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三八三年 動の三十三日

 訓練四日目、本当に今回は順調。

 まぁ、アリーとミュスカーさんは相変わらずなんだけどね。

 朝降りてきたナリスに、昨日はごめんねって謝られた。最近はあんなふうにされることはあんまりなかったけど、多分ずっと心配してくれてたからなんだよね。気にしてないよって言うとほっとしてた。



 今日からククルのお菓子も解禁! お茶の前にアリーが持ってきてくれた。

「もうホントにしつこいったら!」

 今日も大変そうだねって言ったら、アリー、そう言って怒ってる。ミュスカーさんとの手合わせはやっぱり受けてあげないみたいだね。

「顔を合わせる度に言われるから嫌になっちゃう」

「でもアリーもダンにそうじゃない?」

「自分がするのはいいけどされるのは嫌なの!」

 勝手なことを言ってふいっとそっぽを向くそんな様子もかわいいんだから。アリーっていいよね。

 ダンってこんなアリーを見ても絆されないんだね。私がダンだったらふたつ返事で受けちゃいそうだよ。

「…アリーはホントにかわいいよね」

 しみじみそう言うと、アリーは驚いたように私を見て、それから恥ずかしそうに視線を落とした。

「…そんなこと言ってくれるのはレムだけよ……」

「そんなことないと思うけど」

「もう…からかわないで」

 ちょっと赤くなって恥じらうアリー。

 これがかわいくなかったら何だっていうの??



 追加訓練が終わって帰ってきたミュスカーさん、もうホントに浮かれてて。何度もロイにお礼を言っては、もういいからって面倒くさそうに返されてるけど。

 何があったの?

 あとから来たエディル、ああ、って苦笑して。

「アリヴェーラさんが師匠との手合わせを受けてくれたんだ」

「アリーが?」

 あんなに嫌がってたのに。どういう心境の変化なの?

 驚く私にエディルが成り行きを説明してくれたけど。

「…ダンはそういうこと言わないと思う」

 ダンは絶対、誰かがそうしてたから自分もって、そんなことを理由にしたりしない。アリーもそれくらいわかってると思うんだけど。

 もしかして、手合わせを受けてあげる理由にしたのかな。

 それはわからないけど。受けてもらえるならよかったよね。

 エディルも肩の荷が下りたみたいにほっとしてる。いつものことって言ってても。やっぱり心配してたんだね。



「アリーはかわいいよね?」

 夜ナリスにそう聞くと、わかるけど、って頷いてくれた。

「俺は店で話す機会があったから何となくわかるけど。普通は『きれいでかっこいい』人だよね」

 うん、それも間違いなくアリーだけど。

 あのかわいいアリーを見ちゃうとね。普段の仕草にもいっぱいかわいいとこあるのにって思うんだけど。

 皆気付いてないんだよね。

「もったいないよね。あんなにかわいいのに皆知らないなんて」

「もったいないって…」

 ナリスは苦笑してるけど。

 ホントもったいないよ!

 アリーが大好きなレム。アリーもレムに気を許しているので、つい素が出ます。

 ナリスは店で恋話をした際のアリーの反応から気付きました。アリーとしてもナリスが自分にどうこう言うことはないとわかっているので気楽に接しています。

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冬野ほたる様 作
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