悪の令嬢と、愉快な仲間たち
※この作品は「悪役令嬢モノ」ではありません。
我輩の名は「キャロライン・ハイザック・城ヶ崎」。
もちろん本名ではない。
キャロラインは実名だが。
偉大なる人物は、偉大な名前を付けた方がいい。
だから、それっぽい名前を考えたのだ。
「お嬢様、近くの村でならず者たちが暴れているようです。」
「そうか。」
このヤギ頭は、執事の「ゴードン・ゴードン」。
我輩たちは普通に"ゴードン"と呼ぶ。
「城の者たちを作戦室へ招集させてくれ。」
「かしこまりました。」
我輩たちは、悪の軍団『地獄のウサギ団』である。
『地獄のウサギ団』の目的は当然「世界征服」である!
世界中の人間たちなどを我輩にひれ伏させることが、最大の目標だ!!
そのために、ウサギのように軽やかに計画を進行させている!!!
・・・だが、もう一つ重大な目的もある。
我輩はいずれ、この世界を支配する存在なのだ!
だから、我輩の世界を汚す存在は許さないのである!!
ウサギのように軽やかに奴らのもとまで行き、制裁を加えるのだ!!!
それが我輩たちの使命なのだ!!!
作戦室へと来た。
城の者が全員集まったので、改めて紹介といこう。
まずは我輩、「キャロライン・ハイザック・城ヶ崎」から。
我輩は見ての通り、この城の主で、『地獄のウサギ団』のボスだ。
我輩は元々裕福な家で生まれたが、父と母が早くに亡くなってしまい、幼き我輩は独りぼっちとなってしまった。
しかし、城の者たちと次々出会い、そして仲間となり、「悪の軍団」を創り上げたわけだ。
なぜ「悪の軍団」になったって?
「悪」なら好き勝手にやれるからだ。
次は、執事の「ゴードン・ゴードン」。
我輩の身の回りの世話をしてくれる、かけがえのない奴だ。
過去に、何者かに首をちょん切られたらしいが、ヤギの頭を移植されて一命を取り留めたらしい。
だから、一応ゴードンは人間だ。
我輩の世話だけでなく、ドローンを飛ばして世界の様子などをチェックしてくれる、偵察係の役目もしてくれている。
本当に頼もしい奴だ。
次は、科学者「ドクター・シェパード」。
道具や兵器を開発してくれる、頼もしい奴だ。
顔はブサイクだが、頭は良い。
凄い猫背だが、足は速い。
もちろんシェパードも人間だ。
実はこの城を設計したのも、シェパードだ。
中々面白い奴だし、我輩は気に入っている。
次は、庭師の「フォースフィールド」。
庭の世話をしてくれているが、我輩の剣術の師範でもある、素晴らしい奴だ。
蒼炎剣技という剣術で、簡単に言えば蒼い炎を剣に纏わせて攻撃する技だ。
見た目は全身甲冑姿だが、人間だ。
目は黒白目だが、ちゃんと人間だ。
我輩がタメ口を許している唯一の人物だ。
そして、我輩にとっては「兄」のような存在だ。
次は、コックの「デスファイト」。
料理をしてくれている、ありがたい奴だ。
コイツも全身甲冑姿である。
素顔は見たことないが、ちゃんと人間だ。
言われただけだが、人間で間違いない・・・ハズ。
食材を手に入れるために、狩りに出ることがある。
そのため、軍団一のマッチョである。
甲冑姿で筋肉は見えないが・・・。
次は、メイドの「デュアル」。
城内の掃除などをしてくれている、感謝すべき奴だ。
片目に包帯を巻いている。
それと、肌がかなり白い。
かなり白いけど、ちゃんと人間だ。
普段は物静かで口数が少ない。
過去になにかあって、褒められることに慣れてないらしい。
最後は、近衛兵の「ガチ」。
城の警備をしてくれている、あっぱれな奴だ。
鎧を身に着けているが、全身ではなく体のみだ。
顔は怪物みたいだが、ちゃんとした人間だ。
繰り返す、人間だ。
デスファイトほどではないが、ガチもかなり筋肉質だ。
というか、初見は絶対ガチが一番マッチョだと思うだろう。
そして、背もデカいのがポイントだ。
以上が、この城の者たちだ。
「軍団」というにはメンバーが少ないが、我輩はこの時点でも満足している。
それはなぜかって?
なぜなら、今話した全員は「強い」からだ。
全員、本来の役柄と「戦闘員」も兼役をしている。
そのため、誰でも任務に行けるのだ。
それが、この軍団の強みである。
「で、今回はならず者たちの退治をするのが任務だ。 行ける人は挙手。」
我輩の言葉と共に、何名かが手を挙げた。
・・・いや、全員だ。
執事「いつも通り、行けますよ。」
科学者「アハッ、特に予定はないから行けるですぜぇ。」
庭師「退屈していたところだ。」
コック「ちょうど食材を捕りに行こうかと思っていたので。」
メイド「今・・・やること・・・ない・・・です・・・。」
近衛兵「言うまでもねえでしょ?」
それぞれが好き勝手言っていた。
こうなったときが一番めんどくさいのだ・・・。
「めんどくさいから、ジャンケンで決めてくれ。 ああ、ちなみに三人ね。」
我輩の命令を聞き、全員が「ジャンケン、ポン」と言い放った。
そして数回の戦いの末、ついに勝者が決まったのである。
「私めと、シェパードとフォースフィールドに決まりました。」
勝者はゴードン、シェパード、フォースフィールドの三人。
そして、我輩を入れて四人だ。
「では、参ろう。」
「『ラビットパレス』を動かしますか?」
「いや、近いし歩きでいいだろう。」
『ラビットパレス』とは、この城の名前だ。
この城は移動式でもあり、動かすこともできる。
そのため、遠くまで旅をするのも楽である。
欠点は、移動が少々遅いことであるが。
そして目的の村まで着いた。
そこにはならず者たちが村人たちから、食料や金品を盗んでいた。
我輩の世界で、好き勝手にはさせないぞ・・・。
我輩は高い場所へ上った。
「ならず者たちに告ぐ! 大人しく武器を捨て、両手を挙げて投降しろ!!」
我輩はトランジスタメガホンを使って、村中に声を響かせた。
ならず者たちは当然、なにも知らない村人たちもコチラを注目した。
「繰り返す! 大人しく武器を捨て、両手を挙げて投降しろ!!」
再び同じことを言った。
しかし、やはりならず者たち言う事を聞かない。
コチラを指差してバカにする奴もいた。
ここまでは想定内のことだ。
では次のステップへ行こう。
「投降する気はないと見た! ならば、力で解決させてもらう!!」
我輩は忠告した。
しかし、やはり誰一人として従おうとしなかった。
また指差してバカにしていたりもした。
だが、今度は違った。
ならず者の一人が、持っていた剣を我輩に向けて投げつけてきたのだ。
刃が我輩の方に向いたまま、飛んできていた。
だが、我輩は逃げなかった。
次の瞬間、隣にいたゴードンが飛んできた剣を持っていた槍で弾いたのだ。
我輩が逃げなかった理由はこれだったからだ。
「ならず者たちよ! "キャロライン・ハイザック・城ヶ崎"の名のもとに、貴様たちを成敗する!!」
その言葉と共に、ゴードン、シェパード、フォースフィールドは飛び出していった。
そして、村にいるならず者たちを次々と成敗していった。
ゴードンは槍と身体能力を使った戦い方だ。
単に槍で攻撃することもあれば、地面に突き刺した槍を利用した蹴り技を使ったりしている。
シェパードは素早い動きを武器として、敵の攻撃を回避した隙をついて殴ったりして攻撃をする。
また、おかしな発明品を使って攻撃する場合もある。
例えば、今なら臭い匂いを出す玉を投げつけたりして、錯乱させている。
フォースフィールドは先ほど言った蒼炎剣技使って無双している。
しかし、直接相手に当てるのではなく、相手の武器をダメにさせたりしている。
我輩は人間は殺さないからな。
さてと、では我輩も行くか。
みんなにばっかり戦わせるわけにはいかない。
「やあぁぁぁー!!」
我輩は前方宙返りをしたと同時に、一体のならず者に蹴りを放った。
そして倒れたならず者から剣を奪い、他のならず者の方に向かった。
次々に相手の武器を弾き、丸腰のならず者に強めの蹴りを放つ。
その後もならず者たちを一人残らず成敗し続けた。
「村を救っていただき、本当にありがとうございました。」
「自分の世界を守ることは当然だ。」
我輩は腕を組みながら高笑いをした。
村人たちはなにを言っているのか分かってなさそう顔をしていた。
まあ、我輩は未来でのことを言っているから、分からないのもしょうがない。
笑って許してやるさ。
今回倒したならず者たちは、全員網に入れて城へ運ぶつもりだ。
そしてテキトーな場所に捨てておくのさ。
「国家」の目の届く場所にね。
本来なら我輩が直々に逮捕してやってもいいのだが、今現在は「国家」と呼ばれる連中に世界を任せているので、ひとまずソイツらに頼むのさ。
我輩たち『地獄のウサギ団』は、このような感じで世界征服を進めるのさ。
まあ、いつでも世界を征服できるし、ウサギのようにゴール前で寝てても全然大丈夫だろう。
未来は決まっているんだし。