三八三年 雨の三日
今日はふたりの誕生日。朝食時間が終わってからプレゼントを渡すことにした。
それまではいつも通り…って思ったら、私が着くのと同時くらいにロイが出ていってて。
お兄ちゃんもさっき行ったばかりなのに。
ホント、最近のロイはククルのこと好きなのを隠すつもりがないみたい。あのヴェインさんと同一人物とは思えないよ…。
朝食のお客さんが落ち着いてから、預かってたプレゼントを持って食堂に行く。
アリーにもロイにもおめでとうって言ってから、いざプレゼントを渡すとき。
ちょっと迷ったけど、ロイの分をククルに渡してもらった。
だって絶対好きな人から渡してもらったほうが嬉しいよね??
お兄ちゃんには悪いけど、ロイ、誕生日だからね。
案の定滅茶苦茶嬉しそうな顔して受け取ってるロイ。
うん。喜んでもらえてよかった。
ふたりともその場で開けてくれて、嬉しそうな顔を見せてくれた。
喜んでもらえるとこっちまで嬉しいよね!
お茶の時間、アリーがお菓子を持ってきてくれた。
アリーが好きだっていうチーズタルトと、ロイが好きだっていうスフレチーズケーキ。
ククル、食べたことも作ったこともないからって、何回も試作してたよね。
私も正解は知らないけど、美味しいからこれでいいんじゃないかな?
「ありがとう、アリー」
「私はもう食べたの」
焼き立てを食べたかったんだって。アリー、満足そうな顔してる。
まだだったら一緒にお茶して、ちょっと話を聞いてもらえたらって思ったけど。よく考えたらアリーの誕生日なのに、私の話聞いてもらってちゃ駄目だよね。
いっつもアリーに頼ってばっかりだもんね。今回はちゃんとひとりで考えてみるよ。
今晩もアリーの泊まってる部屋に集まって。
ククルは誰にでも優しいねって話をして。
気を付けないとってアリーは言うけど、誰かにしか優しくないククルは想像つかない。
宿も一緒なんだけど、皆に喜んでほしいもんね?
帰るとき、笑顔でいてほしいもんね?
だからきっと、ククルは皆に目一杯優しいんだよね。自分にできることならしようって思うんだよね。
アリーもロイも心配してるみたいだけど、ククルはククルのままで大丈夫だと私は思うよ?
優しくしてもらえたら、されたほうも優しくなれるから。
何かあっても、ククルが今まで優しくしてきた人たちが助けてくれるよ。
ロイとアリーの誕生日。
ふたり揃って祝われるのは数年振りといったところでしょうか。主にロイが遊びに出てましたからね。
レムの『大丈夫』発言。言葉が足りなすぎましたね。本人には伝わっていません…。
本編はようやくタメ口解禁のロイ。ここまで長かったです。
ククルの言葉遣いは、テオやジェット相手には問題ないのですが、ウィルやロイ相手にはどうしてもタメ口だと違和感があります…。