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三八二年 雨の三十四日
お昼過ぎ。今度はウィルバートさんが知らない人を連れてきた。リオルさんを診てくれるお医者さんなんだって。
ちょうど戻ってきてたお兄ちゃんと名乗って部屋に案内する。重そうな荷物だな。
夕方、ベルフィムさんに食事を運んできたククル。ククルにしては珍しい顔してるけど、何があったんだろ?
お兄ちゃんが帰ってきたら聞いてみようと思ってたら、ベルフィムさんが降りてきた。お茶を頼まれたから、淹れてから持っていく。
扉を叩いて声をかけると、手が放せないから入って置いてくれって言われた。
中はたくさん本や紙が広げられてて、ベルフィムさんは何か調べてるみたいだった。邪魔にならないようベッド脇のテーブルに置いて部屋を出る。
何をしてるのか私にはわからないけど、リオルさんの為に夜になってもまだ調べてくれてるんだよね?
何か甘い物、一緒に持ってきたらよかったかなって、ちょっと思った。
ユアンはインテリ眼鏡になりそこねました。
ただの偏屈…。