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三八三年 動の四十五日

本編『実の十二日』のネタバレを含みます。

 午前中に、宿にウィルからの手紙が届いた。次の訓練のことだよね。

 先に読んだお父さんが見せてくれたんだけど。

 日程、ククルの誕生日が帰る日になってて、ジェットたちは次の日まで泊まっていけるんだって!!

 ってことはだよ? お客さんもいなくて、皆でククルの誕生日を祝えるってことだよね!

 誰が言い出してくれたのかわかんないけど、滅茶苦茶嬉しい!!

 そういや前の帰り際、ウィルが宿は忙しくなるかもって言ってたのって、もしかしてこのことだったの?

 ジェットたちが泊まるからってことなら、そんなの全然大変じゃないよ!

 むしろ大歓迎! 今から楽しみで仕方ないくらい!



 その日はもう嬉しくて。お父さんとお母さんに何度も笑われた。

 だってほんとに嬉しいんだもん。

 去年のククルの誕生日。クライヴさんとシリルさんがいなくても、ククルに誕生日が嬉しいなって思ってほしくって。私たちだけだけど、目一杯ククルのことお祝いするからって、そんな気持ちだった。

 お兄ちゃんもぎりぎりまでケーキの試作をして。結局同じにはならなくても、ククル、ものすごく喜んでくれたよね。

 今年はジェットたちがいてくれるなら、ククルも絶対寂しくならない。絶対に喜んでくれるってわかりきってる。

 ククルの誕生日がそんな日になるなら、私も嬉しい。

 だから今年も。がんばってお祝いするからね!



 夜に戻ってきたお兄ちゃんともその話になって。

「悪いんだけど、前の日も店閉めてからしかケーキ焼けないだろうから、宿戻らなくてもいい?」

「もちろん! ごめんね、私が焼けたらいいんだけど…」

 さすがにククルの前じゃ焼けないから、家でしかできないんだよね。私にできたら訓練中に抜けて仕込めるんだけど。

 こんなことなら教わっておけばよかったよ。

「俺が作りたいからいいんだ」

 お兄ちゃん、ちょっと笑ってそう言うけど。

 何その幸せそうな顔?

「お兄ちゃん…?」

「だっ、だからいいよ、俺が焼くから!」

 お兄ちゃん、今度はなんだか焦ってる。

 忙しいなぁ、もう。

「そういえば、お兄ちゃんは今年誕生日プレゼントどうするの?」

 去年は髪留めを作ってたけど。今年は何も作らないのかな。

 お兄ちゃんが作るならって思って、私は作らずにいるんだけど。

 私が聞いたら、お兄ちゃん、用意してるよって。

「今年は手作りじゃないから。だからケーキは俺が作りたくて」

「プレゼント、何にしたの?」

「今はいいだろ。渡してから見せてもらえよ」

 何か照れながら内緒にされた!

 何お兄ちゃん、こないだの訓練とはまた違うけど、最近も変だよ?

「今教えてくれても…」

「駄目。内緒」

「ケチ」

「何とでも言えよ」

 あとやるから戻ってろって、お兄ちゃんに追い出された。

 今まで内緒にされたことなんてないのに。何で今年だけ…。

 考えてみるけどわからなくって。

 そのうちちょっと腹が立ってきた。

 ククルにばらしたりなんか絶対しないのに。内緒にしなくってもいいよね?

 お兄ちゃんのばか!

 もういいもん。

 髪留め、私が作るから!!

 予想外の訓練日程にテンションの上がるレムでしたが、テオのおかげで下がりました。

 その場しのぎで渡してから見せてもらえと言ってしまったテオですが…ホントに見せろと言われてククルが困ることになり、あとで怒られることになりそうです。

 本編はジェットからも手紙。今回はお説教回避しました。

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冬野ほたる様 作
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