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三八三年 雨の二十三日

「おはよう、レム」

「おはよう。来てくれてありがとう」

 朝から来てくれたソージュにそう言うと、気にしないでって笑ってくれる。

 今日はお父さんとお母さんがお休みの日。心配かけないように、しっかり仕事しないとね!

 よろしくねって言うと、ソージュも笑って頷いてくれた。

 すぐにジェットが来てくれて。ダンは朝食のお客さんが落ち着いてから来てくれるって。

 もちろんジェットとダンも慣れてはいるんだけど、一日通してってのは少ないから。

 やっぱり流れをわかってるソージュがいてくれると全然違って。

 おかげで困ることなく仕事ができてる。ホントにありがたいよ。

 途中お父さんとお母さんが来てくれて、お礼を言ってくれた。

 困ったら遠慮しないで呼ぶようにって何回も念を押されたけど。

 大丈夫だよ!



 夕方からはお父さんもお母さんも店にいたけど、帰ってきたお母さん、ククルに泊まってもらって三人でお茶しようだって!!

 もちろん大賛成!

 仕事が終わって。三人でテーブルについて。

 話すうちに、お母さん、私は幸せねって。

 お母さん、シリルさんのこと思い出してるんだろうな。

 結婚する前、ここで知り合って。すぐ仲良くなったって話してたことがある。

 それからずっと家族同然だったんだもんね。

 だから私もククルにくっついて。

 幸せだよって。そう伝えた。



「ここのところ泊めてもらってばっかりね」

 ふたりで部屋に来ると、ククルがそう言って笑ってる。

「私は嬉しいよ?」

「私も」

 ククルも嬉しそうにしてくれてて。私も嬉しい。

 しばらく話してたら、ククルがふと真剣な顔で私を見てて。何って聞いたらちょっと困った顔になって。

「レムはどうやって自分の気持ちに気付いたの?」

 恥ずかしそうにそう聞かれた。

 このところククルって、自分からこういう話もするようになってきてて。

 お兄ちゃんは変わらずだけど。ウィルもロイもアルディーズさんも、皆気持ちを隠してないもんね。

「…私は…」

 どうだったかな、と考えてみる。

「……普通はされないことをされても嫌じゃなかったから、かな」

 抱きしめられたり、頬にキスされたり。恥ずかしかったけど嫌じゃなかった。

 私の言葉にククルは何だか考えてるみたいだったけど。

 こんな答えでよかったのかな?



 そんな話をしてたら外で足音がして。

 お兄ちゃん、お父さんに誘われてお酒飲むって言ってたけど。帰ってきたのかな?

 ククルと部屋を出てみると、やっぱりお兄ちゃん。

「お兄ちゃん大丈夫?」

 なんだかすごくぼんやりしてない?

 こないだお父さんに滅茶苦茶飲まされたときのナリスみたいだよ??

「お水持ってくるから」

 慌てて水を取りに降りて。

 急いで上がったら。

「お兄ちゃん、お水―――」

 向かい合って立ってるお兄ちゃんとククルが目に入って。

 どうしたの?? ククル真っ赤だよ???

「ご、ごめんっっ」

 お兄ちゃん、お水持たないで部屋に入っちゃった!

 ククルも突っ立ったままだし!!

 何? 何があったの??



 とりあえずククルには部屋で座ってもらって。

 お兄ちゃんは部屋から出てきてくれなかったから、外に水を置いとくよって声をかけて。

 ククルの分もお水を持ってきてから部屋に戻った。

 まだ頬が赤いククルは座り込んだままで。いつも見ない顔だからか、何だかかわいい。

「ククル、大丈夫?」

 前に座って声をかけると、無言のままこくこく頷いてくれるけど。

「何かあった?」

 続けた声には何も返事をしてくれなかった。

 そのあと何回も聞いてみたけど、結局ククルは教えてくれないままで。

 お兄ちゃん??

 何したの!!

 フィーナとシリルは結婚前にアレックとクライヴに紹介される形で知り合いました。ククルたちが生まれる前は四人で飲んだりもしていました。あまりお酒は付き合えないクライヴにとっては、一緒に飲んでくれるふたりはありがたかったようです。

 本編は酔っ払いそこねるテオ。

 いっそのこと記憶が飛んだほうがマシでしたね…。

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冬野ほたる様 作
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