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三八三年 動の八日

 朝はいつも通りナリスがロビーで待っててくれた。ふたりでおはようって言い合って、厨房に行く。

「訓練が始まったら、朝に来るのは無理かな…」

 お茶を淹れようとしたらうしろから抱きしめられて、寂しそうにそう言われたから。

「会えるだけでも嬉しいよ」

 顔も見れるし、話せないわけじゃないもん。

 ナリスにもたれて応えたら、苦しいくらいにぎゅうっとされた。

 嬉しかった、のかな。



 朝食のあと戻ってきたナリスに、リックの訓練に出るから手伝えなくてごめんねって謝られた。

 今日は皆でリックを見るんだって。それでリックは朝食から帰ってきたとき嬉しそうだったんだね。

 もちろん謝られるようなことじゃないから、大丈夫って言って。

 お母さんにお願いして、朝のうちに昨日の夜書いた手紙を出しに行かせてもらった。

 もちろん宛先はナリスのお母さん。

 昨日の手紙のお礼が言いたかったのもあるけど、ナリスが嬉しそうだったのをどうしても伝えたくて。

 次にいつ会えるのかわからないけど、ナリスと家族の皆、ちゃんと気持ちを話せるといいね。



 お昼に戻ってきたナリス、お兄ちゃんが訓練に出るから、代わりに昼から店に行くんだって。

 ナリス、この間も手伝ってたもんね。

 几帳面だし、器用だし。たぶん店でも問題ないんだろうな。

 ちょっと見てみたいな、なんて思いながら仕事をしてると、お茶の時間にナリスが来てくれた。

「アリーがレムと休憩してこいって」

 ナリスがアリーって呼んでる!

 驚いてると、やっと呼び捨てでって言えたって笑ってた。

 厨房に行って、今度はちゃんとお茶を淹れて。

 ククルの新作のお菓子を食べながら、お店であったことを話してくれた。

「そういえば、アリーから聞いたんだけど」

 私を見るナリス、面白そうに笑ってる。

「俺もお菓子はククルに作ってもらえばいいと思うよ」

 聞いたってそれ??

 アリーってば!!! 恥ずかしいから!!

 間違いなく赤くなってる私を、ナリスは抱きしめてくれるけど。

 何でそんなに嬉しそうなのかな…。

「……からかってるでしょ」

「かわいいなって思ってる」

 そう答えてキスしてくるナリス。

 それをからかってるって言うんだって!



 お兄ちゃんが戻ってきたからって、ナリスが夕方にこっちに来てくれた。

「あとひと押しなのに…」

「何の話?」

 そう聞くけど、笑って答えてくれなかった。

 何気にまだお互い『さん』呼びだったナリスとアリー。店ではレムのことで盛り上がっていました。ふたりともレムが大好きですね。

 あとひと押しが足りないテオ。ナリスとロイなら間違いなくひと押しどころじゃすまないでしょうね…。

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冬野ほたる様 作
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