第三十四話 勇者、魔王討伐へ向かう 3
(大丈夫。僕は見えてる)
さっと剣を下段に構えると、左右の目で攻撃の速さが違うがなんの躊躇いもなく速度の遅い攻撃に狙いを定め刃を交じ合わせた。上手く「キン!」という音とともに鎌は弾き返される。一瞬驚きを表情に浮かべた魔族は反動でよろけてしまう。それを影兎は見逃さず一矢報いた。
「ふざけたまねをッ!!」
致命傷を避けるために身をよじったが左肩に矢が命中してしまっている。さらにそこへ咲夜からの追撃がかかった。
「『火炎』『風刃』!」
炎を風が包むようにして放たれた一撃は先ほど負った肩へと蓄積してしまう。
「クソがぁッ!!」
数メートル軽く飛ばされると地面に接触する前に鎌を地面へ突き立て、踏みとどまった。
(ダメだ……条夜の傷が深すぎる! 槍を抜きたいけど、それじゃ血がもっとでちゃうよね)
思っていたよりも槍は深く刺さり、刃が辛うじて五センチ出ているかいないかくらいだ。もしこの槍の刃が少しでも長ければ条夜の腹を貫通していたかも知れない。
(このままじゃ逃げるのも……)
抱えて逃げようにも槍が邪魔すぎる。なにより、この状況で仕佐と影兎を置いて逃げるという判断は咲夜にはできなかった。治癒の魔法はここに居るメンバー誰も使えない。冒険者ランク的にそれなりに強いとは自負しているが、それでも手負いをつくってしまったのは痛手な上、逃げるという選択肢が脳内を過るに十分すぎる理由だった。
「なんとか致命傷を与えないと……!!」
「ぐっ、俺のことは……気にするな。先にそっちを……」
「無理に喋らないでっ。大丈夫、分かってるから」
咲夜は意を決して、地面に座り込む条夜の肩を掴みながら頷く。
体勢を立て直した魔族は鎌を「ガン!」と地面に叩きつけた。上半身を低く屈め、左手で叩きつけた鎌の柄をゆっくりと掴むとその瞬間走り出した。
「『氷刃』」
「『ウィンドエッジ』!」
「『火炎』『風刃』!!」
一斉に魔法を放つがたった一本の、一振りの鎌によってことごとく消されてしまった。さっきは命中した咲夜の複合魔法もしっかり対応されてしまい驚異とすら思われていない。
魔法戦において詠唱は威力は上がるがその分隙ができてしまう。対して剣などの武器での戦闘は間合いの詰めや一瞬の判断が必要になってくるため、こと対人においては武器こそが最強なのだ。
「今の人族は弱ぇなぁあ!!」
何度かダメージは喰らっているのに関わらず威勢を張りながら得物を大きく背中側へ回し助走をつける。そのまま勢いよく振り抜こうと腕を振るった。
「仕佐防御!」
「『物理シールド』!」
「行くよえっちゃん!!」
僅かな合図で攻撃を見事弾いた。そこへ息の合った魔法を打ち込む。
「『水球』!」
「『氷刃』!」
先に放たれた水の球が魔族の腰から足へと大量に掛かる。そこへ突き刺さるマイナス以下の氷点下な氷の刃。
「ぐっ……こんなものっ!! なに?!」
予想していなかったのか、できなかったのか。驚きに目を見開いている。それもそのはず、先ほど濡れた箇所が凍ってしまっているのだから。
どうにか動こうともがいているがソコから脱することはできなかった。
「仕佐!!」
「――君臨せよ『黒煙の業火』」
二人が作った僅かな時間でしっかり詠唱をし、極限まで威力を上げた攻撃が天より魔法陣を経由し降り注いだ。
「オレがッ! このグロウルがお前ら人ごときにッ……!!」
叫ぶ声は断末魔として塵へ変貌した。
2026年か……
あ、あけましておめでとうございます!!!
今年もよろしくお願いします!!!
時が経つのは早いねぇ~この作品を書き始めた頃は中学生だったのに()
そしてなんと大ピンチ。正月ゆっくりできなさすぎてまったく執筆できなかったぜ。おかげでストックが3つしかないのだ……このあと執筆するぞぉ!!
はい。てなわけで、次の投稿で第5章 勇者編は終わりですね。そのあと番外編をちょこっとして第6章に突入します
ちなみにほぼ1年で1章が経過してるのはほぼまぐれですが分かりやすい目安でいいよね~
え~っと、次の投稿は再来週の24日ですよっと。ほなまた――




