからね」
「レム!」
部屋から出ようとしたら、名前を呼ばれた。振り返ると、ナリスが瞳を細めて私を見てる。
「ありがとう」
優しい声に、自然と笑みが浮かんだ。
飲むお酢なのか、梅シロップ的なものなのか。
どちらも美味しいですけど、起き抜けにはキツくないかい…?
書き溜めてた分はこれで全部なので、以降ペースを落としますね。
せめて恋愛モノとして成り立つくらいまでは、それなりの頻度でがんばれたらなと思っています。
不定期で上げる予定なので、翌日の『丘の上』で報告しますね。