表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/176

三八三年 雨の四十八日

 お昼過ぎにロイが来た。受付にいた私を見て、ちょっとほっとしたような顔してる。

「元気かって聞くのもちょっと違うけど。色々大変だったね」

「ありがとう。私は大丈夫」

 それならよかったって笑うロイ。優しいよね。

「心配で来ちゃったけど。ククルも落ち着いてるみたいでよかったよ」

 ホントに心からって感じのその声に、やっぱりロイはククルが好きなんだなって思った。



 ロイが来たから食堂は賑やかだろうなって思ってたら。夕方にロイと一緒にアリーまで来て、ホントにびっくりした。

 しかもロイ、もう寝るって言ってるよ?

 まだ夕方なのに??

 二階に上がるロイを見てたら、アリーがくすっと笑って私に言った。

「ロイはねぇ、徹夜で来たからククルに怒られたのよ」

「アリー!! 余計なこと言わなくていいんだよ!!」

 聞こえてたのかな。ロイが二階から怒鳴ってる。

 ロイもククルには素直だね。

 ククル、普段あんまり怒らないけど、無茶すると怒られるもんね。

「でもアリー、どうしてまた来てくれたの?」

「あのバカを見張りに来たのよ」

 あのバカって、ロイのこと?

「焦るとロクなことしないんだから」

 久し振りに辛口のアリーだけど、要するにロイが心配で来たんだね。

 そう言うときっと違うって言い張るだろうから。黙ってるけどね。



 帰る間際だったソージュもアリーを見て驚いてたけど、また会えて嬉しいって笑ってた。

 アリーは今回もククルのとこに泊まるって。ジェットたちも帰っちゃったし、少しでもククルが寂しくなくなればいいな。

 そうそう。アリーには今度こそナリスとのことを話さないと。

「あのね、アリー。ちょっと話したいことがあるから、あとで時間もらえるかな?」

 そう言うと、アリーは一瞬きょとんと私を見てからふふっと笑う。

「わかったわ。じゃあお仕事が終わったら部屋にいらっしゃい」

 な、何だかアリーに言われると恥ずかしいね??

 夜戻ってきたお兄ちゃんが代わってくれて、アリーに聞いてるから裏口を開けてあるって教えてくれたけど。

 お兄ちゃん、ちょっと変だよね。

「大丈夫?」

 そう聞いたらびっくりされて。でも笑って、大丈夫だって頭を撫でてくれた。

 お兄ちゃんにお礼を言って。裏口から入って、鍵を閉めるよう言われてたからちゃんと閉めて。

「来たわね!」

 アリーが店のほうから出てきてくれた。

「どうする? 部屋でふたりがいい? それとも三人でお茶しながらがいい?」

 ちょっと小さな声でそう聞いてくれる。

 三人でって言うと、アリーは嬉しそうな顔して私を抱きしめた。

 ククルをひとりにするの、気にしてたんだね。

 ククルにもお礼を言って。お茶を淹れて。カウンター席、私を真ん中にククルとアリーで挟んでくれた。

 ナリスから結婚しようって言われたって話したら、アリー、飲んでたカップを置いてから。

「ククルはもう聞いてるの?」

「私はこの前聞いたけど…」

「じゃあしばらくレムを借りるわね」

 そう言って、私の両肩を掴んで自分のほうへ向けて。そのままずいっと近付いてくる。

「何がどうなってそんなことになったのか。全部話してもらうわよ?」

 久々アリーにすごまれたよ!!

 そのあとはアリーの質問攻めにあって。ナリスの昔のことはちゃんと伏せたけど、あとはほとんど話すことになっちゃって。

 アリーが解放してくれてからククルを見ると、恥ずかしそうに見返された。

 こっちまで恥ずかしくなるから! そんな顔で見ないでってば!!

 ロイとアリーが到着です。

 基本店に入り浸りのロイですが、今日は仕方ないですね。

 ククルには話してないことも色々暴露することになったレム。

 ククルのナリスを見る目が変わりそうです…。

 本編は勘付くテオ。今回はほぼ正解ですが、きっとテオが思っている以上のことをされてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バナー
本編バナー
冬野ほたる様 作
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ