表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/176

三八三年 雨の四十九日

 今日も朝からロイは店に行ってたみたい。出掛けたのは見てないのに、朝食時間が終わった頃に戻ってきてた。

「おはよう」

「おはよう、ロイ」

 ロイもククルを心配して来てるんだもん、店にいたいよね。

 ちょっと部屋に戻るねって言って二階に上がるロイを見ながらそんなことを考えてた。

 ロイもウィルも。最近はホントにククルのことが好きなんだなってわかる態度を取ってて。

 もちろんお兄ちゃんもダダ漏れだけど、何ていうか、お兄ちゃんだけ違うんだよね。

 あんなにバレバレなのに、ククルには素直に態度に出ないんだよね。

 たぶんロイとウィルがククルのことを好きだって、ククル本人もわかってるんだろうけど。お兄ちゃんはわかってもらえてないんじゃないかな?

 お兄ちゃんは気を遣わせるのが嫌だからって言うけど、もうそんなこと言ってる場合じゃないと思うんだけどな。



 お昼前にお兄ちゃんが来て、ソージュと今までの分の引継ぎをし始めた。

 アリーとロイが明日朝に帰るから、店にいてもらえるうちにってことなんだろうけど。

 アリーがいるけど。ククルをロイと一緒に店に残してくるんだよ? 心配じゃないのかな?

 お兄ちゃんのこういうところ。ホントわかんない。

 お兄ちゃん自身は昨日よりちょっと元気になってるみたいでよかったけど。

 ククルが誰かの恋人になっちゃったら、お兄ちゃん立ち直れないんじゃないかって思うし。

 私はお兄ちゃんを応援してるから。

 もう気が気じゃないよ。



 お茶の時間にはアリーが来てくれた。

 結構な量のお菓子を持ってきてくれたんだけど、どうしたんだろ?

 ふたりで先にどうぞっていつものようにソージュが言ってくれたから、アリーと厨房に行く。

 お茶を淹れながらお菓子のことを聞くと、アリーは嬉しそうに笑って。

「ククルとロイと、三人で作ったの」

 って言うんだもん。びっくりしたよ。

 こないだはジェットがお菓子作ってたらしいし。その前はウィルが作ってたし。

 お兄ちゃんだって、去年りんごケーキ作ってたし、ククルと一緒にパイも焼いてくれたよね。

 え? ひょっとして、作れないの私だけなんじゃない??

 何だかちょっと悲しくなってきたよ…。

 落ち込む私に気付いたアリーが、どうしたのって聞いてくれたから。

 素直に話したのに、くすくす笑われて。

「いいじゃない。ククルが作ってくれるんだし、レムは縫うの得意じゃない」

 そうだけど! そうじゃなくて!!

 確かに私は料理より裁縫のほうが慣れてるけど。ククルは裁縫は時間がないからあんまりしないだけで、上手ではあるんだよね。

 料理も裁縫も上手で性格もよくてかわいくて。皆が好きになるのわかるよね。

 ……ナリス、何で私を選んでくれたんだろう? 嬉しいけどホントに不思議。

 こんなことナリスに言ったら、またわかってないって言われて滅茶苦茶キスされるんだろうけどね。

 兄の心配をするレム。相変わらずの心配をしています。

 最近は皆でお菓子を作るので取り残され感のあるレムですが、ジェットが途中放棄されていることを知りません。

 ナリスは難なく作りそうですね。

 本編は姉に怯えるロイ。しばらくネチネチやられそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バナー
本編バナー
冬野ほたる様 作
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ