三八三年 祝の四十八日
今日はお兄ちゃんの誕生日。
同じ家に住んでるんだから、当然すぐ顔を合わせられるんだけど、何となくククルが先のほうがいいかなって思って。
だからククルと一緒に家の外でお兄ちゃんを待ってた。
ククルはプレゼントを店で渡すって言ってるから、私のは先に渡したけど。何かはわかってるだろうし、開けるのはククルのあとでいいからね、お兄ちゃん。
「レム」
宿に戻ってきたお兄ちゃんに声をかけられる。
「エプロン、ありがとな」
わざわざお礼を言ってくれる。
「いつものだけど、使ってね」
ククルには青で作ったし。ちょうどいい色があったから、お兄ちゃんのは藍色にした。
お兄ちゃん、じっと私を見てちょっと呆れたような顔をして。
「お前、あれさぁ…」
「何?」
私、何かしたっけ?
聞き返すと、お兄ちゃん、溜息をついて。
「…何でもない」
何? 気になるよ??
今日はお兄ちゃんが食堂で『お客様』してる。お兄ちゃんもククルと一緒で落ち着かないんだろうな。
その日の夜帰ってきたお兄ちゃんは、何故かちょっと考え込むような顔してて。
どうしたのって聞いたけど、笑って何でもないって返された。
ものすごく悩んでるって顔でもないけど、何か気にしてる感じで。
どうしたのかな。
レムなりに気を遣っています。
ただ、朝食の際に両親から先に言われていそうですけど。
本編はテオの再告白。
一年間ずっと気にしていた、聞き流しての言葉を取り消しはしましたが。これでスッキリ、というわけにはいかないようです。