三八三年 祝の四十三日
朝目が覚めたら、ククルはもう身支度を済ませてた。
「起こしちゃった? ごめんね、レム」
「ううん、もう私も起きないと」
ククルってばホント早起きだね。
「おはよう、ククル」
言い忘れてた挨拶をすると、ククルも笑っておはようって返してくれた。
「先に行ってるわね」
そう言って先に部屋を出たククル。何か話してる声がするから、お兄ちゃんも起きてきてたのかな。
急いで支度してククルと一緒に朝食を食べようと思ってたけど、お兄ちゃんに譲ろうっと。
だからいつも通りに支度しながら、ククルとお兄ちゃんが朝食を食べ終わるのを待つ間。
昨日のことを、考えてた。
私は何が不安なのかな?
ナリスが無理してここに来てるのかもしれないこと?
その為にやりたいことを我慢してるのかもしれないこと?
私はそうしてもらわないとナリスに会えないこと?
多分全部そうなんだろうなって思う。
昨日ククルにナリスとのことを聞かれて、答えてるうちに気付いた。
私、ナリスからしてもらってばっかりで、自分から全然動いてない。
会うのだってそう。ナリスが来てくれないとずっと会えないまま。
自分がここから動けないからって、何もかもナリス任せで。
ナリスにばっかり負担をかけて。
…きっとそれで、ナリスが嫌になって来なくなっちゃうことが、一番不安。
結局私は自分のことばっかりで。
ナリスに会えなくなることが不安なだけみたいで。
ねぇナリス。
こんな自分勝手な不安、話していいの?
呆れられそうで、怖いよ。
午後から仕事に戻ったククル。お茶の時間には昨日から作ってたジャムを添えたスコーンを持ってきてくれた。
ククル、お昼まで休みだったはずなのに。結局ずっとジャム作ってるし、終わった途端にお菓子も出てくるし。
全然休んでないんじゃないの?
そう思ったけど、お皿を返しに行ったら、ククルは嬉しそうに厨房にいて。
私が『ライナスの宿』が好きなように、ククルは『丘の上食堂』が好きで。
でもちょっと今は、迷いなく働くククルが羨ましかった。
レムは引き続き考えています。
昨夜の女子会はククルがレムに色々聞きますが、アリーと違ってナリスのことを知っているククルには話し辛いこともまぁあります…。
本編はジャムを煮るククル。恐ろしい量ができそうです。