三八三年 雨の三十五日
夕方、ウィルが来てくれた。
「また迷惑をかけてしまい、本当にすみません」
顔を見るなり謝られたけど、ウィルのせいじゃないからって言って。
「来てくれてありがとうございます」
ウィルならジェットにちゃんと話してくれるから。ククルだって安心するよね。
鍵を渡して。お父さんはって聞かれたから、奥にいるかもって答えて。
一旦奥に行ったウィル、会えましたって言って戻ってきた。
お父さんには今話をしないみたい。荷物を置いたら、またすぐ食堂に行っちゃった。
そうだよね。ウィルだってククルのこと好きなんだもん。心配だよね。
夜に戻ってきたウィルが、部屋に戻らないでそのまま長椅子に座ったから。
「どうかしました?」
「いえ、テオに少し話があって…」
どうしてかなって思って聞くと、そう言われた。
ウィル、さっきまで食堂でお兄ちゃんと一緒だったはずなのに。
ククルに聞かれたくない話なのかなって気付いて、あの朝のことを聞きたいんだろうなって思った。
戻ってきたお兄ちゃん、手伝えなくてごめんなって言って、ウィルと厨房に行った。
お兄ちゃんとウィルって、ククルのことだと仲良くなるよね?
戻ってきたお兄ちゃんにあとはやっとくからって言われて、部屋に戻る。
ククルには今日も泊まらなくって大丈夫って言われた。朝はお兄ちゃんがだいぶ早く行ってるみたい。
ククル、いつ聞いてももう大丈夫って言われるけど。
まだ心配だよ。
ウィルが来ました。やはり見慣れぬミランより、ウィルのほうが安心するようです。
本編は気を遣うウィルと、ラウルの喧嘩相手発覚。負ける前に止めてもらえました。